テクノロジーを極めれば社会通念を突破しても構わないと考える懲りない人々
山本一郎 | 個人投資家
山本一郎です。どうも週末に子供から風邪を移されたのか咳が止まりません。
ところで、Android監視ツールという名目で国内販売されている製品が、セキュリティ対策事業者から悪意のあるソフトウェア(マルウェア)としてめでたく認定された模様です。
LINEからのデータを搾取するモバイルマルウェアを日本で発見(Lookout)
なるほど、マルウェアとして知れ渡っているプログラムをわざわざ製品の中に組み込んで販売しているということですか、これは悪質ですね。
全然だめですな。
問題の製品は「Androidアナライザー」という名称で、この記事を書いている時点では以下のサイトから購入できるようです。
Androidアナライザー(株式会社インターナル)
価格の方は決して安くありません。個人向けで9800円、企業向け版は5万9800円もしております。なかなか興味深いのは、わざわざ以下のような但し書きが明示されているところでしょうか。
暗に、法律に抵触する行為、公序良俗に反する行為、その他犯罪行為を助長する目的で利用可能ですと宣伝しているとも読めます。
さらに、この製品を売っている企業、実は過去にもやらかしていたことが報道によって明らかにされております。
LINEメッセージも? Android端末のデータを第三者が読み取れるソフト、セキュリティ会社が警告(ITmedia 15/7/3)
なるほど、当ブログでも当時その件に触れたことがありました。
電子書籍ビジネスが何やら焦臭い感じです(14/5/29)
やる奴はだいたい何度でもやるという事例なのでありましょうか。
今読み返すと、その時もやはり怪しげなソフトをかなりの高額で販売して儲けていたようでして、ある種の情弱につけ込んだ詐欺商売だったわけでもありますが、今回の件からするとこの会社の中の人達はまったく懲りてなかったということなのでしょうか。
Webサイトにある会社情報を見ますと、企業理念は「不可能を可能にするエンジニアリングカンパニー」、企業ビジョンは「世界最強の企業」などとあって、テクノロジーを極めれば社会通念を突破しても構わないと考えるような意識の高い人々が集っているのかもしれません。
要するに「技術を信奉する自分が良ければそれでいい」という自分本位なMAD系の組織の可能性もあるわけなんですが、興味を持ってサイトをしげしげと眺めているとGLBTの項目がわざわざ設けてあります。
こういうマイノリティに対する理解はあるはずなのに、悪意を持って使おうと思えば容易に転用できてしまうサービスを開発して堂々と売ろうとしてしまうところに微妙なダブルスタンダードを感じます。
なんとかそういうダークな魂をもう少し健全な生産性の方向へ向けられないものなんでしょうかね。
自分のことを棚に上げて言うわけですが。