(リ=ガン)あれ…おかしいな。
(アカツキ)主君の部屋よりすごいな。
申し訳ない。
どこかに飲み物用のポットがあったと思うのですが…。
(シロエ)お構いなく。
…ほお。
どうぞ。
…ん〜。
ところで…その鞄は「ダザネッグのマジック・バッグ」ですね?それを作るには紫炎の水晶と翼竜の皮が必要だったはず。
はい。
そのアイテムを手に入れてオーダー・メードで作ってもらいました。
心の声レベル45になると受けられるクエスト…「魔法の鞄を手に入れろ」の内容を正確に把握している…。
この人は一体…?
(オープニングテーマ)
(トウヤ)明日は午後からも行こう。
一時間も休めばHPもMPも回復する。
(ルディ)うむ!
(セララ)でも…ダンジョンに入るのは一日1回だって…。
そのとおりだぜ。
(トウヤ)直継師匠!守れないってんならアキバに帰ってもらうぞ。
(ルディ)しかし。
冒険者たるものルールはしっかり守れ祭りだ。
ガッツリ休むのも修行のうちてな。
…失礼しました。
先ほどは魔術師を名乗りましたが正確にいうと魔法学者でして…。
回想私は魔術師ミラルレイクのリ=ガン。
ミラルレイク…?ひょっとしてあなたはミラルレイクの賢者?知っているのか?主君。
…ゲームだった頃いくつかのクエストや街の噂でその名前が…。
例えば大規模戦闘「ヘイロースの九大監獄」におけるキーアイテム「とこしえの闇の鍵」は賢者ミラルレイクが作ったとか…。
心の声アイテムの説明文…フレーバーテキストと同様世界観を掘り下げるための設定上のみの人物かと思っていたけど…。
と言っても私は師匠から名を継いで以来まだそう名乗った事はありませんが。
ミラルレイクの賢者は世襲制なのですか?はい。
心の声どうやらとんだ大物と出会えたみたいだ。
…この世界について知るチャンスかもしれない。
魔法といってもその種類は膨大です。
扱う範囲も広い。
私はその中でも「世界級魔法」を専門に研究しているのですよ。
世界級…?初耳ですが。
魔法を規模で分類する考え方です。
動作級戦闘級作戦級戦術級戦略級国防級大陸級。
そして世界級…。
魔法は種類で分類するものでは?規模による分類とは魔法を規模の面から現象学的にあるいはその目的と合わせて考察する際の分類方法です。
「動作級」というのは一つの動作を代替できる程度の魔法を表します。
剣を振るい魔物と戦う。
これを魔法で行うのは動作級です。
「戦闘級」とはひとつの戦闘の行く末を左右する魔法です。
敵小隊もしくは味方小隊の運命を決する事ができる魔法というところでしょうか。
…「作戦級」とは2つから3つの戦闘をまとめて左右する規模の魔法。
「戦術級」はその上。
敵の集団でいえば城ひとつを一撃で左右する規模…。
…ダンジョンも破壊できるという事ですか?心の声そんな規模の魔法…ゲームだった頃は存在しなかったけど…。
「戦略級」とはひとつの戦争を左右する単一の魔法。
「国防級」とは国家ひとつを「大陸級」とは大陸ひとつを。
そして「世界級」とは…。
世界の存続法則運命を…左右できる魔法という事ですか?そのとおりです。
概念としては理解できますが実際にそんな魔法が存在するのですか?…私が確認しただけでも3回は行使されています。
「森羅変転」…ワールド・フラクションと呼ばれる魔法です。
…「大災害」ですね。
…今回お招きしたのはその件についてあなた方が持っている情報をお聞きしたいと思ったからなのです。
それではこちらも話を伺いたい。
大災害については僕たちもほとんど何も知りません。
情報が必要なのです。
私に分かる事でしたら喜んで。
…ではまず過去にあった第一第二のワールド・フラクションについてお話しして頂けますか?長くなりますがよろしいですか?…構いません。
…では古き話から始めましょう。
心の声
(ミノリ)フォーメーション…オーペレーター…フィールドモニター…パトロールファイル…かぁ。
シロエさんに教わったパーティー戦の基本は全部覚えてる。
でも…何で不安なんだろ何か見落としてるのかな…?
