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【中高生のための国民の憲法講座 第97講】
憲法を「家」として眺めると 西修先生
憲法改正に関する国民投票の年齢が、3年後の平成30年6月から、18歳以上になります。それに伴い、中・高校生の憲法教育がこれまでよりも重視されなければなりません。憲法についての知識を深め、自分なりに考え方を整理しておく必要があります。その場合、現に存在する条文を1カ条ずつ検討するだけでなく、憲法を全体として眺めることが望まれます。
「土台」は堅固か
私は、あるべき「日本国憲法の家」をデザインしておりますので、それについて、2回にわたり説明したいと思います。
私たちは現在、「日本国憲法の家」のなかに居住していますが、この「家」は過去の歴史の上に建築され、また、未来の歴史につながっています。そして国際社会や自然環境ともかかわっています。
「家」が堅固であるためには、「土台」がしっかりしていなければなりません。その「土台」は、先人たちが築いてきた歴史・文化・伝統によって形成され、私たちがそれらを自己のものとして確認すること(アイデンティティー)が内容となるべきです。けれども、日本国憲法の成立経緯をみると、連合国軍総司令部(GHQ)の原案をもとにして、極東委員会の承認を得なければならないという、外部勢力の強い関与がありました。これら外部勢力の主眼が、日本国の文化・伝統などを弱体化せしめることにあったことは歴然としています。