オイコノミア ぎゅっ!とオイコノミア「“障害”を見つめなおそう」 2015.07.03


(テーマ音楽)皆さんは「障害」って何だと思いますか?今回は経済学という視点から障害を見つめ直します。
先生今回はどういった内容をやるんでしょうか?今回は障害を経済学で考えてみたいと思います。
私10年ぐらい前から実はこの障害の問題を研究しておりまして今一番意欲的に取り組んでいる問題なんです。
なるほど。
又吉さん経済学者の松井先生に連れられてある施設にやって来ました。
どうぞ。
あっどうも〜!いらっしゃいませ。
こんばんは。
こんばんは〜。
すごいたくさん。
(濱崎)どうぞお上がり下さい。
こちらどういう施設なんですか?ここは聴覚障害の子供たちがここで生活をしてろう学校に通っている社会福祉施設です。
なるほど。
耳の不自由な子供たちが親元を離れて暮らす金町学園。
小学生から高校生まで29人が都内の特別支援学校に通っています。
ここでの共通言語は手話。
実は松井先生金町学園には障害を経済学で考えるうえでのヒントがあると言うんです。
一体何が見えてくるんでしょうか?
(生徒1)う〜ん!
(生徒2)「はじめまして」って。
えっ?「はじめまして」って。
はじめまして。
「おいしい」はどうやってやるの?「おいしい」。
おいしい。
身振り手振りを交えてコミュニケーションをとろうとしますが…。
なかなか会話は弾まず…盛り上がっている話にもついていけません。
又吉さんもちょっと苦戦ですかね。
ちょっと話の輪に入れないかな。
そうですね…。
「障害と経済学」。
まずはこの体験から読み解いていきます。
先生よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
少し金町学園での体験を振り返ってみたいと思います。
はい。
あの時又吉さんどんな事を感じられましたか?そうですね。
コミュニケーションをとりたいんですけどでもなんかこう手話がやっぱり分からない。
はい。
子供の頃に父親が沖縄出身で沖縄に行った時にみんな方言でしゃべって全然意味が分からないんですよ。
その時の感覚に近かったですね。
海外行った時とか。
やはりどちらが多数でどちらが少数かというのがあの時は決定的に重要な問題になってしまって。
手話ができない人コミュニケーションがとれない人という事になってしまって何となくあの場面では又吉さんがこういう言い方失礼かもしれませんが障害者のような事になってしまったと。
手話を使えない又吉さんは少数派で不便を感じたはず。
障害は個人が持っているものと思われがちですが多数派・少数派という視点で見直すと社会が作っているとも言えます。
「障害者」「障害」っていう言葉は社会の在り方それからどういう人が住んでいるかそういうものによって移り変わっていく。
そういうふうに考えてくるとやはり障害を考えるためには社会を考えないといけないという事で経済の問題という事になってくるんだと思います。
今日はこの障害の問題を更に深く考えるためにゲストの方をお呼びしました。
はい。
デザイナーの今中博之さんです。
こんにちは。
こんにちは。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
デザイン会社でショールームなどの空間デザインを手がけてきました。
現在は知的障害者のための社会福祉施設を運営しています。
生まれつき軟骨の形成不全の障害があります。
発症は100万人に1人とも言われ今の社会の中では圧倒的な少数派です。
今中さんと先生は以前からお知り合いなんですか?2年…3年ほど前にですね僕がラブレターを書きまして。
ラブレター書いたんですか?ある新聞で先生が「障害と経済学」という事を書かれてまして。
今まではそういう方なかなかおられなかったんですよ。
特に障害の問題は当然福祉の問題なのでどういうふうに切って頂けるのかという思いでラブレターを書きました。
なるほど。
例えば金町学園の話とかでは多数派・少数派という事で障害というのを捉えてきましたけれどもその辺り今中さんはどういうふうにお考えですか?障害という事に枠を切っちゃうとやっぱりパイが少ないんですよね。