(リ=ガン)…今から350年ほど前世界は今よりもずっと繁栄していたといいます。
伝説の彼方に沈んだ神の時代…神代とは比較にもなりませんがその時代には人間エルフドワーフそしてアルヴ…この4種族が暮らしていました。
…中でもアルヴ族は魔法の発明者にして強大な魔法文明の先駆者だったそうです。
…ですがその能力が仇となりました。
どういう意味だ?アルヴは種としての繁殖力は弱く国も小さかった。
結果魔法技術の独占を妬まれ数で勝る他の種族たちによって滅ぼされてしまったのです。
…では僕は?僕はハーフ・アルヴですが。
アルヴ族は世界中で奴隷のような扱いを受けました。
その末裔がハーフ・アルヴなのです。
…とにかくアルヴの王国は滅びました。
そして登場したのがアルヴの六傾姫…ルークインジェです。
六傾姫…。
ルークインジェ?6人の傾ける姫。
彼女たち自身は知り合いでもなければ共謀したわけでもありません。
しかし同時期に6人のアルヴの女性がそれぞれの場所で復讐を始めたのです。
ある者は権力者を誘惑しある者は生き残ったアルヴの民を率い…世界は再び戦乱の世と化したのです。
…しかし結局6人は討ち取られそうになりました。
その時です…。
第一のワールド・フラクションが発動しました。
アルヴ族の手によってですか?…そうです。
技術面でも原理面でもいまだ謎だらけですが…そしてこの時生まれたのが…亜人間です。
300年前まで亜人間は存在しなかったのです。
その発生ですが…当時度重なる戦争によって人口は減り世界には魂が溢れていました。
それらが亜人間発生の材料となったようです。
…亜人間との戦いで人類は追い詰められ世界は暗黒の時代へと突入しました。
人類はルークインジェを倒しましたが彼女たちの復讐は成功したといっていいでしょう。
そんな中亜人間に対抗するため人類がアルヴ系の秘術を用いて生み出した存在…それが猫人族狼牙族狐尾族法儀族と呼ばれる種族たちです。
古来種もこの時生み出されたようです。
心の声…古来種とはノンプレーヤーキャラの中でも冒険者に匹敵するような力を持つ特別な存在。
物語の中でいわゆる「伝説の英雄」というように設定されていた者たちである。
古来種についてはまた別の機会にでも。
ことは魂。
魂魄理論スピリット・セオリーの問題だったとだけ言っておきましょう。
スピリット・セオリー…?それでも人類が滅亡に向かう事を食い止める事はできませんでした。
倒しても倒しても亜人間は転生してしまうのです。
それでは勝つ事などできません。
心の声それってリスポーンの事か?ゲームとしての仕様なのでは…。
ゲームにおいてプレーヤーがあるゾーンのモンスターを全滅させてしまうと他のプレーヤーがゲームを楽しめなくなる。
だから「リスポーン」といってモンスターは一定時間後に必ず補充されるようになっている。
…第一のワールド・フラクションから60年。
亜人間との終わりなき戦いに人類は敗れ去ろうとしていました。
その時。
ある神聖召喚術が使用され世界に神の使いが現れた。
今から240年前第二のワールド・フラクション。
…冒険者の出現です。
240年前……そういえばあなたはなぜ僕に話しかけてきたのですか?ナゼとは?円卓会議の代表は他にも…。
シロエ様は大魔術師ですからね。
事情に明るいと考えたのですよ。
大魔術師…!そうだったのか?主君。
さあ…?シロエ様が歴史に初めて現れるのは98年前の事。
その活動期間から見ても大魔術師である事には間違いありません。
98年…そんなお年だったのか主君。
そんなわけ…って…!心の声ゲームとしてのエルダー・テイルは現実の12倍の速さで時間が進んでいた。
つまりゲームの世界での一日は現実の世界での2時間。
この世界での98年前という事は現実世界での8年と数か月前…僕がエルダー・テイルを始めた頃…。
冒険者がこの世界に現れた240年前は現実世界での20年前。
それはゲームとしてのエルダー・テイルのオープンβが開始された時…!
