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【中高生のための国民の憲法講座】
第99講 「集団的自衛権の行使は合憲」 百地章先生
個別的自衛権と集団的自衛権は、不可分一体です。このことは刑法の「正当防衛権」と比較すれば明らかでしょう。
刑法36条は、次のように規定しています。「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」。つまり、正当防衛権とは、急迫不正の侵害が発生した場合、「自己」だけでなく、一緒にいた「他人」の権利を防衛することができる、というものです。
例えば、友達と一緒に歩いていたとき、突然、友達が暴漢に襲われたら、それが自分に対する攻撃でなくても、反撃して友達を助けることができるのが正当防衛権です。
それゆえ、国内において個人に認められた「正当防衛権」に相当するのが、国際社会における国家の「自衛権(個別的・集団的自衛権)」と考えられますから、両者は不可分一体です。
◆政府新見解は妥当
この集団的自衛権について、従来の政府見解は、わが国はこの権利を「保有」しているが「行使」することはできない、というものでした。