(2015年7月5日付 FT.com)
7月5日、ギリシャ・アテネで緊縮財政策への賛否を問う国民投票の投票を終え、記者団の取材に応じるアレクシス・チプラス首相〔AFPBB News〕
ギリシャのアレクシス・チプラス首相が国民投票で圧勝した理由を説明するのは、さほど難しくない。これから何が起きるかを見通すのは、それよりずっと困難だ。
ギリシャ国内および欧州連合(EU)域内のチプラス氏の反対勢力が失敗したのは、些細なものから重大なものに至るまで、さまざまな判断ミスを犯したからだ。
筆者から見ると、3つのミスが目立つ。
最大の誤算は、救済案を拒否する「ノー」の投票結果はグレグジット(ギリシャのユーロ圏離脱)につながると言った数人のEUの大物政治家による明らかに申し合わされた介入だった。
EUによる「介入」への不満
その1人がドイツの経済相でドイツ社会民主党(SPD)党首のジグマー・ガブリエル氏だ。同氏は国民投票の結果が出た直後にも、この脅しを繰り返してみせた。ギリシャ国民はいみじくも、こうした脅しを自国の民主的プロセスに介入しようとする試みとして解釈した。
ユーロ圏の当局者らが国際通貨基金(IMF)の最新の債務持続可能性分析の発表をやめさせようとしたという先週のニュースも不利に働いた。IMFの報告書は基本的に、ギリシャ政府が債務減免を要求したのは結局正しかったということを明らかにしていた。
他のEU諸国はギリシャの国民投票を不正に操作することを望んでおり、それを隠そうともしなかったという印象を与えてしまった。