(高山)兵力派遣を希望する領主は意外に少ないですね。
(クラスティ)ええ主に技術供与や通商条約がねらいのようです。
(ミチタカ)蒸気船の事も筒抜けだったな。
アキバの街に入り込んだ密偵も確認しています。
知られたところですぐに生産できるものではありません。
(クラスティ)シロエ君の言うとおり気にする事もないでしょう。
(ミチタカ)そりゃそうだがよ。
…主君。
…昨日の事?うん…。
回想先ほどの魂魄理論とは一体…。
人間や亜人間を動かす霊的な力を「魂魄」といいこれは「魂」と「魄」という2つのエネルギーからなっています。
「魂」は精神を動かすエネルギーで魔力などにも影響を与えます。
「MP」…マジックポイントとも言います。
「魄」は肉体を動かすエネルギー。
「HP」…ヒットポイントそして「気」と呼ばれるものの事でもあるのです。
人が戦闘不能になるとまず体が動かなくなりますがまだ精神は健在です。
しかし魂と魄は切り離され精神の側は暗闇にとらわれた状態となる。
光を感じる肉体から精神に流れる情報が途絶えるからです。
そして肉体…魄の拡散が始まる。
この過程を「落魄」と呼びます。
…蘇生術とはこの状態の死体に用いられ大気に拡散してしまった魄を集め再構築する事なのです。
この再構築の情報は目の前にある死体に残された記録から逆算で作り出す事になります。
また足りない気は回復術者自らの気を分け与えます。
死ぬ前の完全な状態の記録をもとにするわけではない…。
復活した者の経験値がロスする原因ですね。
避けえない情報劣化といえるでしょう。
もちろん肉体…魄が完全に拡散してしまうと蘇生は不可能になります。
大地人はこの段階で死ぬのです。
…ではそうなる前であれば…。
大地人にも蘇生魔術は有効です。
冒険者の場合は落魄が終了した後肉体は素粒子に分解され更に精神魂の力を用いて大神殿に転送され蘇生します。
このシステムは亜人間のそれとよく似ていますね。
もっともこの話は私と私の師が研究していた仮説でして…。
では亜人間は死ぬ以前の記憶を持っているのでしょうか?分かりません。
個人の精神人格は魂に情報として蓄えられています。
一方記憶は肉体の脳という器官にも蓄えられます。
肉体はすなわち魄です。
記憶は魂と魄にまたがって存在しているという事ですね。
肉体を再構築する際情報劣化があるという事は。
はい。
恐らく…記憶は死による欠損劣化していくと考えられます。
亜人間たちは第一のワールド・フラクションの呪いにより魂が歪曲した状態にあり記憶が残っていたとしても自分の過去だと認識できないのかもしれません。
つまり物語を記憶しているような感覚でしょうか。
心の声じゃあ僕たちも記憶を失ってしまうという事に…。
主君。
…やはりさっぱり分からない。
この世界で死ぬとただ生き返るわけではないのか?PCに向かってエルダー・テイルをプレーしている自分が精神…つまり魂モニターの中にいるプレーヤーキャラが肉体魄…ゲームをしている最中の記憶は当然生身のプレーヤーが持っている。
でも経験値やレベルさまざまなデータはプレーヤーキャラが持っている。
今まではキャラクターが死んでもゲームの中で経験値を失うだけで現実の僕たちは痛くもかゆくもなかった。
けど今の僕たちは魂と魄が完全にひとつになった状態にあると考えられる。
つまり…?ゲームキャラが持っていた経験値と僕たちの記憶もひとつになっている。
死んだら経験値と一緒に…記憶も失う。
記憶の欠損の程度は分からない。
この世界に来てもう何人もの人たちが死を経験してるけど大きな騒ぎにはなっていないし…。
