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【衝撃事件の核心】
「無断で親に預金引き出された!」キレた院卒エリート息子の法廷闘争 請求750万円→判決80万円の是非
長男の主張が退けられた大きな要因として、長男自身の記憶の不正確さや思い込みがあった。
長男は、通勤用の自転車(5万円)▽一人暮らしを始めた際にマンションの火災保険料(1万5千円)▽イタリアへの新婚旅行で費やしたとみられる700ユーロ(現在のレートで約8万9500円)-の代金について、自分が引き出しを依頼していないと訴えていた。しかし、判決は母親が引き出した預金の使途をメモに残していたことなどから、長男が自ら引き出しを依頼したと認定した。
さらに、判決は「自ら出入金を管理してこなかったことから、支出に関する実感が乏しく、母親に払い戻しを依頼したことについての具体的な記憶が保存されていないに過ぎないものとゆうに推認できる」と、社会人になっても金銭管理を母親に頼り続けた長男を切り捨てた。
「立替金」は認められず
預金にほとんど頼らず、月1~2回程度の出張時の立て替え金が振り込まれる口座の残高で結婚後の生活費をやり繰りしていた-との長男の主張もあまりに無理があった。長男は年2回以上のペースでゴルフを続けていたといい、判決は「妻との同居生活で相応の生活費が発生していることにも照らせば、口座の余剰資金のみでこれをまかなえていたとは考えがたい」とした。
また、最高で月額4万円以上に達した交通費や携帯電話代が、結婚後も父親の預金口座から引き落とされていたことを考慮すると、長男が実家に対し負担すべき生活費は「毎月7万円は下らない」と指摘。母親らが浪費した形跡もないことから、長男の依頼で引き出したと認められない部分についても「(両親の)生活費を援助するために費消されていても、これをもって違法とするのは相当でない」とし、無断引き出しの「大部分は違法と評価できない」と判断した。