ライフハッカー編集部 - コミュニケーション,仕事術 06:00 PM
第一印象で与えてしまった悪いイメージを消す方法
Inc:第一印象にまつわる科学は数多くあり、その多くが驚くべきものです。研究によると、第一印象というのは、お互いに即座に下すもので、かつ信じられないほど尾を引くのだそうです。初顔合わせまで行かないような短い時間で生じた悪い印象でも、解消するのが困難になることもあるのです。
しかしながら、困難と不可能とは違います。少なくとも、British Psychological Society(BPS)のResearch Digestのブログで最近取り上げられた、コーネル大学の新しい研究による話では、ですが。
研究チームは、200名の参加者にある話をしました。フランシス(Francis)という名の架空の人物が、戸締まりされた家に押し入り、宝物を持ち逃げしたというものです。当たり前ですが、被験者たちはこの明らかに手癖の悪い人物を、嫌な、卑劣で薄情な人物であると評価しました。
次に、研究者はフランシスの第一印象を良くしようと、参加者たちの表面的な感情だけでなく、潜在的な感情も観測しながら、最悪な第一印象を改善すべくさまざまなテストを行いました。
天秤のバランスを取ろうとするのはやめましょう
最初の戦略はシンプルかつ直観的です。被験者たちに、フランシスが近づいてくる電車から赤ん坊を助けたという英雄談を伝え、彼のプラスの面を見せることで天秤のバランスを取ろうとしてみました。
何らかの善い行いが第一印象を改善するなら、この自己犠牲的で勇敢な行為は効果的なはずなのですが、実際には効果なしでした。フランシスの勇気にもかかわらず、潜在的バイアスのテストによると、参加者たちは彼に対する「いかがわしい男」という印象をぬぐい去ることはできなかったことが示されました。
また、研究者側は参加者たちに、家宅侵入罪の最初の告発に関して、警察が誤逮捕した、もしくは証人が証言を撤回したことを伝えてみました。理論的に言えば、フランシスに対する参加者たちの印象は回復したはずです。しかし、テストによると、最初のネガティブな印象が依然として影を落としていました。
効果的なこと
それでは、最終的に参加者たちの第一印象を変えたのは何だったのでしょうか? フランシスに関する追加情報も、最初の情報は無効であったという直接的な提示も、効果はなかったのですが、別の情報によって、ついに参加者たちの敵意を払拭できました。
それは被験者たちがフランシスの「動機」の見解を(良い意味で)明らかにするような、彼の「罪」に関するシナリオの書き換えでした。BPSはこの発見に関して次のように報告しています。
参加者たちに、最初のネガティブな情報についての新しい見方を与えれば、潜在的な評価はすぐに変えることが可能です。[研究者側は]どんでん返しを提示したのです:フランシスが押し入ったのは燃えさかる家であり、彼が持ち出した宝物というのは、家から出られなくなった子どもたちのことなのだと。この意外な新事実によって、フランシスに対する印象は、悪いものから良いものに変化したのです。
悪い第一印象を変えたいと思う人にとって、ポイントは非常にはっきりしています。相手側に自分に関する新しい情報(たとえ赤ん坊を救出したとしても、おそらく相手側の印象は変わらないでしょう)を提供しようとするのではなく、悪印象を与えた行動に関して、相手にとって信憑性があり共感できる説明を行うことです。
ですから、初回の打ち合せに遅刻したとき、本当に必要なのは、遅れたのは子どもが病気になって医者に連れて行ったからだ、と知らせることです。
また、冗談を言おうとしたがさっぱりうけなかったときは、自分は尊敬する人に対しては特に印象を与えようとするため少し緊張してしまうのだ、と説明を加えるとよいでしょう。
つまり、この研究結果についてBPSがまとめているように、「たいていの場合、過去の難局は上塗りせずに対処するべきなのです。」
This Is How You Turn Around a Bad First Impression | Inc.com
Jessica Stillman(訳:コニャック)
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