それで結局増税でゲーセンはどうなったのか
ご飯食べて会社行ってゲームやって寝るを繰り返すくだらない人生ですが、2つだけ時々やってることがあります。
1つは本屋に行った時、全く興味がなさそうな雑誌コーナーに行って、全く興味のない本を眺めて「なにこれ全然興味ねぇ」と思いながら買って帰って「うわぁ本当興味沸かねぇ…」と思いながら読むこと。
高尚な紀行誌っぽい雑誌を読むと「なんだか難しい人たちだなぁ…」という気分になれるし、釣りの雑誌を読むと「なんだか変な道具だなぁ…」という感想以外何も出てこなくて、内容が一つも頭に入ってきません。2回くらい寝ると読んだことすら忘れて、ある日本棚に入っている謎の雑誌を見つけて無駄金払ったことを後悔するので、ぜひ一度やってみてください。オススメ。
もう1つは、ゲーセンのメダルゲームコーナーで暇そうな老人たちに混ざりながら、白目剥いてメダルを入れ続けること。メダルゲームというのは、メダルを入れること以外にすることが本当に何もありませんので、遊んでいるとだんだん頭がボーっとしてきます。「なぜ世界から争いはなくならないのか」「ダイドーの自販機は本当に当たりが出ることがあるのか」「仮に当たりが出たとしても、その場でもう1本出てきても困るのではないか」そんなことを頭によぎらせながら、淡々とメダルを入れていくのがメダルゲームです。
その作業性においてメダルゲームはソシャゲと似てるところがあって、「勝った場合にもらえる景品が次のゲームにつぎ込むための資源」というところも同じです。無限に続くゲームを無限に遊び続けるユーザーの脳は宇宙と化します。
この間もメダルゲーやりにアドアーズ行ったんですけど、「今月誕生日の人はコイン2倍キャンペーン」とかやってたので、1000円払ったらコイン1000枚もらえて、しかも遊んでいるうちにそれなりにメダルの排出もあるので、一向にメダルが減らないわけですよ。小一時間遊んでメダル使いきって帰ろうと思ってたのに、大貝獣物語でバイオベースに囚われた人みたいに「あ…あ…」とか言いながら目の焦点をぼかしてメダルを淡々と高速投入していく作業に4時間使った上に、結局メダル消費しきらなくて500枚くらい預けて帰るという事態。メダル大放出過ぎる…。
一体アドアーズの経営はどうなっているんだ。大丈夫なのか。
という話をここから。
シュリンクしていくゲーセン市場に対して、各運営会社は不採算店舗の閉鎖やコスト削減で、売上を落としつつも営業利益自体はそれなりに確保してきた中で、遂にやってきた悪魔の消費税増税。「コインいっこ入れる」という伝統的単価制約からの脱却にもがく中で、増税のデンプシーロールが迫ってくる。一体これからど~なっちゃうの!?というのが前回までのあらすじ。
上場企業の決算におけるゲーセン運営事業の数字を抜粋していくと、ゲーセン業界全体の状況についての流れを見ることができます。
売上の合算値は前年比95%。これまでの減少トレンドを踏まえつつ、消費税増税効果の約3%がきれいに反映した形になっています。PASELIで一時的に値上げしたゲーセンもいくつか目にしましたけど、結局100円玉との差別化問題が出てきて、結果的にPASELIの値段が100円玉に引っ張られる形で下がってくるみたいな感じでしたね。タイトーの導入する電子マネーも、構造的には同じ問題を抱えます。
電子マネーはあくまで支払手段の多様化であって、価格問題の解決手段ではないですね。100円玉で支払うことができなくしなければ100円玉には勝てないですけど、わざわざ顧客の支払手段を縛っていくマゾプレイなんてないですし、やっても他のゲーセンに行かれてしまうだけです。
「コインいっこ入れる」から脱却する方法は何か、答えなさい(論述・100点)を業界全体で解いているという感じ。
利益は赤字から脱却したバンナムと海外新規出店でトントン着地のイオンファンタジーを除いてすべて減益。バンナムの回復分を足して全体では同水準の推移といったところ。なお、ラウンドワンは、アミューズメント単体の利益が公開されていないので集計対象外としています。
バンナムについても、大型店への集中化や経費節減で利益を残したものであって、売上自体は減少している減収増益の形。減収減益よりマシとはいえ、小さくなったケーキを効率的に分けただけであって、全体的に世知辛い感じに。
個社ごとに売上・利益動向を前年と比較した分布図を見るとこんな感じ。左下の象限が減収減益となっている企業群で、だいたいがそこに属しています。経費節減で利益を回復したバンナムと海外に70店舗新規出店したイオンファンタジーが例外ですが、イオンもこれだけ店を出して売上が前年とトントンということは既存店は売上減と見られます。しょっぱい。
