(2015年7月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
事実上破産したことを発表するのに最適なタイミングなどというものは存在しない。だが、米領プエルトリコにとっては、6月末は大半の時期よりましだった。
6月28日、プエルトリコ政府は長らく計画していた経済報告書を発表した。
世界銀行の元チーフエコノミスト、アン・クルーガー氏が書いた報告書は、プエルトリコが財政危機にあると宣言していた。
アレハンドロ・ガルシア・パディラ知事は、島が抱える720億ドルの債務は今、「支払うことができない」と話している。
だが、発表は大きな不安の種をまくどころか、債券価格が揺らいだだけだった。というのも、ギリシャが全面的な金融危機に陥り、中国市場が急落する中で、プエルトリコが明らかにした事実はほとんど付け足しのように思えたからだ。
クルーガー報告書が浮き彫りにした2つのポイント
とはいえ、プエルトリコで起きていることを無視するのは間違いだ。クルーガー教授の報告書は2つの重要なポイントを浮き彫りにしているからだ。
まず、過剰債務やお粗末な統治、不透明な財政と奮闘している場所はギリシャだけではないということ。次に、欧州と同様に米国も是非とも、公的部門の過剰債務に対処するにあたって、より想像的――そして実際的――になる必要があるということだ。
プエルトリコを苦しめている問題は、単に720億ドルの債務の山だけでなく、債務を再編する明確なメカニズムが存在しないという事実だ。プエルトリコは地方債市場で大荒れの時期を迎えそうだ。イリノイ州など、債務に苦しむ他の組織も近く嵐に巻き込まれるかもしれない。