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幻の放射性ヨウ素汚染地図を復活させる【日本全国・47都道府県まとめ】

まず、今回ご紹介する地図や一覧表のほぼすべては全国47都道府県からの報告に基づき文部科学省がまとめた福島第一原発事故由来の降下物の資料※1がベースになっています。

ヨウ素月間降下物2011年3~5月分

ということで降下物とは何か?を再確認。降下物とは空から降ってきた雨やちりをこのような大型の金属製の水盤※2で集め、その中に放射性物質がどれくらい含まれていたか?を調べたもの。
水盤ですから月間降下物とは、1か月に空から降った雨やちりに含まれていた放射性物質の量を表します。

なお、最初にご紹介する月間降下物は福島第一原発事故とは無関係2011年3月1日から測定がおこなわれていたデータです。

福島第一原発事故における降下物の測定で、放射性ヨウ素131が確認されたのは2011年
3月
4月
5月
のたった3か月だけです。この3か月間をしっかり分析してみましょう。

■47都道府県の放射性ヨウ素月間降下物

まずは放射性ヨウ素が、どこに?どのくらい?降ったのかをマクロな視点で全体的に把握するために2011年3月~5月の月間降下物の合計を47都道府県別の日本地図にしました。見やすくするために降下量が1ケタ変わるごとに色を変えてあります。

ヨウ素月間降下物2011年3~5月分
46都道府県については文部科学省の資料をそのまま転載しました。福島県のデータはありません。文部科学省の資料でデータが存在しないことになっている宮城県赤く塗られているのを見て驚かれた方もいると思います。もちろん宮城県自体は東日本大震災の大混乱で計測できなかった…あるいは、しなかったのは事実です。しかし宮城県の女川町にある女川原発で東北電力が測定したデータならあります。※3

この地図で赤く塗られた1平方kmあたり10000Mベクレル降った地域を見ると、放射性ヨウ素は福島第一原発から北よりも南に向かって広範囲に降り注いだことがわかります。

続いて月間降下物を2011年3月、4月、5月ごとに分類し、47都道府県別の降下量を表したのが下記の一覧表です。

この一覧表の3月を見ていただくと、福島原発から南方向のなかでも
栃木県140,000MBq/km2
茨城県120,000MBq/km2
と、赤く塗られた他の都道府県よりも1ケタ多く放射性ヨウ素が降り注いだことがわかります。

■…データ不明
…10000MBq/km2以上
…1000~9999MBq/km2
…100~999MBq/km2
…10~99MBq/km2
…1~9MBq/km2
□…0.99MBq/km2~ND(不検出)

47都道府県の放射性ヨウ素月間降下物
2011年3月~5月、単位はMBq/km2※6月以降は検出されず
都道府県 3月 4月 5月
北海道 0.4 5.7 0.5
青森県 1 20 0.3
秋田県 86 38 1.1
岩手県 280 0 0
山形県 29000 49 0
宮城県 44500 740
福島県
茨城県 120000 640 65
栃木県 140000 500 7.5
群馬県 14000 66 5.1
埼玉県 24000 120 2.3
千葉県 20000 44 2.3
東京都 29000 50 3
神奈川県 10000 52 0
静岡県 1100 17 0.4
長野県 1700 18 0.6
山梨県 480 8.5 0.7
新潟県 0.2 1.9 0
富山県 3.9 10 0.5
石川県 7.5 13 0.8
福井県 0 19 0
岐阜県 0 14 1.1
愛知県 0.4 8.2 0.4
三重県 1.2 13 1.3
滋賀県 3.9 18 0
京都府 0 0.8 0
大阪府 0 0 0
兵庫県 0.4 7.6 0
奈良県 0 10 0
和歌山県 2.2 15 0
鳥取県 1.8 4.2 0
島根県 0 0 0
広島県 0 0 0
岡山県 1.3 3.3 0
山口県 0 3.9 0
徳島県 0 3.6 0
香川県 1.5 11 0
愛媛県 0 3.1 0
高知県 0 6.5 0
福岡県 3.3 0.8 0
佐賀県 0.3 0.6 0
長崎県 9.8 2.1 0
熊本県 1.1 0.3 0
大分県 0 0.7 0
宮崎県 1.9 1.8 0
鹿児島県 1.3 1.5 0
沖縄県 0.5 2.9 0

