「(オトナに必要なものは、との問いに答えて)制限をかけて行動することは大事なのかなと思ってます。(中略)自分はここまでしかできないのかなと、憶測だけで制限をかけてしまうのはムダなことだと思います」(Number870号「オトナの僕と、コドモの僕と」)
「(開幕投手の緊張について)緊張するからこそ、勝ったときにおもしろいのかなって……勝てる勝負に勝っても嬉しくないですし、どっちが勝つかわからない、むしろ負けるかもしれないくらいの勝負のほうが、勝ったときの嬉しさは大きいのかなと思います。だから、緊張しないとおもしろくないかなって思うんです」(Number875号「今年の組み合わせ、見つかりました」)
2015年の年初から、Numberではベースボールライターの石田雄太氏による隔号連載レポート「野球翔年・大谷翔平」を掲載している。時々刻々と変わる風向きを読むために、今シーズンの大谷には何度か、インタビューをしてきた。冒頭に引用したのは、これらのインタビュー記事からの引用である。
そして6月末、前半戦の終盤にさしかかったタイミングで、またも大谷にインタビューを敢行した。そこで大谷を中心に、柳田悠岐、筒香嘉智、森友哉など、これからのプロ野球を担うフレッシュな顔ぶれを特集したNumber881号の巻頭記事として、連載特別版の独占ロングインタビュー「投も打も、すべては自分次第」が掲載された。
イチローも認めた、大谷の社会的影響力。
大谷翔平が、規格外の野球選手であることについては、いまさら論をまたないだろう。
身長193センチ、均整のとれた恵まれた体格に甘んじることなく精進を続け、ピッチャーとしては160キロオーバーの速球に加え、今年は変化球の切れ味・精度ともに格段に向上した。バッターとしても、昨季はホームラン10本。見事に二刀流を貫き、瞬く間に日本のスポーツ界の星となった。イチローも今春のインタビュー(Number876号「変化、破壊、成熟」)で、スポーツの枠を超えて社会に影響を与えられる選手として本田圭佑、錦織圭と共に大谷の名を挙げている。もちろん、イチローも含めた4人の中では最年少。文句なしの「規格外」である。
そして、冒頭に引いたような彼の言葉に触れると、「彼はほんとうに20歳なのか?」と疑ってしまう気持ちがふつふつと沸いてくる(20歳は記事執筆時点。以下同)。
おそらく彼は20歳の青年としても「規格外」なのではないだろうか。
Number Ex バックナンバー
- 『グラップラー刃牙』と山本“KID”。 見逃せない世紀の異種格闘技対談! 2015年7月6日
- 球宴ファン投票で最多得票の19歳。 西武・森友哉のフルスイング理論。 2015年7月3日
- <高校野球100年を振り返る> “高校球児・王貞治”と甲子園。 2015年7月1日