今の新築マンションには99%以上エレベーターが付いている。大地震がやってきた時に最も怖いのはこのエレベーターだ。最悪の状況は、自分が乗っている時に大地震がやってきた場合だ。
最近のエレベーターには、強い揺れを感じたら最寄階で停止してドアを開く装置が付いている。しかし、これがうまく作動するとはかぎらない。
これまで起きた地震の例を見ると、この装置が作動せずにエレベーター内に閉じ込められる事故がいくつも起きている。最新のものだからといって安心はできないのだ。
エレベーターは東京で約16万台、大阪で約7万台以上が稼働していると推定される。東京都が作成した資料によると、震度7の地震が起きた場合、全体の約25%のエレベーターが停止して、閉じ込め事故が起こる可能性があるという。東京都なら約4万台。
一度止まったエレベーターを再び動かしたり、ドアをこじ開けるには専門の資格が必要である。この資格者は東京では約2600人いるという。
つまり、停止した4万台を救出に向かうのはこの2600人。しかし、彼ら全員が動けるとはかぎらない。楽観的に考えて約8割の2000人が動けるとしよう。1人当たり約20台という計算になる。
震度7の地震は交通をも遮断する。道路は大渋滞になる。救出作業のため1台に1時間かかったとして、次の現場へ移動するにも約1時間と想定する。すると、停止した全台から閉じ込められた人を救出するのに、最速でも40時間かかる。