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印南敦史印南敦史  - ,,,  06:30 AM

「伝えること」は目的じゃない。プレゼンでもっとも優先すべき事項とは?

「伝えること」は目的じゃない。プレゼンでもっとも優先すべき事項とは?

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「相手の目が見ていないもの」について伝えても、99.9%理解されない。
(「Prologue 『目線』をつかめば、『人』は動かせる」より)


「伝えるという行為」について考えるにあたり、『プレゼンは「目線」で決まる No.1プレゼン講師の人を動かす全77メソッド』(西脇資哲著、ダイヤモンド社)の著者はこう主張しています。

人間の脳は「いま目で見ている情報」だけを理解しようとし、それ以外を「ノイズ」として無視するもの。だから、なにかを伝えたいのなら、まずはそれを「見てもらう」ことが大切だということです。逆から考えてみると、それほど話し上手でもないのに「なぜか伝わる人」は、(意識的か無意識的かは別として)「自分が伝えたいこと」と「相手が見ていること」を一致させる「視線誘導」ができているということ。いわば、常に聞き手の目線を確実につかむことこそ、プレゼン上達のためのもっとも効率的な方法だというわけです。

著者は、日本マイクロソフトのエバンジェリストとして数多くのプレゼンを行っている人物。つまり、膨大な研修実績に裏打ちされた「視線誘導のためのメソッド」が詰め込まれているのが本書だということ。「Chapter1 プレゼンは『目線』で決まる」から、基本的な考え方を引き出してみましょう。


プレゼンの3つの要素はスライド、シナリオ、トーク


プレゼンを構成しているのは、1.スライド、2.シナリオ、3.トークの3要素。これらの歯車がかみ合ったとき、相手を動かすプレゼンが成立するのだといいます。それぞれに「視線誘導」を組み込む余地があり、著者自身もプレゼンに際しては、この3つの要素に関わる視線誘導をベースにしているのだそうです。

まず、視線誘導の工夫をする余地がかなりあるのがスライド。大切なのは、スライドのデザイン、見せ方、PowerPointのテクニックなどによって、「見るだけで相手が動き出したくなるような資料」をつくること。つまり、資料で目線をリードするわけです。

シナリオとは、プレゼンテーションの流れをどう構成するかということ。この部分のストーリーのなかへと聞き手を引き込むことによって、相手の目線をリードするということ。そしてトークとは、プレゼンするときの話し方。といっても声を発することだけでなく、プレゼン中の姿勢から身振り、手振り、さらにはプレゼンター自身の目線を含めたさまざまなボディランゲージを含むといいます。従来のプレゼン本で軽視されてきた傾向があるこの部分は、もっとも重要なポイントだとか。(28ページより)


プレゼンの目的は伝えることではない


プレゼンの目的を、「商品の魅力やサービスのすばらしさについて、スライドを見せながらすらすらと話すこと」、あるいは「カッコよくまとめた資料を使い、提案や情報を相手にわかりやすく伝えること」だと考えている人は少なくないはず。しかし著者は、「話すこと」や「伝えること」はプレゼンのゴールではないと訴えています。では、私たちはなんのためにプレゼンするのでしょうか? 答えは、「相手を動かす」ため。

スマートな資料をつくったり、それらを使ってなめらかに話すことは、すべて通過点。なぜなら、私たちがプレゼンをするのは「ビジネスの現場」だから。極論をいえば、ビジネスとは「相手を動かして、お金をいただくこと」。その目的を達成できなかったのなら、そのプレゼンは「失敗」だったと断言していいとすらいいます。どんなケースであったとしても、ゴールは同じ。プレゼンで話をしたあとに、どれだけの「アクション」が起きたか? それだけが、プレゼンの価値を高めるのだという考え方です。

いくら「すばらしいお話でした。とてもわかりやすかったですよ」といわれても、最後に「でも、今回は買いません」といわれたなら、そのプレゼンにはなにかが足りていなかったと考えるべき。逆に、緊張のあまり声が震えていようと、スライド機材のトラブルで発表がグダグダになろうと、聞いた人が「動かずにいられなくなった」のであれば、そのプレゼンは成功したということ。(31ページより)


