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安倍晋三首相は9月25日、国連総会の一般討論演説に立った。来年の国連創設70年をにらみ、国連安全保障理事会の改革を訴え、「ふさわしい役割を担っていきたい」と、日本の常任理事国入りに意欲を示した。
2005年には、日本とドイツ、インド、ブラジルの「G4」が、安保理を15カ国から25カ国にする決議案を提唱したが、アフリカ連合(AU)との改革案一本化に失敗した。日本の常任理事国入りを嫌う中国や、常任理事国を増やしたくない米国の反対で、採決すらされずに挫折した。
10年ぶりのリベンジだが、勝算はない。確かに、国連安保理は、混迷を深めるシリアやウクライナ情勢になすすべもなく、失望は強まっている。国連総会の構成国の3分の2以上の賛成で採択される。
だが、米国、ロシア、英国、フランス、中国の全5常任理事国の批准がなければ発効しない。中国は依然反対だ。韓国、イタリア、メキシコなど「G4」近隣国でつくる「コンセンサス連合」の反対も根強い。外務省幹部も「目算は立っていない」と話す。
1945年に創設された国連の英語名は「ユナイテッド・ネイションズ(UN)」。日本語訳は国際連合だが、英訳では「連合国」、つまり第2次世界大戦で、日本やドイツなどの「枢軸国」と戦った国々のことだ。国連憲章にはいまでも「敵国条項」が残る。ある国を攻撃する場合は必ず国連安保理の承認が必要なのだが、旧枢軸国に再侵略の企てがある場合は先制攻撃が可能で、国連安保理の承認は不要という規定だ。