全人口から比べてパイが非常に少ない。
そういう意味では理解が非常に得にくい。
なるほど。
視点を変えながらやはり障害の問題を考えていく必要があるんじゃないかなと。
もう少し俯瞰的にものを見ていけば例えば今経済的に貧困の問題女性の問題そういうものも含めて…と考えていくと日本全国民何かしら障害があってですね全員が何かしらの障害をお持ちなんやと。
中学校のクラブ活動で全国優勝を目指して練習してたんですよね。
そしたら真面目すぎてすごい浮くんですよね。
で高校行くじゃないですか。
ほんなら高校は強いチームに行ったんですよね。
そしたらみんな僕と一緒かそれ以上のモチベーションやから全く自然なんです。
うんうん。
そういう時にあっ少数派とかそういうのって必ずしも自分の思考だけではないなっていうのは感じた事はありますね。
「生きづらさ」という問題と考えたり「少数派」という問題というふうに考えると必ずしもねいわゆる我々が通常障害者という言葉でイメージしている状況ではない状況も同じ視野に入ってくる。
多数派のためだけに社会が作られていくのはよくないと思うんですが少数派のために社会を作っていくとこれは経済的に効率は悪くなってしまわないんですかね?経済学でいう効率性というのは実はかなり誤解されているんじゃないかなと思うんですね。
でその点をちょっとアイスクリームの例を使ってお話ししてみたいと思います。
障害者と健常者が3個のアイスクリームを取りに行く状況を考えてみます。
ただしアイスクリームは離れた所にあります。
障害者がたどりつく頃には溶けて半分になるとします。
Aの状況では先にたどりつく健常者がアイスを3個とも取ります。
障害者は1つも取る事ができません。
Bの状況では健常者が1個だけ取ります。
残りの2個を障害者が取りに行くのですがそれぞれ半分に溶けてしまい実質1個分のアイスを取る事になります。
さて2つの状況ではどちらが効率的と言えるでしょうか?そうですね。
Bの方が好きですけどね。
ええ。
Bの方がいい社会…。
Aは嫌ですね何か。
何となくね。
はい。
ただ1つだけ気になるのが1個溶かすというとこですよね。
そうですね溶けちゃうっていう。
難しくなってきましたね。
それはどっちがいいかではなくて経済の効率でですよね。
はい。
実は経済学的にはどちらの状況も効率的だと言ってしまうんですね。
でよく皆さんがちょっと勘違いするのはこちらの状況は2個分半分溶けてしまっていて実質的に2個分しか食べられないので2人合わせて。
効率は悪いというふうな言い方をしたりも…してしまうんですね。
ところが経済学でいう「パレート効率性」という考え方によれば「いやこちらも効率的かもしれないけれどもこちらも実は効率的なんだよ」という言い方をするんですね。
先ほどのアイスクリームの分け方。
松井先生はどちらも効率的だと言いますがどういう事でしょうか?Aの場合障害者の満足度を上げるには健常者のアイスを減らして健常者の満足度を下げざるをえません。
よって今の分け方が効率的。
Bの場合もし健常者の満足度をこれ以上上げようとすると障害者のアイスを減らし障害者の満足度を下げざるをえません。
結局今の分け方が効率的。
つまりAの場合もBの場合も両方とも効率的。
比較して優劣をつける事はできないのです。
でも又吉さんはどうしてもBの方がいいと主張し続けます。
でもねAよりマシなような気がするんですけどね。
「なぜ早い者勝ちやねん」っていう話になってくると思うんですよね。
じゃあ「なぜより早くたどりつける私が1個しかもらえんねん?」という話になってきません?そうですよね。
どっちにしろそうなるんですよ。
ええそう。
3つ作ったら駄目なんですよ。
アイスを。
(笑い声)この2人がコンビやとして。
はい。
でこっちはどっちかと言ったら僕みたいなタイプでゆっくりやから2個ボケても1個スベるみたいな。
そしたら優秀なやつって1人で全部やっちゃう事多いんですよね。
こっちが全く目立たんみたいな。
僕ようあるんですけど。
だから結構僕はやっぱりこっちのBパターンにひかれるんですよ多分。
なるほどなるほど。
