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【中高生のための国民の憲法講座 第98講】
「この国のかたち」どう描くか 西修先生
私は、憲法とは、一言でいえば、主権をもつ私たち国民が主体となって、「この国のかたち」をつくる基本的な法規範であると考えます。そこでは、どのような国家構造を構築し、どの機関にどんな権限を与え、その権限が濫用されないためにいかなる制約条項を付すことが適切か、そして国民がそのような体制にどんなふうにかかわっていくのか、そのありようを示すのが、現代に即した憲法観であると考えます。
憲法を消極的にただ暗記の対象とするのではなく、自分なりの憲法観を見いだし、自分ならこんなふうにつくりかえるという、より広く積極的な視点で考える姿勢をもつことが、みなさんの憲法の理解をいちだんと深めるのではないでしょうか。
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前講(97講)で紹介した国家、国民と憲法の関係をイメージした「日本国憲法の家」は、個人▽家族▽地域社会(コミュニティー)▽地方自治体▽国家-の5つの層から成り、相互に作用、協同しながらよき「家」をつくっていくものだ。「土台」には先人たちが築いてきた「文化・伝統・アイデンティティー」、「屋根」の部分には「統合・共生・躍動」を置いた。