東岡徹=ボン、佐々波幸子
2015年7月6日00時54分
ドイツ・ボンで開かれているユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会は5日、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」を全会一致で世界文化遺産に登録することを決めた。一部の炭鉱などで植民地時代に朝鮮半島出身者が動員された「徴用工」の説明をめぐって日韓が対立していたが、合意にこぎつけた。
審議では、日韓それぞれが英語で発言。日本側は徴用工について、1940年代に「その意思に反して(against their will)」一部資産に連れて来られ、「厳しい環境で働かされた(forced to work under harsh conditions)」と言及。「犠牲者を記憶にとどめるために適切な措置を説明戦略に盛り込む」と表明した。
韓国側は日本側の発言を引用し、日本が表明した措置を「誠意を持って実行する」ことを信じて全会一致に加わったと述べた。
関係者によると、当初、韓国側の発言案には「強制労働」とあった。不法性を示す表現であるため、日本側は、韓国での損害賠償請求訴訟など元徴用工をめぐる動きに悪影響を及ぼす恐れがあると反発。調整の結果、韓国側が発言案を修正し、双方の立場を守る表現内容で折り合った。
登録が決まった後、岸田文雄外相は記者団に「徴用を含め日韓間の財産請求権の問題は(65年の請求権協定で)完全かつ最終的に解決済み」と日本の立場を述べた。
残り:454文字/本文:1047文字
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!