経済学的にはどちらの状況も効率的だと。
比較ができなくなってしまうんですね。
又吉さんが今Bという状況の方がいいんじゃないかと言ったのはもう一つ公平性というのが何となく頭の中に…。
そこが大きかったですね。
そうですね。
これねそもそもの話ですけどなんで経済学でこういう事を考えるんですか?白黒のつかない事を経済学でなぜ考える必要があるんですか?白黒ハッキリできないよというふうに主張するのも経済学。
(2人)う〜ん。
白黒をつけるとなるとどうしても価値判断が入ってしまうと。
その価値判断抜きに行ける所までは行きましょうというのが経済学の1つの考え方。
え〜やはり障害の問題を考える事で経済学が暗黙のうちに前提としてきた事。
これをもう一回問い直すという事が非常に重要な作業なんではないかなと。
それが逆に障害問題から教えられる事なんではないかなというふうに思うんですね。
そういうふうに考えてくると例えば経済学が当たり前のように前提として考えている例えば自立した個人という問題に関してもじゃあ「自立って何なの?」「自立した個人って誰の事?」というふうに考えていくと問題が深まってくるんじゃないかなと思います。
経済学では誰もが自由に行動を選択できる「自立した個人」を前提にさまざまな理論を組み立てています。
しかし障害というテーマを扱う時経済学ではこの大前提をも問い直します。
松井先生の紹介で又吉さんは障害と自立について問い続ける研究者を訪ねました。
こんにちは。
(熊谷)こんにちは。
はじめまして又吉です。
はじめまして熊谷と申します。
(2人)よろしくお願いします。
こちら研究者の熊谷晋一郎さん。
出生時のトラブルの後遺症で脳性マヒになりました。
当事者として障害を研究する当事者研究に取り組んでいます。
その中で「自立」という言葉に新たな意味を見いだしました。
講義とか講演とかをする時に「自立の反対語は何ですか?」って聞く事があるんですね。
何だと考えられます?自立の反対語。
イメージずっと家にいるとか…。
はいはい。
私が結構いろんな方からこの質問をすると「依存」なんじゃないかみたいに言われる事は結構あります。
つまり誰かに頼ったりしてる状態ですね。
ただよくよく考えてみると本当なのかなというか2011年の3月にすごく大きな地震がありましたよね。
健常者も障害者も逃げなきゃいけないというのは等しく同じ条件なんですね。
目的は逃げるという1つの目的は一致しているのに「依存できるもの」の数が違うというふうに改めて気付かされたんですよね。
例えば健常者が避難するためにはエレベーターや階段はしごやロープも使う事ができます。
しかし車椅子の障害者の場合避難の手段がエレベーターしかなくこの1本に強く依存せざるをえないのです。
人間関係でもそうですね。
友達がいっぱいいればそのうちの1人と仲たがいしてもまあそんなに焦らないというか。
だけれども1人しかもう親友がいなくて他に誰にも頼る人がいなければやっぱりその人との関係が切れてしまうとすごく重たい事になりますよね。
それすごい新しい考え方のように僕は感じますね。
例えば私は全く何にも依存してないという人がいてその人の日常を聞いていくとすごくバランスよく散歩してたり人としゃべってたりで。
あめ玉食べたり。
矢印が無限にあるって事ですよね。
薄く広〜く。
しかも一本一本が髪の毛のように細い依存先がたくさんあって細い分だけ本人も依存してない錯覚に陥っているんですね。
それは理想的な状態ですか?そうですね。
恐らく。
それが恐らく自立という状態なんだと思います。
だから「障害者の自立」っていうテーマで考える際にもむしろ依存できる選択肢をたくさん世の中に開拓していくという事が実は依存を増やしているんだけれども実は自立への方向なんだという事が言えるという事ですね。
私の場合ですとねまず親との関係というのがかなり大きかったと思います。
矢印が増えていかないのですごく緊迫した親子関係というんでしょうかね。
その時点では親以外の依存先がなかったって事ですよね。
そういう事ですね。
だからあなたなしではやっていかれないという度合いが極まっていた状態です。