一覧表を見ていただいてわかること。東日本西日本では傾向が違います。まず降下物が多かった東日本については3月に天文学的な量の放射性ヨウ素が飛来したことがわかります。4月と比較すると約600倍の差がある県さえあります。それに対して降下物の少なかった西日本4月のほうが降下量が多い都道府県が点在しています。

3月の月間降下物を見ると、福島県の北西の隣県である山形県と福島第一原発から200キロ以上離れている東京都がまったく同じ29000MBq/km2です。このことからも放射性ヨウ素が福島原発から南に多く流れたことがわかります。

都道府県 3月 4月 5月
山形県 29000 49 0
東京都 29000 50 3

ところで放射性ヨウ素がもっとも降り注いだはずの福島県のデータは、まったくないのでしょうか?

実は2011年3月27日以降の定時降下物であればあります。

定時降下物とは、(さだ)まった時間(福島第一原発事故の場合は朝9時から翌朝9時の24時間)に空から降った雨やちりに含まれていた放射性物質の量を表しますが、わかりにくいので今回の記事では24時間→1日ということで日間降下物と表現します。

定時降下物→日間降下物

蛇足ですが日間降下物の測定は、福島第一原発事故から7日も経った2011年3月18日午前9時から始まりましたので3月17日以前のデータがそもそも欠けています

また下記で日間降下物の1か月ごとの合計一覧表を見ていただきますが、数字の前にがついているものがあります。これは測定できなかった日があるため、表示されている合計数より実際の日間降下量の合計が多いことを表しています。

つまり先ほどご紹介した月間降下物は2011年3月1日から測定がおこなわれていましたし、測定できなかった日はなかったのでこれからお話しする日間降下物より先ほどの月間降下物のほうが精度が高いと考えられます。

話を日間降下物に戻します。

日間降下物の測定は、福島第一原発事故から7日も経った2011年3月18日午前9時から始まった。そして日間降下物であれば福島県2011年3月27日以降のデータが存在する。

福島県においても、やはり肝心な3月分の合計。福島県は2011年3月27日から測定が始まりましたからたった5日分しかありません。これでは2011年3月18日から測定の始まった他の都道府県(14日分ある)と比較しようがありません。

ですが4月以降は福島県と他県を対等な条件で比較することができます。

■47都道府県の放射性ヨウ素日間降下物

まずは月間降下物と同じように…放射性ヨウ素が、どこに?どのくらい?降ったのかをマクロな視点で全体的に把握するため2011年3月~5月の日間降下物の合計を47都道府県別の日本地図にしました。見やすくするために降下量が1ケタ変わるごとに色を変えてあります。

ヨウ素日間降下物合計2011年3~5月分

日間降下物の測定が放射性ヨウ素の最大の放出ピークである2011年3月15日幻の放射性ヨウ素汚染地図【関東・東京版】に説明あり)を過ぎた2011年3月18日に始まったためか月間降下物より、0.99MBq/km2~ND(不検出)を示す白い都道府県が多くなっています。

