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2015年7月 3日 (金)

2泊3日の入院 *私の昼ごはん*

 麻酔から目覚めた娘の最初の一言は 「ごはん・・・ 食べれる?」 だった。 お腹が空くというのは生きている証である。 昨日 昼過ぎに病棟に入ったときから食事は一切食べず 水分管理も徹底している。 しかも付き添う親まで病棟で食べるのは不可能である。 徹底した管理体制は 原則完全看護と銘打っているだけのことはあった。 
 だから入院したその日に 医師に質問はあるかと聞かれればもちろんします食事の話。 消化器科・麻酔科医ともに 「遅食で昼がでます」 と言い切っていた。 スケジュールは 9時に処置室へ行き麻酔(イチゴの香り)で眠る。 上下内視鏡を入れて2時間後(11時頃)には病棟に戻り 麻酔から覚めるのは1時頃の予定。 1時10分に支持された水分を摂取してから食べれるというお話。 

・・・ 娘よ どうやら昼飯は食べれるらしい ・・・

 そして同じ質問を 病棟の担当看護師にぶつける。 昼・夜担当とも同じことを言った。 
「お昼ごはんは12時からなので 1時だとお出しすることは出来ません。 最初の食事は 3時のおやつになります。」 
 その時 思ったことは 娘に明日の昼ごはんは食べれるからねって言わなくてよかった♡ である。
 都合の悪い事(宿題しなさい とか 今日はお友達と遊べません) は 自動的に記憶から消去される短期記憶の障害あり(?)だが 「明日おでかけするからね」 とか お手伝いしたらご褒美の10円♡ は絶対忘れない記憶障害ありである。 しかも発達検査でもそれは証明されている不思議ちゃんである。 こういうタイプなので 「昼飯なし」 という自分に都合悪い記憶は消去され ・・・ 夕飯も何度も食べれないと言っても 待ち続けていた娘 ・・・ 「あるよ」 と言えば絶対 「言ったじゃん! 嘘つき!!」 とののしられる。
 そして何事もスケジュール通りにいかないのが病院である。 まだやってもいない検査について 「どっちなんですか!?」 と医者にも看護師にも追及しないビミョーに病院慣れした母親が一人。
「ママも ご飯食べないで 一緒に頑張るからね!!」 
 浣腸に疲れ果てた娘は 精神的にもダメージを受けたからか 眠りにつくのは早かった。 そして当然裏切り者が一人。 娘の前では頑張るが 寝たら話は別である。 9時過ぎに開いている店もなく 病院に入っているコンビニで食事を 購入。 ファミリールームでテレビを見ながらひとり食べる。 
 睡眠前に飲んだ薬(下剤)が効いて 2時・3時・5時と娘に起こされる。 
「小学生なんだし 完全看護だし たまには一人で入院しろ!」 と言った父親だがナースコールを押して 直ぐ看護師が来るとは限らない。 一緒に付き添って良かったと改めて思った。 朝6時起床・朝の薬を空っぽの胃に流し込む 7時までにコップ一杯のお茶が出て水分ストップ。 飲めと言われると 「飲みたくない」 というのが子供である。 そしてストップかけてから泣き叫んだ幼児期 ・・・ 小学生になるとイメージ出来るのか 素直に従うあたりが成長記録。 でも・・・
「これで もう お水飲めないからね」 「うん♡ わかった」 という返事もむなしく 周囲に朝食が配られると おもちゃのおいてあるプレイエリアから速攻で病室に戻りテーブルの前に座る良い子が一人。 待てど暮らせど カーテンが動く気配なしsweat02
「ママ ・・・ ご飯は?」 
「検査するから ありませんsweat01」 
「え~sweat02 そうだっけ?」 
「そう言ったよ」
「じゃあ・・・ のどかわいた」 
「もう 飲めませんsweat02」 
 延々につづくやり取り。 ナチュラルなのか 記憶障害なのか 説明されても現実がイメージ出来ないのが子供だからなのか・・・ 自分の娘のことなのに分からない母親が一人 ・・・ でもきっとこんな感じだろうと予測は出来ていた。 娘のタイプは理解していた。 だから予測通りで 心の中で一人笑っていた。

 検査前に眠れる薬(液体)を 飲むと看護婦さんから説明される。 
「それは オレンジ色のシロップですか? オレンジだと飲めません。 吐きます。 逆流します。」 
 正直に 心臓の手術やカテ前の水分ストップ時の経験を語る。
「トリクロですか? うちは透明なバナナ味のシロップで 大好きな子と飲めない子と評価は分かれています。」 
 ・・・ バナナかぁ ・・・ 娘は澄ましてパズルしながら大人の話を聞いていた。 飲みたいとも飲めるとも言わないあたりが 撃沈しそうな雰囲気を醸し出していた。 

 移動するベッドに乗り 眠くなるお薬を看護師が手渡す。 大量の心臓の薬を 5mmシリンダーで飲むのを看護師は知っているので シリンダーに入った液体を娘に手渡す。 
 ・・・ あっ! 止めた方がいいです ・・・ そう言う前に娘は 恐る恐る試飲。 0.5mmで口に苦味が広がり 「無理! 飲まない!!」 と頑張り始める。 そう どんなに甘い薬でも 後味とは残るもので水が飲めないのは苦しい。 その後 看護師が 「喉の奥に入れてあげるから ごくんといっちゃいましょう!」 と説得するが 説得に応じず 麻酔科医との交渉で薬飲まずに処置室に移動が決定!!
 お別れのエレベーターホールまで付き添う。 頭までタオルをかけオラフ人形を抱きしめていた。 別れはいつも笑顔だった。 私も娘も笑顔で 絶対また会えると信じる! 夫は渋滞にはまり 1~2分差で出発に間に合わなかった。 当然朝から何も食べてないので コーヒーショップに直行する母親。 モーニングセットを食べて パソコンをひらいた途端連絡が来た。 
「もうすぐ終わります。」 10時過ぎだった。 予定より早いのは スムーズに検査が進み悪い所など無かったかもしれないshine と自己中心的な妄想に入る。 
 病室で待機し 娘がもどり 医師から説明を受ける。 奈落の底に落ちた気分であった。