…という事はちょっとした物忘れ程度なのかもしれない。
…だとしても。
うん。
だとしても気持ちのいい話じゃない。
現実の世界の事を忘れてしまうなんて。
…とにかくこの話はしばらくみんなには黙っておこう。
いいね?…うむ。
(五十鈴)ふぁ…おはよう…。
おはようございます。
もう起きてたんだ。
はい…よく眠れなくて…。
私も。
今日はうまくいくかな…。
ん〜!ちょっと水浴びしてくるね!あいってらっしゃい…。
トウヤおはよう。
うん。
(遠雷)ハァ…ハァ…。
あれって…。
心の声ダンジョンの通路…?練習してるんだ…。
(枯れ枝を踏んだ音)あ…ごごめ…。
やぁミス五十鈴いい朝だね。
え…あ無理しなくていいよ。
な何の話かな?僕は小鳥たちのハーモニーを聞くために森のニンフに誘われるまま朝の散策をしていただけだ。
…うん。
そそ〜なんだ…。
それでミス五十鈴は何をしているのだ?私は水浴びを…あそだ。
ルンデルハウスさんも行きましょう。
み水浴び!僕は淑女の水浴びをのぞく趣味など持ち合わせていない!見損なわないでくれたまえっ。
誰も一緒に入るとは言ってないですよ。
淑女に森の一人歩きをさせてはまずいんじゃないですか〜?なるほどそれはそうか…。
うん護衛というわけだな。
ではお送りしよう。
…で泉はどちらだったかな?あっちですよルンデルハウスさん。
ミス五十鈴ルディで構わない。
父母にはそう呼ばれているのだ。
(雨音)う〜んデリシャス!今日もスバラシイ朝食だね!そうは思わないかね君たち。
にゃん太さん特製ですからね。
ルディこれもおいしいよ。
ルディ…?おおこれはカボチャをマッシュしたサラダではないか!実に美味だ!あのさ〜…。
(五十鈴)ん?ごめんなさい…スープのお代わりはもう無いんです…私が私が…。
いやそうじゃなくて…。
心の声トウヤも同じ事を…?なんつ〜かその…。
心の声駄目。
…これじゃ前と変わらない。
怯えて立ち止まっていたら変わらない…。
私が言わなくちゃ!よし!食事も済んだ。
諸君早速ダンジョンに向かおうではないか。
今日こそ…。
(ミノリが頬をたたく音)…皆さん。
今日のダンジョン攻略は午後からにしませんか?
(エンディングテーマ)2015/07/04(土) 01:30〜01:55
NHKEテレ1大阪
アニメ ログ・ホライズン(14)「ワールド・フラクション」[字][デ]
謎の魔法学者リ=ガンによれば「この異世界では、死んでも肉体は復活するが、一部の記憶は失われてしまう」という…。衝撃の事実に、さすがのシロエも思わず動揺する。
詳細情報
番組内容
シロエとアカツキは、謎の魔法学者リ=ガンの部屋に招き入れられた。彼の口から説き明かされるエルダー・テイルの世界の原理に、シロエは驚きを隠せない。なかでも、冒険者の死と復活にかかわる「魂魄理論」によれば、「ゲームの中であればキャラクターが死ぬと経験値を失うだけだが、この異世界では生身の人間として記憶の一部を失ってしまう」という…。衝撃の事実にさすがのシロエも思わず動揺する。
出演者
【声】寺島拓篤,前野智昭,加藤英美里,山下大輝,田村奈央,松井恵理子,柿原徹也,久野美咲,櫻井孝宏,名塚佳織,後藤ヒロキ,藤原啓治
原作・脚本
【原作】橙乃ままれ,【原案】ハラカズヒロ,【脚本】根元歳三
監督・演出
【監督】石平信司
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
アニメ/特撮 – その他
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