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【中高生のための国民の憲法講座第94講】
現実離れの議論生む9条の制約 奥村文男先生
憲法9条は国際紛争解決のための戦争や武力行使等を禁じていますが、「正義と秩序を基調とする国際平和」を誠実に希求する以外、国として具体的にどういう活動が可能なのかは規定しておりません。従って逆に言えば、国際紛争を解決するため侵略行為以外の行動は、許容されているとする解釈も十分成立することになります。
◆安保法制整備の限界
現に、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会報告書」(平成26年5月15日)は、「PKO等や在外自国民の保護・救出、国際的な治安協力については、憲法第9条の禁ずる『武力の行使』には当たらず、このような活動における駆け付け警護や妨害排除に際しての武器使用に憲法上の制約はない」と述べています。しかし、この点については、今回の与党合意では、PKO等での任務遂行や駆け付け警護、邦人救出での武器使用は認めましたが、他国軍への後方支援では、任務遂行型の武器使用は武力行使と一体化するため許されないとしています。