消費税10%という2発目のパンチも控える中、「コインいっこ問題」の解決アイディアが求められているところですが、そこに一応の回答を出しているのが、売上高を前年比104.4%と伸ばしたラウンドワン。他社の売上は、海外新規出店の多かったイオンファンタジーが概ねトントンで、あとはすべて減収なので、唯一大きく増収を達成した企業になっています。要因はいわゆる「遊び放題プラン」。遊び放題はアドアーズとかでも見たりはしますけどね。遊び放題の課金対象が「時間」であるように、基本的には単価100円と全く違う物差しによる徴収方法に進むしか道はない感じです。
ただ、いずれの解決方法を取るにせよ、小さくなるパイを大きくするという話ですから、結果的にはユーザーの負担は必ず大きくなるのでしょう。課金方法というのは、それをアコギに見せるか、良心的に見せるか、という見せ方の違いしかありません。
以前にも言った気がしますけど、上場企業のような他店舗展開する大手は、いわゆるスクラップアンドビルド戦略が取れて、バンナムみたいに効率の悪い店舗を閉鎖して良立地物件に再展開できるのですが、中小は今あるところで戦うしか選択肢がないので、盛り返し方の手段が限られるところがあります。閉鎖しようにも、そもそも店舗がそこにしかないっていう。
その辺は、大手の状況がこんな感じなので中小は推して知るべしというとこで。あくまで「総体としては」という話で、個々に見ると上手くやってるところもないわけじゃないでしょうけれども。
ところで音ゲーの高難易度とかCaveシューの二周目プレイとか見てると「これ完全に修行か何かじゃねーか」と思ったことはありませんか。
この状況を抜本的に解決するアイディアとして、音ゲーマーとかケイブ信者が日々修行しているゲーセンは高い宗教性が認められる施設であるとして宗教法人として申請すれば非課税になるのでウルトラCであり、全国のゲーセンを修行施設扱いにしてプレイ料金はお布施ということにして門徒台帳とか作ってウメハラあたりを神と崇めたらみんな助かるんじゃないかと思ったのですが、調べたら宗教法人は消費税の納税義務があるそうです。他の方法を検討したほうが良いと思われます。
1つは本屋に行った時、全く興味がなさそうな雑誌コーナーに行って、全く興味のない本を眺めて「なにこれ全然興味ねぇ」と思いながら買って帰って「うわぁ本当興味沸かねぇ…」と思いながら読むこと。
高尚な紀行誌っぽい雑誌を読むと「なんだか難しい人たちだなぁ…」という気分になれるし、釣りの雑誌を読むと「なんだか変な道具だなぁ…」という感想以外何も出てこなくて、内容が一つも頭に入ってきません。2回くらい寝ると読んだことすら忘れて、ある日本棚に入っている謎の雑誌を見つけて無駄金払ったことを後悔するので、ぜひ一度やってみてください。オススメ。
もう1つは、ゲーセンのメダルゲームコーナーで暇そうな老人たちに混ざりながら、白目剥いてメダルを入れ続けること。メダルゲームというのは、メダルを入れること以外にすることが本当に何もありませんので、遊んでいるとだんだん頭がボーっとしてきます。「なぜ世界から争いはなくならないのか」「ダイドーの自販機は本当に当たりが出ることがあるのか」「仮に当たりが出たとしても、その場でもう1本出てきても困るのではないか」そんなことを頭によぎらせながら、淡々とメダルを入れていくのがメダルゲームです。
その作業性においてメダルゲームはソシャゲと似てるところがあって、「勝った場合にもらえる景品が次のゲームにつぎ込むための資源」というところも同じです。無限に続くゲームを無限に遊び続けるユーザーの脳は宇宙と化します。
この間もメダルゲーやりにアドアーズ行ったんですけど、「今月誕生日の人はコイン2倍キャンペーン」とかやってたので、1000円払ったらコイン1000枚もらえて、しかも遊んでいるうちにそれなりにメダルの排出もあるので、一向にメダルが減らないわけですよ。小一時間遊んでメダル使いきって帰ろうと思ってたのに、大貝獣物語でバイオベースに囚われた人みたいに「あ…あ…」とか言いながら目の焦点をぼかしてメダルを淡々と高速投入していく作業に4時間使った上に、結局メダル消費しきらなくて500枚くらい預けて帰るという事態。メダル大放出過ぎる…。
一体アドアーズの経営はどうなっているんだ。大丈夫なのか。
という話をここから。
