[PR]

 メディアを威圧する発言が出席者から相次いだことで批判を招いた自民党議員の勉強会「文化芸術懇話会」。本来は、文化人や芸術家を自陣営に引き込むための会だったという。文化・芸術と政治の関係のあり方について、鳩山由紀夫政権などで内閣官房参与を務めた劇作家の平田オリザ氏に聞いた。

 文化・芸術と政治がつきあうことにはもちろん、危険性がある。しかし、科学の基礎研究や先端研究と似ていて、特に先端的な芸術などが、経済的に自立することは難しい。かつては王侯貴族がパトロンをしていたわけですが、民主主義国家で文化を支えるためには、きちんとした文化政策が必要です。

 日本では、戦前に演劇人の大多数は戦争協力をした。食べるためにやむなくというのもあって、プロパガンダ劇に多くの人が参加して、岸田國士は大政翼賛会の文化部長にもなった。敗戦後は、そうしたものに抵抗していた人が牢屋から出て主導権を握った。そして、長く本格的な政権交代がなかったために、左翼陣営=演劇人=反体制になってしまった。だから芸術文化に携わる人に、あんまり現実的な施策に関わるという習慣がない。