やっぱりそれの怖さっていうのが私10代ぐらいからずっと根底にはあるんですよ。
で今でもやっぱり親並みに上手な介助者に出会うとちょっとね警戒するんですよ。
え〜!親からしたらすごい愛情が強いわけじゃないですか。
私もそれは疑ってないんですね。
そこがすごい難しいというか…。
難しいですね。
やっぱり年齢とともに見捨てる愛情に移行していかなければその依存先は矢印は増えていかないと思うんですよね。
愛情や善意で介助をされていたのでは矢印が太くなっていく一方であると。
だから自由に取っ替え引っ替えができる関係を維持しておかなければいけない。
そうでないとそのお気に入りの相手が死んでしまったらあるいはお気に入りの相手がもう介助なんてやらないって言ってどっかに行ってしまったらそこしかなかった私たちは一緒に野たれ死ぬしかない状況なんですよね。
逆のようなんですけどよくよく聞くと確かにそのとおりだなっていう。
へぇ…すごい興味深いお話ですね。
ありがとうございます。
え〜と熊谷さんに関しては100%同意とともにとても苦しい思いをして生きてこられたんやと思います。
感情部分では。
で僕も同じで障害を持ってる者からすると1本の線は怖いですね。
100%の満足を1人にというよりも10%の満足の方を10本そろえる。
1本が切れても9本目が何とかしてくれる。
8本目7本目。
反面どうやろ…依存先を持とうという動機とそれを探しえる能力というものを持ってなければなかなか。
1本でも見つかったら現実はですよ現実は1本でも見つかったら御の字っていう方がたくさんおられる。
手繰り寄せるトレーニングがやっぱり障害者側にも要ると思いますしその周りの方々にもフォローされてる方々周りの方々にもやっぱり無かったらですね難しいところ現実はあると思います。
まあ市場も同じような考え方ってできると思うんですよね。
1本のものに頼ってる状況というのは市場経済学的に言うとある意味で独占の状況。
でいくらその独占者が非常にいい人であってもやはり何かがあった時にリスクがあると。
それに対して市場というのはドライな関係かもしれない。
一本一本は薄い関係かもしれないんだけれども市場そのものがまあ関係性つながりの網の目のようになってると思うんですね。
それぞれに依存しながら一つのものを作り上げている。
これがやはり市場のあるべき姿。
緩いんだけれどもお互いにつながっている姿だと思うんですね。
うわっすごいですね!すごいですね!へぇ〜!太陽の塔ですか?すごく緻密な感じがしますね。
そうですね。
一つ一つ丹念に描かれた模様。
白いペンだけで黒いキャンバスが埋め尽くされています。
作者は寺尾勝広さん。
知的障害があるアーティストです。
寺尾さんの作品のモチーフは一貫して「鉄」。
自分の作品を「鉄骨の図面」と呼びます。
海外から高い評価を得ている寺尾さんの作品。
世界が注目するきっかけを作ったのが…今中さんが2002年に立ち上げた「アトリエインカーブ」。
知的障害のある人たちが絵画や立体作品などを制作する社会福祉施設です。
現在26名のアーティストが在籍。
今中さんは障害者のアートという枠組みを超えて作品そのものの価値が評価される市場に送り出してきました。
おいくらぐらいと思いますか?100万円とかするんですか?400万近いです。
そんなするんですか!そんなするんです。
海外のコレクターもたくさんおられます。
絵画の中でも相当高いですよね。
相当高いですね。
私もアートフェアに行った時に値札を見て目が飛び出てですねいろいろ悩んだ結果このくらいの大きさの絵を購入しました。
これもすてきですね。
これは「ネジ」という題が付いているらしいんですがネジっていうのは要するにこのネジ山とかネジ穴とかがどうもモチーフみたいで。
円の部分とかが…。
そうですね。
これで普通ネジって我々名前付けないじゃないですか。
付けないですね。
そういう発想も面白いなと。
なるほどねえ。
それは今中さんが美術的な指導をされたりしてるんですか?いえもう全く。
筆の持ち方から絵の具の溶き方から全くノータッチなんです。
あっそうなんですか!ゆえにこういうものが出来ると僕は思うんですけどね。
