薬剤価格が安くなるのであれば毎年改定すれば良さそうなものなのです。ところが、薬剤の安定供給という観点からすると、これには問題があるのです。
薬剤は原料の準備のために半年先くらいの需要を予測して、在庫を確保する必要があります。もしも毎年、薬剤価格が変わると、製薬会社は、価格の下がった在庫を抱えざるを得なくなります。かといって在庫を持たないと、安定供給できない場合が発生することになるというわけです。
「有効性、安全性は先発品と同じ」という説明はもうやめよ
これまで政府は、一貫して「ジェネリックは有効性と安全性において先発品と同じである」と説明してきました。もし本当にそうなのであれば、ジェネリック数値目標を“数年後に80%“とするのではなく、今すぐ「保険給付は『ジェネリック医薬品処方』のみを対象とし、先発品を希望される方には差額を支払ってもらう」と制度を変えても何の問題もないはずです。
しかし、これまで述べたように、(ごく一部かもしれませんが)現場の医師は、ジェネリックにより健康被害を引き起こす事例が存在することが分かっています。また、製薬関係者も、ジェネリックは安定供給において不安があることを否定できないでしょう。
ジェネリックの有用性は確かに分かります。しかし、ジェネリックをほぼ義務化する前に、まず政府は「ジェネリック医薬品は安定供給や信頼性、情報提供の充実などに先発品との差が存在し、また添加物の差により効果に差が出ることもある」ときちんと説明してほしいと切に願います。