シュリンクしていくゲーセン市場に対して、各運営会社は不採算店舗の閉鎖やコスト削減で、売上を落としつつも営業利益自体はそれなりに確保してきた中で、遂にやってきた悪魔の消費税増税。「コインいっこ入れる」という伝統的単価制約からの脱却にもがく中で、増税のデンプシーロールが迫ってくる。一体これからど~なっちゃうの!?というのが前回までのあらすじ。
上場企業の決算におけるゲーセン運営事業の数字を抜粋していくと、ゲーセン業界全体の状況についての流れを見ることができます。
売上の合算値は前年比95%。これまでの減少トレンドを踏まえつつ、消費税増税効果の約3%がきれいに反映した形になっています。PASELIで一時的に値上げしたゲーセンもいくつか目にしましたけど、結局100円玉との差別化問題が出てきて、結果的にPASELIの値段が100円玉に引っ張られる形で下がってくるみたいな感じでしたね。タイトーの導入する電子マネーも、構造的には同じ問題を抱えます。
電子マネーはあくまで支払手段の多様化であって、価格問題の解決手段ではないですね。100円玉で支払うことができなくしなければ100円玉には勝てないですけど、わざわざ顧客の支払手段を縛っていくマゾプレイなんてないですし、やっても他のゲーセンに行かれてしまうだけです。
「コインいっこ入れる」から脱却する方法は何か、答えなさい(論述・100点)を業界全体で解いているという感じ。
利益は赤字から脱却したバンナムと海外新規出店でトントン着地のイオンファンタジーを除いてすべて減益。バンナムの回復分を足して全体では同水準の推移といったところ。なお、ラウンドワンは、アミューズメント単体の利益が公開されていないので集計対象外としています。
バンナムについても、大型店への集中化や経費節減で利益を残したものであって、売上自体は減少している減収増益の形。減収減益よりマシとはいえ、小さくなったケーキを効率的に分けただけであって、全体的に世知辛い感じに。
個社ごとに売上・利益動向を前年と比較した分布図を見るとこんな感じ。左下の象限が減収減益となっている企業群で、だいたいがそこに属しています。経費節減で利益を回復したバンナムと海外に70店舗新規出店したイオンファンタジーが例外ですが、イオンもこれだけ店を出して売上が前年とトントンということは既存店は売上減と見られます。しょっぱい。
消費税10%という2発目のパンチも控える中、「コインいっこ問題」の解決アイディアが求められているところですが、そこに一応の回答を出しているのが、売上高を前年比104.4%と伸ばしたラウンドワン。他社の売上は、海外新規出店の多かったイオンファンタジーが概ねトントンで、あとはすべて減収なので、唯一大きく増収を達成した企業になっています。要因はいわゆる「遊び放題プラン」。遊び放題はアドアーズとかでも見たりはしますけどね。遊び放題の課金対象が「時間」であるように、基本的には単価100円と全く違う物差しによる徴収方法に進むしか道はない感じです。
ただ、いずれの解決方法を取るにせよ、小さくなるパイを大きくするという話ですから、結果的にはユーザーの負担は必ず大きくなるのでしょう。課金方法というのは、それをアコギに見せるか、良心的に見せるか、という見せ方の違いしかありません。
以前にも言った気がしますけど、上場企業のような他店舗展開する大手は、いわゆるスクラップアンドビルド戦略が取れて、バンナムみたいに効率の悪い店舗を閉鎖して良立地物件に再展開できるのですが、中小は今あるところで戦うしか選択肢がないので、盛り返し方の手段が限られるところがあります。閉鎖しようにも、そもそも店舗がそこにしかないっていう。
その辺は、大手の状況がこんな感じなので中小は推して知るべしというとこで。あくまで「総体としては」という話で、個々に見ると上手くやってるところもないわけじゃないでしょうけれども。
ところで音ゲーの高難易度とかCaveシューの二周目プレイとか見てると「これ完全に修行か何かじゃねーか」と思ったことはありませんか。
この状況を抜本的に解決するアイディアとして、音ゲーマーとかケイブ信者が日々修行しているゲーセンは高い宗教性が認められる施設であるとして宗教法人として申請すれば非課税になるのでウルトラCであり、全国のゲーセンを修行施設扱いにしてプレイ料金はお布施ということにして門徒台帳とか作ってウメハラあたりを神と崇めたらみんな助かるんじゃないかと思ったのですが、調べたら宗教法人は消費税の納税義務があるそうです。他の方法を検討したほうが良いと思われます。