管理して教育してっていう中ではいわゆるオリジナリティーあふれるものというのは作れないように思いますけどね。
なるほど。
確かにこんな絵見た事ないもんな。
へぇ〜!アトリエインカーブでは作品が売れたら経費を除いた収益をそのアーティストに還元します。
一方で絵画をもとに制作したグッズを販売しその収益は均等に分配。
生活の基盤を作るという福祉的な役割も果たしています。
先生はアトリエインカーブの活動をどうお考えになりますか?はい。
私は非常に興味深いと思っていて非常に重要な側面は福祉施設という事で知的障害者と言われる人たちの生活をある意味保障しているわけですよね。
その一方で伸びた人に関してはどんどんチャンスを与えて市場の世界福祉の世界から市場の世界にある意味で打って出るような方々を生み出してそういう意味では福祉と市場をうまく結び付けた接点にいるようなあるいは接点を作った施設だと思うんですね。
寺尾さんはそれで自分の表現したい事ができて生活ができてる。
そうじゃない人もたくさんいるという事ですよね。
たくさんおられますね。
本当に一握り。
寺尾さんを含めあまりにもちょっと先頭の方がグッと山を登ってしまったのであまりにも高いので向こうが。
追いつかないっていう葛藤はあります。
でもどの世界でも同じですよね。
研究者の世界でももう最先端行く人はあっという間に行ってしまって。
でもボトムアップはもう本当に難しい。
よく言いはんのが「山高ければ裾広し」なんてよく言うんですけどやっぱりイチローの存在が日本の野球界もリトルリーグも草野球もサッカーに負けないだけのスポーツに活性したわけですからそういう意味では寺尾が山ならば寺尾にはもっともっと高くなってもらえれば裾野は広がるというふうに僕らは思うんですけどね。
現にそういう形で人数は増えていってると思います。
インカーブの才能のあるアーティストさんたちは大丈夫だと思うんですけどそれ以外の障害を持ってる方は仕事はどうされてるんですかね?まずそれを考えるために統計を少し見てみましょう。
知的障害者と身体障害者の就業形態を示したグラフです。
身体障害者は常用雇用の割合が大きいのに対し知的障害者は福祉的就労が6割以上を占めています。
この福祉的就労というのは旧授産施設とか作業所と呼ばれる所で働いている方々でこの方々は本当に労働者と考えるべきかどうかというのも微妙でもう賃金に関しても最低賃金法なんてもう適用されない世界なので月ずっとフルタイムで働いていて1万円とか場合によっては5,000円とかそういう工賃と呼ばれるものをほんとお小遣いみたいな感じなんですけれども頂くと。
働けてる人でも僕らが思ってる「働く」とはちょっと違うかもしれないという事ですか?そうですね。
今中さんデータを見てどうですか?何を目指すかやと思うんやけど一般就労一般企業というところを目指せというデータだと僕は思うんです。
そういう働き方ばっかりではない。
インカーブは一般就労に対して専門的就労なんて言うたりするんですけども例えばこれやったら絵の好きな方が通う。
同じように音楽が好きな方が通えるところ。
料理の園芸の乗馬の…。
知的障害の方を含めてですねそういう分野の就労形態はありやと思ってます。
もっと開発をしてかなあかんと思ってます。
やっぱり僕も学生時代ほんとに自分が社会に出て会社で働くイメージって全く湧かなくて。
例えば又吉っていう職業があれば最高やったんですよ。
世界の人口と同じ数だけの職業があって将来皆それになれば…それでちゃんと生活できていけるならそれでいいじゃないですか。
じゃなくて世界の人口よりもだいぶ少なくなった選択肢選ばなあかんから「いや俺のないで」みたいな。
「特にないで」で。
ほんならあったんですよ。
端っこの方に。
でよかったという状況なんですがそういう意味で言うとやっぱりインカーブさんもそうですしそういういろんなもっといっぱいあってもいいなって思いますねうん。
先生障害を持ってる方の就労について国はどういうふうに対応してるんですかね?何もやっていないというわけではなくて実は障害者雇用制度というものがあります。
