悪質システム開発会社に気をつけろ!要求機能を満たさず逆に負荷増、開き直り高額請求
「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、数多くの企業の裏側を知り尽くした新田氏が、ほかでは書けない「あの企業の裏側」を暴きます。「Thinkstock」より
2012年11月13日付本連載記事『何もせずに高額料金をふんだくる!? 詐欺SEO業者の手口』において、SEOコンサルティングを手掛ける一部の大手企業が、「SEO対策をするといっておきながら、やらない」という手口で詐欺行為を働いている実態を告発した。
特にIT・システム関連のビジネスにおいては、情報格差を土台にした詐欺が成立しやすい。技術知識を持たない発注者にとって、業者が提案する専門的な話はなんとなくすごそうに聞こえるものだし、自分たちの知識不足が露呈することを避けたいがために、あまり質問をしたがらない傾向にある。よくわからないまま業者側の説明を鵜呑みにしてしまう企業が多いのだ。
筆者のもとにも日々被害報告が寄せられているが、今回はその中で特徴的なケースを紹介しよう。もちろん、世の中の多くのウェブ制作事業者は真摯にビジネスに取り組んでいるのだが、中には顧客のこうむる迷惑など意に介さない、独善的な会社も存在する。そしてこのような被害は、いつあなたの身に起こるとも知れず、対岸の火事ではないことを認識されつつ読み進めていただきたい。
不十分なシステムしかつくれないウェブ制作会社
A社は、スポーツチームやサークルのユニフォームをオーダーメイドで製作するサービスを展開し、自社でもECサイトを運営している。
受発注や顧客管理、販売管理など、それぞれの場面で異なるソフトウェアやシステムを利用していたため、管理が煩雑という課題を抱えており、システムを一新することにした。それは11年秋のことだ。
A社の経営者であるB氏から相談を受け、最初にシステムのリニューアルを請け負ったのがビズソフトだ。同社は「ツカエルシリーズ」というブランドで企業向けソフトウェア(「ツカエル会計」「ツカエル青色申告」など)の制作・販売を行っているが、システム開発も受託している。
ビズソフトは、A社に対して「これまで複数のシステムで管理していた業務とデータを一元化するバックエンドシステムを開発しましょう」と提案し、「購入サイトと顧客管理、受注管理システムが連携する」旨を明記した提案書を提示した。A社の希望にも合致しており、「1年で完成させる」との発言にA社側は、「提案書通りの機能が実現し、システム管理が少しでも楽になるなら」と期待して発注した。契約金額は約1000万円。