司法試験:合格率「おおむね7割以上」目標 法科大学院

毎日新聞 2015年06月11日 21時33分

 法律家の養成制度の改革に向け、政府は11日、法科大学院修了者の司法試験の合格率を「おおむね7割以上」とする数値目標を公表した。修了者の合格率は当初の想定を大幅に下回る状況が続いているが、各校が組織見直しや教育内容の向上を図ることで実現を目指すとしている。

 関係6閣僚で構成する「法曹養成制度改革推進会議」が来月までに取りまとめる改革に向けた提言案に盛り込まれた。この日、法科大学院や司法試験のあり方を議論している有識者会議に報告され、大筋で了解された。

 政府の司法制度改革審議会が2001年に公表した意見書は、司法試験の年間合格者を10年ごろに年間3000人とする目標を掲げ、法科大学院修了者の「相当程度(例えば約7〜8割)」が合格できるよう充実した教育を行うべきだとした。

 だが、実際の年間合格者は1800〜2100人程度を推移、「3000人」の目標は13年に事実上撤回された。法科大学院修了者の年度別合格率も平均20%台と低迷。法科大学院を修了した全司法試験受験者に対する昨年度までの合格者の割合(累積合格率)も約49%にとどまっていた。

 提言案は今年から18年度までを「法科大学院集中改革期間」と位置づけた。「各法科大学院は修了者の相当程度が合格できるような充実した教育を目指す」としたうえで、大学院修了後5年間で合格する人の割合を「おおむね7割以上」と明記した。ただし地域性や、社会人向けの夜間開講といった教育の独自性には留意するとしている。

 提言案には、司法試験の年間合格者を「当面は1500人程度を下回らないようにすべきだ」との検討結果も盛り込まれた。【和田武士】

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