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【社会】

平和の俳句に「みなづき賞」贈呈

みなづき賞を受賞し、木製の賞状を受け取る(右から)いとうせいこうさん、金子兜太さんら=3日、東京・駿河台の山の上ホテルで(中嶋大撮影)

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 本紙一面通年企画で毎日掲載している「平和の俳句」が選ばれた第十二回「みなづき賞」の贈呈式が三日、東京・駿河台の山の上ホテルで開かれた。選者で俳人の金子兜太(とうた)さん(95)と作家のいとうせいこうさん(54)、本紙に賞が贈られた。

 賞は黒田杏子(ももこ)さんや高野ムツオさんら実力派俳人が結社を超えて集う「件(くだん)の会」が創設。すぐれた句集や俳句に関係する出版物の作者らに毎年贈られている。

 約百八十人が出席した式では、日本文学研究者の芳賀徹(はがとおる)東京大名誉教授(84)と作家の沢地久枝さん(84)がゲストであいさつ。芳賀さんは「俳句という形で平和の感情や感覚を伝達できることがいい。平和というのは、もののあわれのこと。芭蕉や蕪村、一茶らも平和の感覚を詠んできた」と話した。

 沢地さんは「俳句ってなんて自由でいいんだろうと思いながら毎朝一番に平和の俳句を読んでいる。とてもうれしいです」と語った。

 第九回の「みなづき賞」受賞者で日本文学研究者のドナルド・キーンさん(93)もメッセージを寄せた。

◆ドナルド・キーンさんメッセージ全文 

 「平和の俳句」が第十二回「みなづき賞」を受賞したことを、私は大いに歓迎します。

 日本は、日中戦争から太平洋戦争で二百三十万人の軍人・軍属と八十万人の民間人の尊い命が失われたと言われています。想像を絶するとてつもない数の人々が戦争の犠牲になったのです。国土は荒廃しました。唯一の被爆国であることも絶対に忘れてはなりません。

 憲法第九条は、日本の一番の宝、否(いな)世界の一番の宝であるはずなのに、平和の意味を理解しない、否理解できない人たちがいることを、日本人として私は理解できません。非常に嘆かわしく思います。

 「平和の俳句」が、これからも永く平和の大切さと真実を問うていくことを期待しています。

 

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