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【政治】

18歳選挙権 教員の政治活動に罰則も 自民部会了承

 自民党の文部科学部会(冨岡勉部会長)は二日、選挙権年齢を「十八歳以上」に引き下げる改正公職選挙法の成立を受け、学校教育のあり方をまとめた提言を了承した。公立学校の教員の政治的行為の制限を強化し、違反には罰則を科すため、教育公務員特例法の改正を盛り込んだ。罰則の内容は明記しなかった。月内にも政府に提言する方針。

 提言は選挙権年齢の引き下げに伴う「学校教育の混乱を防ぐ」ことを目的に掲げた。教員は「政治参加に関する指導で個人の考えや特定のイデオロギーを押しつけることがあってはならない」と明記した。これまでも教員の政治活動は制限されていたが罰則規定が設けられれば、教育現場が萎縮する可能性は否定できない。

 団体などが特定政党に偏った教育を教員にさせることを禁じた法律も改正し、対象を現行の義務教育から高校まで拡大するとした。

 新たに選挙権を持つ高校生への対応では「政治的活動は学校内外で抑制的であるべきだとの指導を高校が行えるよう政府が責任を持つ」とした。家庭には「子供を街頭演説に連れていったり、投票所で投票している様子を見せたりすることを通して、政治への関心を高める」ことを求めた。保護者が子供を投票に同行させることを可能にする公選法改正も提唱した。

 提言作成を主導した池田佳隆衆院議員は「一日も早くそういう形にしたい」と記者団に述べ、法改正に意欲を示した。

 自民党は野党時代の二〇一〇年に、公立学校の教員が政治的行為の制限に違反した場合、三年以下の懲役か百万円以下の罰金を科す特例法改正案を国会に提出したが、廃案になった。

◆教育の放棄につながりかねず

 林大介東洋大社会学部助教(政治学)の話 こうしてはいけないと上から押さえ付けると、現場は萎縮する。教員が生徒に「自分たちで材料を見つけて考えて」と教育を放棄することにつながりかねない。教員がデモに参加したり、SNSで意見を発信したりするような学校外の活動まで制限するべきではない。生徒に多様な意見をバランスよく提示し、自由に話せる環境づくりをしてほしい。

 

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