続いて日間降下物を2011年3月、4月、5月ごとに分類し、47都道府県別の降下量を表したのが下記の一覧表です。

数字の前にがついているものがあります。これは測定できなかった日があるため、表示されている合計数より実際の日間降下量の合計が多いことを表しています。

47都道府県の放射性ヨウ素日間降下物
2011年3月~5月、単位はMBq/km2※6月以降は検出されず
都道府県 3月 4月 5月
北海道 0 2.6 0
青森県 1.5 60.6 0
秋田県 36 181.4 0
岩手県 8078.9 137.4 0
山形県 >68666 >181.4 0
宮城県
福島県 >23423 766.2 60.3
茨城県 208034 2691.5 >8.2
栃木県 60080 1268.9 0
群馬県 21194.1 149.4 2.6
埼玉県 68051 529 13
千葉県 45603 183.8 0
東京都 84676 263.25 1.5
神奈川県 20752.4 30.4 0
静岡県 360.4 0 0
長野県 190 0 0
山梨県 1132.8 0 0
新潟県 49.5 147.7 0
富山県 0 5.5 0
石川県 6 2 0
福井県 0 21.6 0
岐阜県 0 0 0
愛知県 0 0 0
三重県 0 36.38 0
滋賀県 0 0 0
京都府 0 0 0
大阪府 0 0 0
兵庫県 0 0 0
奈良県 0 0 0
和歌山県 0 24.8 0
鳥取県 0 0 0
島根県 2.26 15.4 0
広島県 0 0 0
岡山県 1.6 15.8 0
山口県 0 0 0
徳島県 0 0 0
香川県 0 0 0
愛媛県 0 2.3 0
高知県 0 4.4 0
福岡県 0 0 0
佐賀県 1.8 0 0
長崎県 0 0 0
熊本県 0 0 0
大分県 0 0 0
宮崎県 2.5 2.5 0
鹿児島県 0 0 0
沖縄県 0 4.8 0
4月の放射性ヨウ素の降下量を見てみましょう。福島県は 766.2 MBq/km2、茨城県は2691.5MBq/km2、栃木県は1268.9MBq/km2です。
都道府県 3月 4月 5月
福島県 >23423 766.2 60.3
茨城県 208034 2691.5 >8.2
栃木県 60080 1268.9 0

比較すると4月福島県よりも茨城県と栃木県のほうが多かったことがわかります。

もちろん先ほど月間降下物でお話した通り、放射性ヨウ素の放出ピークはすべて3月です。福島県はその3月のデータが、2011年3月27日から日間降下物の測定が始まりましたのでほとんどありません。しかし日間降下物の3月ではなく1日ごとの日間降下物の一覧表で見ると、やはり福島県がもっとも放射性ヨウ素が降り注いだであろうことが確認できます

■放射性ヨウ素1日ごとの日間降下物の一覧表

下記画像が47都道府県の1日ごとの日間降下物の一覧表(放射性ヨウ素131)です。画像をクリックすると別ウィンドウで一覧表が見れるようになります。まずはクリックして3分くらい東日本やあなたがお住いの都道府県のデータなどを眺めてみて下さい。※スマホからだと画像が大きするため数字が崩れ、見れない可能性あります
放射性ヨウ素日本全国版完成75

一覧表の横軸47都道府県です。
←一番左は北海道。一番右→は沖縄県になっています。この一覧表を見てわかること。放射性ヨウ素は一覧表の左側…東日本に集中的に降り注いだことがわかります。

一覧表の縦軸放射性ヨウ素が観測された期間2011年3月18日~5月15日です。
↑一番上は3月18日。↓一番下は5月15日。つまり福島原発事故由来の放射性ヨウ素が観測された合計日数はたった59日間。3月11日から放射性ヨウ素が外界に漏れだしていたとしてもたった66日間だけなのです。

続いて放射性ヨウ素が観測された期間(3月18日~5月15日)の中でも、1000MBq/km2以上放射性ヨウ素が観測された期間を下記にピックアップしてあります。すると観測された都道府県は、岩手県~神奈川県まで10都道府県。期間はもっと短くなって3月18日~3月30日。たった13日間にすぎません。
東日本放射性ヨウ素2011年3月後半

先ほど福島県がもっとも放射性ヨウ素が降り注いだであろうことが確認できますと私が書いた論拠が3月27日。他の都道府県が0~280Mベクレル/km2と落ち着きつつあったのに福島県だけ2ケタ違う23000MBq/km2を記録しています。

