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【衝撃事件の核心】
「無断で親に預金引き出された!」キレた院卒エリート息子の法廷闘争 請求750万円→判決80万円の是非
状況が一変したのは25年1月。妻子とともに年始のあいさつで実家を訪れた長男は、引き出された約750万円を「返してほしい」と突然、父親の目の前に明細書をたたき付けた。「正月早々、何を言い出すんだ」と父親は怒って席を立った。母親は「よく調べてみる」と答えた。
同月末、長男がさらに母親に催促の電話をすると、母親は長男の交通費(ICカード乗車券代)や携帯電話代が父親の口座から毎月引き落とされているとして、「(要求額を)そのまま支払うことはできない」と抵抗。一方で、生活が苦しかったとして預金の一部を生活費として使ったことは認めた。
怒りが収まらない長男は同年5月、両親を相手取り提訴に踏み切った。
母親が預金使途のメモ
「無駄遣いを防止し、確実に給与をためようと、親に通帳やカードを預けていた」「実家に同居中、親に生活費を支払うという合意はなかった。実家通勤なら生活費はかからず貯蓄に励めると思った」
長男は訴訟で、思わず眉をひそめてしまいそうな主張を繰り広げ、「自分の承諾なく、親が口座から引き出すことは一切しないとの合意があった」とまで言い切った。これに対し、両親は少なくとも約540万円は長男の依頼に基づき引き出しており、親の生活費に使っていたとしても扶養義務の範囲内であれば違法性はないなどと訴えた。
最終的に長男の主張の大半はあっさりと退けられた。判決は、長男が就職して新しい通帳とキャッシュカードが実家に届いた際、母親がその旨を告げたにもかかわらず、長男が何の関心も示さず放置したと認定。通帳やカードを母親に預けた際の具体的な記憶が「何もない」という長男自身の証言から、「引き出しは一切しない合意があった」という長男の主張は受け入れられないと判断した。