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【中高生のための国民の憲法講座】
第99講 「集団的自衛権の行使は合憲」 百地章先生
そこで、昨年、政府はわが国を取り巻く国際環境の急激な変化を理由に、この見解を改め、集団的自衛権の「行使」を一部、認めました。つまり、「わが国と密接な関係にある国に対する攻撃が発生し、これによってわが国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある」時に限り、集団的自衛権の「行使」を認める、というものです。
これに対し「政府見解の変更は許されない」「憲法違反だ」といって反対する人たちがいます。そうでしょうか。
はじめに述べたように、集団的自衛権は全ての国連加盟国に認められた「固有の権利」(国連憲章51条)です。したがって、憲法に書いてなくても、わが国が国連加盟国の一員として、国際法上、集団的自衛権を有することは明らかです。
次に、憲法論ですが、日本国憲法がその行使を「禁止」していなければ、わが国はもちろん主権国家ですから、「行使」可能です。この点、憲法9条は、集団的自衛権を何ら禁止していませんから、わが国が国際法上、集団的自衛権を「行使」しうるのは当然で、合憲ということになります。
この点、憲法上、集団的自衛権の行使が可能かどうかを最終的に判断できるのは最高裁判所です(憲法81条)。そこで、最高裁が憲法9条の意味について正面から判断した昭和34年の砂川事件判決を見てみましょう。判決は次のように言います。