Updated: Tokyo  2015/07/07 18:36  |  New York  2015/07/07 05:36  |  London  2015/07/07 10:36
 

浜田内閣参与:ギリシャ問題で円高になれば日銀は追加緩和も

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  (ブルームバーグ):内閣官房参与の浜田宏一・米エール大名誉教授は、ギリシャの債務問題に関する交渉で今後さらに円高になった場合でも日銀が追加緩和で対応可能との見方を示した。

浜田氏は6日、ブルームバーグとのインタビューで「ギリシャ危機が日本経済に深刻な影響を与えたり、日銀の物価見通しを変える可能性は低い」と述べた。さらに「円は安全な通貨として円高になる可能性はあるが、そういう事態が起こったとしても日銀が追加緩和で対応できる」と語った。

5日に行われたギリシャ国民投票後、ギリシャ債務交渉に不透明感が高まり、円相場は上昇した。日銀の黒田東彦総裁は6日朝、「引き続き内外の関係機関との連携を密にしつつ、金融市場の動向を注視していく」との談話を発表した。

浜田氏は長期的な基調としては「米連邦準備制度理事会(FRB)が引き締めに向かう一方で、日銀は量的・質的緩和を維持しているので、円はここから下げる可能性が大きい」とし、「日本の要因が円相場を動かしているというよりも、米国の要因で動いている側面が強い」と指摘した。

円安が行き過ぎれば、日銀が金融を引き締めることはできるが、需給ギャップがゼロ%か、それを下回る水準である現段階で引き締めることは考えにくいという。

円相場は第2次安倍政権が発足した2012年12月以降で30%下落した。円安によって大企業の収益は膨らみ、過去最高の241兆円の現金を抱えるまでになっている。

黒田総裁は6日の談話で「日本とギリシャの直接の経済・金融上の関係は限定的」としながらも、「ギリシャ問題への対応に遺漏がないよう本日早朝も政府・日銀の関係当局間で協議を行った」と述べた。

日銀は16年度前半の2%物価目標達成を掲げているが、ブルームバーグの調査ではそれが達成できるとみているエコノミストは32人中2人にとどまっている。

浜田氏は「私は従来から日銀は2%の物価目標達成を急ぐ必要はないと言ってきている。特に昨年は原油価格の大幅な下落があった。物価目標の達成は持続的な経済成長の手段だ」とし、「この目的が達成されている限り、日銀が追加緩和する必要はない」との考えを示した。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 藤岡徹 tfujioka1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 淡路毅, 浅井秀樹

更新日時: 2015/07/07 11:45 JST

 
 
 
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