それをうまく使って新しい就労形態を見つけていくという方に使えればいい事だと思います。
なるほど。
そういう意味では我々の大学でやった取り組みとしてですね在宅就労というものがありましてこれはやはり法定雇用率が無ければそもそも考えもしなかった事だと思うんですね。
今まで働けないと思ってた人たちはどこがまずかったかと言うとただ単に移動ができなかった。
通勤ができなかっただけなんです。
やはり今まで働くという事を1つのパッケージこれもできてあれもできる。
通勤もできてオフィスに行って挨拶もできてうんぬんかんぬん。
いろんな事が全部できないと働ける人とは呼べなかったんだけれども1か所ができないという人はそこだけねぇちょっと別な形態にしてあげて働けるんだったらそれでも十分いいんじゃないかと。
もったいないですもんね。
それが家でできる事によってクリアされるって事ですよね。
物理的な障害というのは技術進歩とか最近では先ほどの例で言えばIT技術の進歩などによって働けるようになると。
クリアできると。
在宅就労の制度っていうのはソフト面の問題なのでこのソフト面をどういうふうに改善していくかというのはまさに我々がどう行動するかという事に非常に強く依存しているという意味でも経済学の問題なのかなという気がしています。
視点を変えるといろいろ選択肢が広がっていくんですね。
そうですね。
うん。
今障害者の中で就労のチャンスを増やそうとよりよい教育環境を求める動きが出ています。
こちらは高卒者全体と障害者の大学進学率。
大きな差があるのが現状で聴覚障害者の大学進学率は18.9%です。
先ほど又吉さんが訪れた耳の不自由な子供たちが暮らす…東京で質の高い教育を受けたいと全国から子供たちが集まってきます。
こちらは中学生の勉強部屋。
でも何か集中して勉強できそうな感じですよね。
あっすごい。
目標がへ〜「薬科大学に現役合格」。
なるほどねこういうの…これ自分たちで書いてるんですかね?
(濱崎)そうですねそれぞれの。
壁には子供たちが自ら立てた目標や勉強のスケジュールが貼られています。
「20時〜22時」で22時を赤ペンで書き直して23時までにしてますね。
気持ちが変わったんですかね。
(濱崎)多分。
2000年代の障害者施策によって措置制度から契約制度へ移行が進みました。
措置制度では行政が決めたとおりのサービスが提供されました。
契約制度では利用者の経済的な負担は重くなりますがサービスを選択できます。
金町学園さんはまさにその措置制度から契約制度に移ったという事をうまく利用して東京で学びたい手話を使う子供たちをこの学園にお呼びしたと。
ほとんどの子供が都外から来てるんですよね。
都立のろう学校の教育がいいって事で一つは来てるんですけれどもまあ逆に言えば地方ではなかなか聴覚障害の子供にやっぱり適した教育がどんどんできにくくなっているという表れかなとは思いますけどね。
なるほど。
将来にどういうふうにつながっていくんですかね。
一つは自分の進路が広がってくるという事だと思うんですね。
自分がやりたい仕事が見つかった時にそれをするのは何かっていうとやはり基本は学力だと思うんですよね。
そこをもう一歩踏み出すためにはやっぱり底力になるのは学力だろうと思うんですけどね。
金町学園では徐々に大学進学者が出始めています。
2時間?1時間ぐらいね。
じゃあ神戸女学院に入るレベルまでもう達してる?まあ措置制度から契約制度と。
この変化というのはどういうふうにお感じですか?いわゆるうちのところで言うたらアーティストと直接お話ができるというのが大きいですよね。
そういう意味でももう裸のつきあいができます。
ただ措置の場合は我々もそんなに理解せず向こうも行政が言うもんやからこっち来ましたという意味では向こうも選択されてない。
こっちも選択してないですから好き同士ではない場合でも来はる。
契約の場合はほんとに相思相愛でないと契約は結ばれない。
金町学園の取り組みに関してはインカーブに非常に似た取り組みのように感じました。
山をとっても高く持ち上げていこうとする。
それによって裾が広がっていく試みであろうと思うんですね。
