俺はただただ楽しいばかりの映画を評するときに「観ているだけで知能が下がる」という言い回しを好んで使います。余計な事を考えずに楽しむべき映画を前にすると、人間の体は自然と受け入れ態勢になって余計な事を考えられないようにするのです。
マッドマックスだしね。できるだけシャットダウンはしていたものの、漏れ聞こえてくる情報からも相当期待ができそうなので、今回はあらかじめ知能のゲージを20%ぐらいまで下げて挑みました。挑んだんだけど。
いくらマッドマックスだからって度を越しているだろう。ドーフ・ワゴンが出た時点で知能が下がるどころか消し飛んだっつーの。以降ギターが火を噴くたびに5億ポイントづつ下がる俺の知能。(マイナス)
いやもうすごいよ。ホントすごいよ……。どうやったらこんな頭の悪そうな車ばっかりデザインできるんだ。設定資料が見たくて生まれて初めて映画のパンフ買ったよ俺。最高だった。
以下、ネタバレあり。
- 幕が開けたら2分でヒャッハー
- 誰も「ヒャッハー」とは言わないけどヒャッハー
- 「暴走族やそれに類する集団がバイクや車で人を襲う」というシチュエーションが一言で説明できるのでヒャッハー便利
- 砦で刺青を刻まれ焼き印を押されそうになったマックスさん、すみやかに脱出を図る
- 追い詰められた先はお約束の絶壁。目の前のクレーンに決死のダイブ!!
- 普通に振り子の原理で戻って脱出失敗
- PV用にダイブが撮りたかっただけと思われる
- とはいえ、この脱出劇もスピード感のある一級のアクション。狭い通路でウォーボーイズがわさわさ増えていくの好き
- 状況や社会システムを一瞬で説明しきるシナリオと映像の説得力
- 逃走中に溺れた水や、ちらっと見えた緑。演説後に放出される水に群がる人々。水を独占して崇拝を集めるイモータン・ジョーの支配システムがよく分かる
- 「ジョーがボディペイントしてるシーンのさ」「(無言で粉を吹き付けるジェスチャー)」「だよね」
- やたら印象に残るシーン。触るのも恐れ多いほどに神聖視されているということだろうか
- ウォーボーイズの短寿命はハンドルの奪い合い時の会話で分かるし、それを補う血液バンクシステムは「血袋」扱いのマックスの状況を見れば説明いらず
- しかしハンドルまで頭悪そうですげえな
- ハンドルを外して一箇所に集めているのは逃亡者を出さないようにだろうか。宗教的なアイコンっぽさもある。祭壇的な
- 美女を囲って子供を産ませ、自分の子供は「砦」の幹部に。また、母乳は貴重な資源として「妻」以外の女たちに生産させている
- そしてエンジン崇拝。V8!! V8!! V8!!
- 「砦」の中だけでもこれだけある情報が話の流れとビジュアルだけで頭のなかにスッと入ってくる。だからこそ安心してバカになって観られるのだな
- ハリウッドのシナリオライティング技術・映像技術の粋を尽くしてわざわざバカ映画を撮るジョージ・ミラー監督を我々はV8合掌で崇めるべき
- V8!! V8!! V8!! V8!! V8!! V8!! V8!! V8!!
- 「女を取られた」という理由だけでイモータン・ジョー直々に出撃
- 周りがアホばっかだから本人が出て指揮をとる必要があるのかもしれない
- ウォーボーイズのジョーに対する崇拝ぶりは凄まじい。マッドマックスは2までしか見ていないけど、敵が基本チンピラの集まりだった過去作に比べてしっかり組織化されてるなあと
- ジョーは悪役個人の魅力としてはヒューマンガス様に一歩譲る感じではあるけれど、組織としては圧倒的に強大でまさに大ボスにふさわしい
- (自分の)女子供は大事にしているあたりも人間味があっていいね
- けどやることは相変わらずヒャッハー
- 出撃シーンで俺の頭のネジは全て外れ落ちた
- 大音響で進撃のロックを奏でるドーフ・ワゴン&ドーフ・ウォリアー
- 軍楽隊としての存在意義はかろうじて分かるが、なぜギターに火炎放射器を取り付けちゃうのか
- 答え:面白いから
- デスペラードよりひどい(褒めてる)
- もしこの世界の住人だったら、ドーフ・ワゴンのリアで一心不乱にドラムを叩き続ける仕事がしたい
- 画面に映るたびに笑う
- これ作るの楽しかっただろうなあ
- ウォーボーイズはビジュアルからして感情の欠損したロボットみたいな兵隊かと思いきや喜怒哀楽たっぷりの普通の若者だったりする
- 「派手に死に花咲かせてやるぜ!!」「今ジョーが俺のことを見たぞ!!」「なんてラブリーな日だ!!」
- ニュークス君に限らず、みんな結構な愛嬌があって一山いくらの雑魚ヒャッハー扱いでないあたりすごく好感が持てる。ちゃんとこの世界の中で生きてるというか、描写が丁寧
- 短命を自覚しているからこその「俺の生き様見さらせー!!」的なアグレッシブさ。狂信的ではあるけれどゲスではない良い悪役たち
- 特攻前に死化粧として口に銀のスプレーを吹き付けるのが印象的
- 関連商品に笑った
- ニュークス君は何で大事な血袋を車の前に括りつけちゃうの
- 答え:面白いから
- 走りながらハンドルを外すな
- ニュークスカーの無駄に竹槍がついてるデザインが頭悪いと思ったらちゃんと役に立つ武器だった
- 名称:「サンダースティック」
- 本当に頭悪い
- 槍をよってたかって投げる戦い方にAoEの最序盤を思い出す
- ツッコミ役と化すマックス
- 「ちょっとかすったぞ!!」「俺の車だ!!」
- 「俺の車だ!!」は3回ぐらい言ってた気がする
- ヤマアラシ族の車がまたひどい(褒めてる)
- トゲトゲ、ショベル、丸鋸。こいつらだけ完全にチキチキマシン猛レース
- ただの盗賊団とは思えない技術力ではある
- 砂嵐の中の映像はすごいな!!
