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 長崎県議会(定数46)の自民、公明両会派は、安倍政権が制定を目指している安全保障関連法案の今国会での成立を求める意見書案を出す方針を固めた。両会派は同県議会の過半数を占めており、9日の本会議で可決される見通しだ。

 全国都道府県議会議長会によると、6月30日現在、同法案に賛同する議決の報告はないという。

 意見書案によると、日本の安全確保のためには「あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法整備を行うことが必要」と指摘。「国会審議のなかで国民の理解を得る努力を図り、必要な審議が尽くされた際には、平和安全法制の今国会での成立を図るよう強く求める」としている。

 自民県議は朝日新聞の取材に対し、「国境の離島を持つ長崎として、(安保法制は)必要だと考えている」と説明している。

 同県議会では、民主・社民系の会派(7人)が法案の撤回を求める意見書案を出す方針。「憲法との整合性を含めて、国民的な議論を行うよう要請する」などとしている。

■嘉麻市議会は反対の意見書可決

 一方、福岡県嘉麻市議会(定数18)は30日、議員提案の「『戦争法』制定に反対する意見書」案を賛成9、反対7の賛成多数で可決した。意見書は、安保法案を「戦争を準備するための『戦争法案』と言うべきものだ」と厳しく批判している。

 意見書は「自衛隊の武力行使の条件を整備し、これまで自国防衛以外の目的に行使できなかった自衛隊の力を、米国等の求めに応じて自由に行使できるようにするもの」と指摘し、法案を憲法違反と主張。「平和憲法下のわが国の基本政策を転換し、戦争を放棄した平和国家日本のあり方を根本から変える」として、集団的自衛権の行使を認めた閣議決定の撤回と法案の制定断念を求めた。(小野太郎、垣花昌弘)