他方それは我々も一緒ですけどやっぱりバッシングもいろいろあるんやろうなというのも感じました。
福祉というのは「薄く広く平等に」というのが原則なんです。
どこまで行っても原則はありましてねそこから逸脱するものに関してはやっぱり非難の声が上がってくるとは思います。
ただ今こういう取り組みがね僕が言うのも変なんですけど大事なんですよ。
例えば質問なんですけどバッシングする人たちにとっては何を恐れてのバッシングなんでしょうかね?横並びじゃなければいけないというのは?福祉はね「あてがわれるものや」と思ってはると思います。
上から。
あてがわれるものは平等であるべき。
それが前提にあるからバッシングにつながっていく?そう思いますね。
特にインカーブとか金町学園さんとかいうのはあてがわれたもの以上のものを自助努力でやろうと民間活力でやっていこうとしてはんねんけどもそれは本流ではない。
まだないですね。
…と思いますけどね。
僕はそこまで福祉のいろんなシステムに詳しくなかったんで今説明聞いた時に福祉という全体が持ってるイメージがあってそこから今僕がいろいろ聞いてきた事っていうのは新しい試みって事なんですよね。
今までと比べれば。
それはすごく当然なんじゃないのってフラットに見れる数が増えていったらだんだん変わっていくからやっぱりそういう活動はどんどん増えていけばいいなとすごい思いましたね僕は。
平等であるべきところはあると思うんですね。
ベースの給付であるとか生活のための補助とか。
このベースのところをそろえておいてあげてあと能力のある人は更に上がってちょうだいと。
この視点がね障害のあるお子さんの教育にはもっとあってしかるべきだなと思いますね。
やっぱり今まで経済学で障害を論じたケースをそんなに僕知らないんでねそういう意味では新鮮ですし福祉だけで解決できる事ってとっても少ないんです。
特に障害分野は少ない。
そういう意味で外野を分厚くするってよく言うんですよ。
それは経済学を専攻されてる方もそうだし政治家もそうだし意見を言うてもうてそん中でええとこ取りをさしてもらう。
そういう意味では外野を分厚くしていく。
今回は経済学という外野が出来たのでとてもうれしいと思います。
やはり障害問題というのは社会のさまざまな問題を拡大して映し出すような拡大鏡のようなものだと。
どうしたら障害者が輝けるかという問題を考える事はある意味我々みんながどうしたら輝けるかという問題を考える事でもあると思うんですね。
やっぱりやりたい事やるっていうのは人間誰もが持つ欲求ですからね。
そこを抑制する必要はないなとは思いますね。
それが経済と結び付いてるという事もそうですしすごく何か勉強になりました。
ありがとうございました。
(今中松井)ありがとうございました。
「依存先をたくさん作る」。
僕たちはいつのころからか「それ」を曖昧にしてきた。
2015/07/03(金) 00:30〜01:15
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オイコノミア ぎゅっ!とオイコノミア「“障害”を見つめなおそう」[字][再]

「障害」ってなんだろう?経済学では、社会の少数派ととらえます。少数派がどうやって学び、働き、暮らしていくかを知り、私たちみんなの生きやすさを考え直します。

詳細情報
番組内容
「障害」ってなんだろう?「普通」が基準の社会では、障害がある人は、段差のような物理的なものから社会制度まで、はみ出す存在として区別されがち。でも本当にそうだろうか?経済学からすると、その区別は多数派・少数派という関係にすぎません。それは状況や時代によって簡単に入れ替わるもの。だから少数派がどうやって学び、働き、暮らしていくかを知りましょう。それは、わたしたち、全員の生きやすさを考えることなのです。
出演者
【出演】又吉直樹,【解説】東京大学大学院教授…松井彰彦,【語り】朴ろ美

ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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