奈良・小6女児監禁:その時、両手首を結束バンドで縛られ
毎日新聞 2015年07月05日 23時54分(最終更新 07月06日 00時07分)
◇奈良県警、26歳無職男を監禁容疑で現行犯逮捕
家族4人で買い物に訪れた店で、奈良県香芝市の小学6年の女児(11)が連れ去られた事件は、1日たった5日、女児が無事保護され、関係者はホッと胸をなで下ろした。車や人の通りも多いベッドタウンの土曜の白昼に何があったのか。県警は監禁容疑で現行犯逮捕した同県橿原市南八木町1、無職、伊藤優容疑者(26)を取り調べ、解明を進める。
女児が見つかったのは、連れ去られた香芝市のリサイクルショップ「開放倉庫香芝店」から約5キロ南東の同県大和高田市内だった。捜査関係者によると、伊藤容疑者と一緒に車に乗り、両手首を結束バンドで縛られていたという。
「午後9時45分ごろ、騒がしいので外に出ると、警察官が20人ほど集まっていた。通行人らから『女の子は大丈夫ですか』という声が飛んだ。捜査車両に女の子が座っていたのが見えた。特にけがしているようには見えなかったが、かなり憔悴(しょうすい)している様子だった」。大和高田市に住む男性調理師(27)はそう話した。
伊藤容疑者は午後9時50分過ぎ、捜査車の後部座席の中央に捜査員に挟まれる形で座り、香芝署に到着した。青いジャンパーを頭からスッポリとかぶり、表情はうかがえなかった。午後10時40分ごろには、女児の家族を乗せた車が同署に入った。
現場となった香芝市のリサイクルショップ「開放倉庫香芝店」は国道168号につながる交通量の多い市道を挟む形で、北館と南館がある。北館では古本やゲーム、おもちゃなどを販売。南館では古着やアクセサリー、デジタル家電など大人向けの商品を扱っている。小学生の娘と訪れた同市の男性会社員(36)は「土日は客が多い店。まさか小学生が行方不明になるなんて」と驚いた。
女児は母親と一緒に北館にいたが、南館にしかないトイレに1人で行った。トイレは店の外側からしか入れず、駐車場の奥にある。店からは死角になりやすい場所で、「あのトイレには行かない」と話す地元の小学生もいた。県警は、どのようにして女児を連れ去ったのか、伊藤容疑者を追及する。
女児は今春、県内の別の自治体から引っ越してきたばかりだった。女児が通う小学校の校長は5日午後、市役所で記者会見し、「新しい環境にも慣れ、友達もできていた。元気に戻ってほしい」と願っていた。無事保護の報を聞き、「ひとまずホッとした。無事でよかった」と話した。6日の全校朝会で、女児の無事を全生徒に伝えるといい、同時に児童らに注意喚起もするという。【伊澤拓也、矢追健介、山本和良】