女神も車に乗る

そろそろハロウィンが近づいてきました。ということで、本日はちょっと怖い話を紹介したいと思います。とはいっても、女神様が出てきたりもするので、怖い話が苦手な方でも安心です。

タクシーに乗り込んできたお客さんがいつの間にか姿を消していて、振り返ると座席シートが濡れていた。よくあるタクシーの怪談です。

この話は、多くの方が一度は聞いたことがあるのではないか、というぐらいポピュラーなものですが、タクシーが普及する前から似たような話は存在していました。江戸時代には籠や馬に乗る幽霊、明治時代には人力車に乗る幽霊と、その時代の交通手段にあわせて、幽霊も乗り物を変えていたようです。

また、世界各地で似たような話は存在しており、アメリカでは都市伝説の代名詞となっているぐらい有名な「消えるヒッチハイカー」というものがあります。ヒッチハイクという文化があり、車社会のアメリカでは、車に乗る幽霊といえば、ヒッチハイカーということになっているようです。

こちらも、タクシーの場合と同じように、しばらくたつと姿が消えてしまったり、目的の場所につくと姿が消えていたりというように、幽霊が目的の場所に移動するために車を利用しているということになります。

非常に似通った話が、日本とアメリカに存在している理由として、そもそも、こういった話は日本のものであり、アメリカに伝わって都市伝説化したという説もあります。前述したように、日本には古くから幽霊が乗り物にのってくるという話がありました。そういった話がなんらかの形でアメリカに伝わって、いつしかその土地の文化として定着したというわけです。

とはいうものの、それではいまいち説明のつかないような事例もあります。ハワイでは火山の女神としてハワイの島々を創ったとされる、「女神ペレ」が車に乗ってくるという伝説があるのです。

ペレは老婆や若い女性、小さな子供に姿をかえて現世にあらわれるので、道を独りで歩いているそういった人たちを見つけたら、車に乗せてあげるのことで幸運が訪れると、ハワイではいわれているのです。これは、タクシー幽霊のよりグレードアップしたバージョンといえるかもしれません。

他にもメキシコでは精霊が車に乗ったり、アメリカの南部ではイエス・キリストの弟子である聖者が車に乗り込んできたりするという話もあります。エネルギーレベルでは、時間と距離などは関係ないといわれていますが、人とふれあう場所として、車という閉鎖空間がスピリットたちの間では好まれているのでしょうか?

いよいよハロウィンが近づいてきましたので、世界的にあの世とこの世が曖昧になっているこの時期、あちこちで車を止めるスピリットがあらわれていることでしょう。