- 一人だけ車外かつゴーグルなしで突っ込んだマックスが心配でならない
- フュリオサ一行を脅迫、ウォータンクを奪ったマックスはヒーローからは程遠いけれど、あの状況ではそうせざるを得ないわな
- 誰を応援して良いのか分からんシーン
- あ やっぱりニュークス生きてた って思った
- 死にかけの割にタフ
- あそこでマックスを味方と思える脳天気さもすごい
- わざわざ戻って貞操帯に蹴りを入れるカットいいね
- 「谷」の連中にガソリンを渡す気がないのなら降りて交渉の真似事をしなくても突っ切ればよかったのでは
- 谷の皆さんもガソリンが欲しいならウォータンクに手榴弾投げて燃やしちゃ駄目だろ
- マッドマックスの世界ではガソリンは殺し合いに発展するほど貴重品のはずだけど今回扱いが割とぞんざいだった。色んなとこから無駄に火を吹くし
- 主にマフラーとかギターとかギターとかギターとか
- ウォータンクの消火方法はとても良かった
- 崩れて塞がった谷を超えるところで初めてジョーの車をじっくり見れたけど、これまたひどいな!! (褒めてる)
- なぜキャデラックを縦に積む
- セガのハード開発部隊かお前は
- ニュークスがウォータンクに乗り移るシーン。崇拝するジョーから銃を託され、直々に銀スプレーをかけてもらい、もうこのまま死んでもいいってぐらいの高揚!! そこからチェーンを引っかけてコケて銃を落とすまでの流れがスムーズすぎた
- 「間抜けが!!」
- そうですね
- 大失態のショックでちよ父のAAみたいになってウォータンクの隙間に挟まって泣くニュークスたん。ヒューマンガス様をぶっちぎってまさかのマッドマックスNo.1萌えキャラに昇格
- 夜のシーンでドーフ・ウォリアーだけライトアップされてる
- やめろよ笑うだろ
- 喚き散らす武器将軍に「イカれてるの?」
- そもそも敵にイカれてないやつがいないと思う
- フュリオサがマックスの肩を使って狙撃するところで初めて「利害の一致」から「仲間」になった感じ
- 「ちょっと行ってくる」から戦闘描写なしに武器将軍一行が爆発して吹っ飛ぶテンポの良さが大好きだ。省略の妙というやつだね
- 「これは?」「母乳」
- 顔を洗うな
- 牛乳雑巾みたいにならないかが気になって気になって
- 逃亡中の女の一人といい感じになるニュークス君。彼女の頬を這っていた虫を殺さずに優しく自分の手に移し取る……
- 食うんかい
- フュリオサの故郷。バイクに乗って戦うババアは格好いい。というか「鉄馬の女たち」って名前がすでに格好いい
- 砦に引き返すという発想はなかった
- あらすじ:行って戻ってくる
- 最後のカーチェイス。ババアが!! ババアが「ヒャッハー!!」って言ったよ!!
- たぶん初ヒャッハー
- 鑑賞後、嫁さんが「お前のようなババアがいるか」って言ってた
- 間違ってるがある意味合ってるのでツッコミづらい
- ポール部隊を予告で観たときは「世界の奇祭特集かよ」と思ったものだが意外と役に立っていてくやしい
- そしてひたすらギターを掻き鳴らすドーフ・ウォリアー。「追跡するぞ!!」ってシーンで、すわ一大事とギターを構えるカットが入ってるあたり、制作サイドに凄く愛されてるのが分かる
- そのドーフ・ウォリアーがマックスとリクタスの格闘に挟まれて、盾にされ、放り投げられる!!
- びよーん
- やめろよ笑うだろ
- ギターを奪われ、武器にされ、必死で奪い返してまた弾く。宙ぶらりんに乗り出して弾く。クラッシュして投げ出されても弾く
- ドーフ・ワゴンのシーンだけで劇場で観る価値はあったと断言できる
- フィギュアとか出されたら買っちゃうな……
- 嫁さんからドーフ・ウォリアーの活躍シーンだけを集めたYoutube動画が送られてきた
- お前もか
- ジョーが意外とあっさり死んだ。最初フュリオサの血かと思った
- よく分からなかったからもう一回観るしかないな
- ラストの大クラッシュ、ギターが吹っ飛んできて大映しになるのがツボを押さえすぎている
- 「もっとよく見たいだろ?」って? ああその通りだ愛してるぜこの野郎
- 「俺を見ろー!!」 ゴシカァン!!
- 谷の人たちが「せっかく直したのに……」ってなると思った
- ニュークス君は良いキャラでした。合掌。(V8)
- 主人公はフュリオサ
リアルタイムに劇場で観たことを将来自慢できる映画、という評をいくつか見たのですが、俺は別に熱烈な映画ファンではないのでそういう感覚はちょっと分からんのです。ただ、俺でもこれは劇場で観とかないと絶対損だと断言できる。
大画面でもとにかく観やすい。派手で目まぐるしいアクションの連発、視覚情報の奔流。なのに各シーンで何が起きているのかが凄くよく分かるのよ。素人ながらに圧倒的な映像技術がつぎ込まれていることをビシビシ感じます。「見せ方」という意味での技術ね。
一見でなにもかも理解できる分かりやすさがあり、二度三度と見ればさらに深堀りできそうな設定の緻密さも感じられ、その上でバカ映画でもある。最高すぎるだろう。絶対また観るぞ。