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【サッカー】

FW岩渕、米国戦ゴールで「なでしこの未来示す」

2015年7月5日 紙面から

決勝に向け練習で汗を流す岩渕(右)選手の動きを見る佐々木監督(中央奥)=バンクーバーで(共同)

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 【バンクーバー(カナダ)原田公樹】サッカーの女子ワールドカップ(W杯)カナダ大会で連覇を目指すなでしこジャパンは5日午後4時(日本時間6日午前8時)から行われる決勝で、米国と対戦する。日本は3日に再始動し、大半を非公開で約1時間半の練習。切り札的存在で、終盤で試合の流れを変えてきたFW岩渕真奈(22)=バイエルン・ミュンヘン=は「なでしこの未来を示したい」と意気込み、必勝を期した。一方、エースのFW大儀見優季(27)=ウォルフスブルク=は「狙いは決まった」と米国DF陣の穴を徹底的に突き、1次リーグ最終戦・エクアドル戦(先月16日)以来となるゴールを誓った。

 負傷離脱中のMF安藤から以前言われた言葉が岩渕の胸に残っている。

 「絶対に必要だから」

 5月の香川・丸亀市での合宿中、岩渕は右膝を痛めた。そのままチームには同行したが、カナダ入りしても満足にプレーできない日々が続き、悶々(もんもん)としていたという。

 「治るかどうか賭けだった。他にも頑張っている選手がいる中、連れて来てもらった。焦りや不安がありました」

 4年前のドイツ大会。チーム最年少18歳でメンバー入りした岩渕は5戦に途中出場。試合の流れを変える役目を担い、初優勝に貢献した。だが先発はなく、ゴールもなかった。

 その翌年のロンドン五輪では1次リーグの南アフリカ戦で先発。敗れた米国との決勝に途中出場するなど計3戦に出場したが、やはりゴールなしに終わった。

 実力不足を感じ、その3カ月後、日テレ・ベレーザからホッフェンハイム(ドイツ)へ。昨季は名門バイエルン・ミュンヘン(同)へ移籍し、成長の手応えを得て、W杯を迎えた。だから余計にけがで思うようにプレーできず、リハビリで過ぎていく時間が疎ましかった。

 そんなある日、岩渕は胸の内を安藤にぶつけた。すると「ブッチー(岩渕)は絶対にこのチームに必要だから。焦らなくていい」と励まされた。この言葉で不安が消え、「いかに早く治すか、集中できた」。結果、1次リーグ最終戦・エクアドル戦で復帰。オーストラリア戦でなでしこを4強入りへ導く、貴重なW杯初ゴールを決めた。

 「4年前は緊張していましたけど、今は楽しみ。楽しいなと思える自分がいる。ピッチに立ってからは点しか考えてないですけど(笑)」

 澤が「最後のW杯」と話すなど、今大会を境に課題の世代交代もさすがに進むことになる。「なでしこの未来を示したい」と岩渕。次代の旗手は決勝の米国戦でゴールを決め、前回大会、ロンドン五輪までの自分に別れを告げるとともに、新時代の扉を開ける。

 

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