プレゼンの成否は、伝え方"以前"


多くの人が誤解している事実のひとつに、「プレゼンの目的を『伝えること』だと思い込んでいる人は、『伝え方』ばかりを気にかけてしまうということがある」と著者は記しています。もちろんテクニックは大切。しかし「相手を動かす」という成果にフォーカスした場合、プレゼンを決定づけるのは「どう伝えるか」ではなく「なにを伝えるか」。きれいな資料と流れるようなトークがあっても、結局「なにを伝えるか」がずれていると、成果には結びつかないということです。たとえばプレゼンの準備をするとき、こんなことを真っ先に考えてしまいがち。


1.いつ伝える?  → 「来週の金曜日、2月28日の15時から」
2.どこで伝える? → 「ダイヤモンド銀行本店の大会議室で」
3.誰に伝える?  → 「ダイヤモンド銀行の山下事業部長ほか5名」
4.誰と伝える?  → 「島者のエンジニアと営業部長が同行」
5.なにで伝える? → 「資料を10部用意。プロジェクターとPCも持参」
(45ページより)


関係者が多いプレゼンほど、どうしてもこうした事項に頭を使ってしまいがち。しかし、これらはチェックリストのようなもので、プレゼンの質を考えた場合にはさほど重要ではないということです。むしろ、より優先的に詰めておくべきは「なにを伝えるか」。しかも「ATMの新会計システムについて考える」というような曖昧なかたちではなく、「このシステムによって御行の業務は確実に改善する。ぜひ導入すべきだ」という明確なメッセージにまで具体化(ブレイクダウン)できているかどうかが、その後の成果を決定づけるといいます。逆に、ここをしっかりと見定めないまま、いきなりスライド資料の作成を始めた場合は、「なにを伝えたいのか」がよくわからなくなってしまうことに。

だからこそ、もしもプレゼンをすることが決まったら、まず「自分は相手になにをもっとも伝えたいのか」を決めることが大切だと著者。その点を先に決めてから、それに沿って「どう伝えるか」を考えていけばいいというわけです。「なにを伝えるか」を明確にするというのは、「そのプレゼンを通じて相手にどんなリアクションを取らせたいのか」をはっきりさせるということ。そのゴールを常に見据えながら、伝え方を工夫すべきだということです。そうすると、当初考えていた「伝え方」についても、再考の余地が出てくるといいます。


【「なにを伝える?」の確定】
「このシステムによって御行の業務は確実に改善する。ぜひ導入すべきだ」

<再考1.>「(新年度の組織変更が終わってからの方が、先方にも好都合では?)」

【「いつ伝える?」の変更】「2月28日ではなく、4月以降に伝えよう」

<再考2.>「(デモ画面を見てもらった方が、彼らもわかりやすいのでは?)」

【「どこで伝える?」の変更】「先方に出向くのではなく、こちらに来てもらおう」
(47ページより)


もちろん、どうしても「チェックリスト的事項」、つまり考え方を優先させなくてはならないケースもあるはず。しかし、プレゼンの成否は準備以前のタイミング、すなわち「なにを伝えるか」を考え、それを具体化する段階でおおかた決まってしまうもの。その点だけは、決して忘れてはならないそうです。事実、「伝えたいこと」を充分に整理していない人は、どうしてもスライドの文字を読み上げるだけになってしまいがち。しかし、これを意識している人のプレゼンは筋が通っていて、とてもよく整理されていると著者は指摘しています。

いわば、プレゼンにまつわる誤解や思い込みが、プレゼン力の成長を抑制する原因になっているということ。誤解を取り払うだけでも、プレゼン力は伸びていくといいます。(44ページより)



ここからもわかるとおり、著者のアプローチはとても具体的。次章以降で、その密度はさらに濃密になっていきます。つまりは実践的な利用価値がとても高いということ。効果的なプレゼンの方法について頭を悩ませている人にとっては、大きな力になってくれることでしょう。


(印南敦史)

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