日銀総裁:「さらに円安ありそうにない」衆院委で異例言及

毎日新聞 2015年06月10日 19時50分(最終更新 06月11日 07時59分)

日銀の黒田東彦総裁=竹内幹撮影
日銀の黒田東彦総裁=竹内幹撮影

 日銀の黒田東彦総裁は10日、衆院財務金融委員会に出席し、最近の外国為替市場について「(各国の物価などを勘案した通貨の実質的価値を示す)実質実効為替レートでみると、かなりの円安になっているのは事実。さらに円安に振れることはありそうにない」と述べ、円安が一段と進む可能性は低いとの見方を示した。日銀総裁が為替市場の具体的な見通しに言及するのは異例だ。

 10日の東京外国為替市場では、この発言が円安進行をけん制する「口先介入」と受け止められ、円買いが加速。円は一時、ドルに対して約2円急伸し、1ドル=122円46銭と約2週間ぶりの円高・ドル安水準をつけた。午後5時時点は前日比1円83銭円高・ドル安の1ドル=122円70〜72銭。東京株式市場も円高を嫌気して下落し、日経平均株価は一時、2万16円と2万円割れ寸前となった。

 円相場は今月5日に1ドル=125円台後半と13年ぶりの円安水準をつけた。黒田総裁は、円安の背景について「米国の利上げによる日米の金利差拡大を織り込む動きだ」と指摘。ただ、為替の水準については「(成長率など)経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に対応する一定の範囲で動いているのが望ましい」と明言を避けた。前原誠司委員(民主)の質問に答えた。【中井正裕】

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