この状況から考えるとやはり福島県は桁違いの放射性ヨウ素が降り注いだ可能性があります。

■放射性ヨウ素の月間と日間降下物の比較

月間降下物日間降下物の地図を比較してみましょう。色が変わる…つまり、ケタが変わってしまう都道府県は26県あります。
月間-日間降下物合計2011年3~5月分 -比較1

今度は一覧表にして比較してみましょう。月間降下物日間降下物比較した場合に色が変わってしまう…つまり、ケタが変わる都道府県26県のみピックアップしました。
対象期間:2011年3月~5月、単位:MBq/km2

都道府県 月間 日間
岩手県 280 8216.3 -7936.3
宮城県 >45240 不明
福島県 >24249.5 不明
栃木県 140507.5 61348.9 79158.6
新潟県 2.1 197.2 -195.1
静岡県 1117.4 360.4 757
長野県 1718.6 190 1528.6
山梨県 489.2 1132.8 -643.6
冨山県 14.4 5.5 8.9
石川県 21.3 8 13.3
岐阜県 15.1 0 15.1
愛知県 9 0 9
滋賀県 21.9 0 21.9
奈良県 10 0 10
兵庫県 8 0 8
鳥取県 6 0 6
島根県 0 17.66 -17.66
岡山県 4.6 17.4 -12.8
山口県 3.9 0 3.9
徳島県 3.6 0 3.6
香川県 12.5 0 12.5
福岡県 4.1 0 4.1
佐賀県 0.9 1.8 -0.9
長崎県 11.9 0 11.9
熊本県 1.4 0 1.4
鹿児島県 2.8 0 2.8

一覧表の一番右側の列のを上から見ていくと一番上の岩手県を筆頭に-7936.3のようにマイナスが付いた赤い数字の都道府県が6県ほどあります。以下にピックアップします。

都道府県 月間 日間
岩手県 280 8216.3 -7936.3
新潟県 2.1 197.2 -195.1
山梨県 489.2 1132.8 -643.6
島根県 0 17.66 -17.66
岡山県 4.6 17.4 -12.8
佐賀県 0.9 1.8 -0.9

このマイナスの付いた赤い数字は、2011年3月18日から測定が始まり…都道府県によっては測定できなかった日もある日間降下物のほうが、1ヶ月まるまる測定した月間降下物よりも多い逆転現象が起きている都道府県です。

逆転現象が起きる原因としては、放射性ヨウ素131は8日で1/2、16日で1/4に、24日で1/8に、32日で1/16と雪がとけてしまうように短期間で半減すること。日間降下物の測定が始まっていない2011年3月17日以前の降下量が違う。放射性ヨウ素の降下した時期に違いがある。後は、ただ単に測定をミスしたなどが原因として考えられます。

矢ヶ崎克馬琉球大学名誉教授に、他に原因と考えられることはないですか?と聞いてみたところ、日間降下物の測定位置を屋上から地表付近に変更したり、測定場所自体を途中で変更した可能性もあるのではないか?とご意見をいただきました。

岩手県については月間降下物日間降下物の数値がなぜ?こんなにかけ離れているのか謎なのですが。

以上で『幻の放射性ヨウ素汚染地図を復活させるシリーズ≪全4回≫』を完結しようと思いますが、完結させる前に1つあなたに聞いてみたいです。

幻となってしまった放射性ヨウ素汚染地図の欠片(かけら)や断片に触れることができましたか?

もし少しでも…あなたのお役に立てたとすれば、私にとってこれに勝る喜びはありません(^O^)

次回からは放射性ヨウ素がもたらした甲状腺被曝について徹底分析していきます!

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※1 http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/list/195/list-1.html
※2 http://www.pref.tottori.lg.jp/154798.htm
※3 http://search.kankyo-hoshano.go.jp/top.jsp



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