【動画】ポケットに入るタンバリン「ポケたん」=大坪実佳子撮影
[PR]

 片手で簡単にリズムに乗れる「ポケットタンバリン」を富山市の男性が生み出した。脳梗塞(こうそく)で倒れ、ギターの弾けない人生を一時覚悟した2年前、「また16ビートを刻みたい」と思いついた。全国から「ポケたん」の注文が舞い込む。

 製作したのは自動車修理業の小林泉さん(58)。長さ30センチのプラスチック板の先を工業用ドライヤーで熱して折り曲げ、2種類の音色の鈴を挟み込むと、ポケたんのできあがりだ。

 2013年5月、めまいと吐き気で駆け込んだ病院の待合室で、名前を呼ばれて立ち上がった途端に倒れた。2日後にベッドの上で意識が戻ったが、言葉が出ない。左半身の感覚もなかった。恐怖と悲しみで涙が止まらなかったという。

 頭をよぎったのは音楽のこと。若いころからギターにのめり込み、バンドやソロで年5~6回ライブを続けてきた。この体でどうしたら音楽ができるだろう。

 ある日、看護師のポケットに差してあった20センチの定規が目に入った。定規を借りてベッドの柵をコンコンとたたいてみた。「これだ」。ひらめいた。