「何か質問は ありますか?」 と聞かれ 完全にパニックに陥ってた頭の中(吐血についてのイメージトレーニングを開始しながら・・・) 口から飛び出たのは・・・ 
「検査が1時間早く終わったので 水分摂取開始の時間も早まりますよね?」 だった。
「はい。 12時10分から飲めます。」 
「では昼食も出ますか?」 
「はい。 出ます。」
「昨日看護師に確認したら 遅食ではなく3時のおやつが最初の食事と言われたのですが・・・ 本当に出ますか?」
「大丈夫。 遅食で出ます。」 と言い切っていた。
 だから目覚めた娘に不覚にも 「お水飲んだら ご飯が出るからね」 と言ってしまった。

 最初の一口は 看護師が付き添う。 その後 残りのコップの水が飲み終わったら連絡くださいと緩い感じだった。 そのゆるさは 丁度昼食の時間 つまり看護師が交代で昼休み休憩を取っていたから担当ではない看護師たちが 総出で対応していた。 昨日の昼食が最後のごはんだったので 娘のやる気スイッチが入る。 コップのお茶一気飲みである。 
「ご飯出る?」 周囲のベッドは昼食が配膳され 香り漂う昼食時である。
「出るよ」 笑顔で押したナースコールの先へ 「コップ一杯飲み終わりました」 と報告。 
 それを取りに来た看護師が 質問した。 
「飲み終わったら 何か あるんですか?」 
 直感した。 検査が1時間前倒したこと = 昼食STOP解除の伝達は 看護師に伝わっていなかったと見た。 看護師とは 医者からの指示があって始めて動ける職業である。 入院しているからといって 勝手に食事はでてこない。 でもその仕事は医師の仕事ではない。 私は経験で知っていた。 だからやんわりと医者のせいにした。
「検査の結果説明の時に 医師から昼食は遅れて出てくると説明があったのですが・・・ (でないんですか?)」 
 おもいっきり首を傾けて すっとぼけた。 一瞬かたまった看護師の表情。 
「今・・・・ 確認しますね」 直ぐに回れ右をして背中を向けた仕事の速さを評価したい。 

 私が首をかたむければ エサのお皿を高く掲げて 「マテ!」 と命令を下した仔犬のような表情で待つ娘。 
「ま~だ~ぁ?」 「まだ!」 「ま~だ~?」 「まだ」 
 あまりにもうるさいのでナースステーション(ガラス張り)を見学。 そこには電話を片手に看護師総動員で動く機敏な姿が見えた。 これだけ目に見えてバタバタすると何か事件がおこったな・・・ と経験で分かってしまう。 でもそれが娘の昼食かぁ・・・ ゆるいなぁ・・・ と思わず娘の場所に戻ってしまった。
 するとそこには 「マテ!」 と言われてしっぽを振りながら待つ娘の姿を見た。

♪ ごはん♪ ごはん♪ 私のご飯(ポン) ご飯♪ ごはん♪ なんだろなぁ (ポン) ご飯♪ ごはん♪ 私のご飯 (ポン) ご飯♪ ごはん♪ 何でしょね~♪

 唄っていたsweat02 しかも・・・ メロディつけて膝をポンポン叩きながら テンション高め。 麻酔から覚めて 眠くてフラフラ・・・ という文字はそこにはない。 母親はチェックしていた本日の昼食メニュー それはタンドーリチキンとバターライスと野菜スープ。 カレーの匂いが嫌いな子供はいない。 カレーほど食欲をそそる香りはない。 ある意味残酷物語である。 
 だから楽しそうに歌う娘を見ていられなかった。

「ママ・・・ ちょっとトイレに行ってくる。」 少し距離を置き 戻ったら娘は静かにテーブルの前に 座っていた。 この豹変ぶりに母親がビックリ。
「・・・ 看護師さん ・・・なんか言ってた?」 
 とりあえず聞いてみた。 
「ん~down なんか私のご飯(誰がとは言わないが)忘れちゃってたから今作ってるって・・・downdowndownchick」 
 娘の歌声は 病室から離れたトイレの入り口まで聞こえた。 病棟にひびきわたる歌声は当然ガラス張りのナースステーションまで聞こえただろうと思った。 看護師さんsweat02 お見事です。 このウルサイ歌声を 上手に黙らせてくれて ありがとう。 
 母親は 24時間食止めの娘の気持ちと 軽く裏切った罪悪感から心が痛かったsweat01 本気で娘と飲まず食わずの根性比べをしていたら (空腹のあまり)怒り心頭で怒鳴り込んでいた(かも知れない)自分を想像する。 そしてナチュラルに 「自分は医師の術後説明を聞いていないから知りません」 と言わない看護師にプロ魂を見た。

 それでも12時半位には届いた食事。 目をキラキラさせながら昼食を完食し再び眠る娘。 どうやら昨晩の睡眠不足も手伝ってか すとーんと眠りに落ちた。 娘の髪をなでながら思った。

 ・・・ ずいぶん面白く育ったものだ ・・・・ と。 

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