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 自転車事故を扱ったフジテレビの番組で名誉を傷つけられたとして、母親が自転車にはねられて亡くなった都内の男性(44)が5日、記者会見し、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に審理を申し立てる書類を郵送したと発表した。

 申立書によると、番組は2月17日放送の情報バラエティー「カスペ!『あなたの知るかもしれない世界6』」。実話に基づいた話として、自転車事故で賠償金1500万円を受け取った被害者が、実はわざと事故を起こす「当たり屋」だったというドラマを流した。冒頭で、男性が事故防止を訴えるインタビュー映像が流れたが、当たり屋を取り上げることは知らされていなかったという。

 男性は被害者の多くが当たり屋だとの誤解を与えかねない放送だったと指摘。「被害者や遺族を愚弄(ぐろう)する内容に自分の映像が使われて、許せない」と話した。

 また男性が参加する「関東交通犯罪遺族の会」も5日、放送の一部に虚偽があるとして、BPOの放送倫理検証委員会に意見書を郵送した。

 フジテレビは「男性や遺族の会の皆様が不快な思いをされたことには申し訳なく思い、誠意をもって対応してきました。番組は複数の取材や専門家の監修に基づき制作しており、虚偽放送ではないと考えています」とコメントした。(滝沢卓)