有村架純(22)がWOWOWドラマ「海に降る」(10月スタート、土曜午後10時)に主演し、有人潜水調査船のパイロットを演じることが2日、分かった。ドラマは、日本で初めて潜水調査船「しんかい6500」の女性パイロットとなる主人公の奮闘を描く。JAMSTEC(海洋研究開発機構)が収録に全面協力する。有村にとって初の連続ドラマ主演作となる。

 「しんかい6500」は実在する潜水調査船。世界2番目となる深さ6500メートルまで潜ることができる。有村は収録開始前、役作りのため、神奈川・横須賀のJAMSTECで実際に搭乗した。「圧迫感がありました。深海に潜ったら暗くて揺れるだろうし、きっと不安も感じる。異様な空間でした」。パイロットや整備士から話も聞いた。「台本を読んでも分からなかった言葉が、頭に入るようになった。実物に触り、話を聞くことで、自分のものにできるものがたくさんありました」。

 男性ばかりの現場で孤軍奮闘する芯(しん)の強い女性という設定。「私も頑固なところがありますから」と笑うが、「私も甘えることなく、強くたくましく演じられたらと思います。演じる上で女性らしい部分は、なるべくそぎ落としたい」と話す。

 深海を舞台にした科学研究や、深海の美しさ、壮大さも最新の映像美で伝える。日本のドラマで初めて「しんかい6500」に実際にスタッフが搭乗して映像収録を行う。有村も「この作品に出合うまでJAMSTECとは何なのか知りませんでした。海洋研究が担っているのは地球の環境や地震予測など世界の未来。そうしたことに携わっている方々がいるということを伝えたい。身が引き締まっています」。新たな刺激を受け、作品に意欲的に向き合っている。

 ◆しんかい6500 1989年(平元)に三菱重工業の神戸造船所で完成。一般公募で命名。全長9・7メートル、幅2・8メートル、高さ4・1メートル。乗員3人。同年の試運転で深度6527メートルを記録。12年に中国の有人潜水調査船が6671メートル(のちに7020メートル)を記録するまで世界で一番深く潜ることができる船だった。活動範囲は、太平洋、インド洋、大西洋にも及び、のべ1400回以上の潜航を行ってきた。

 ◆「海に降る」 作家朱野帰子の同名小説のドラマ化。JAMSTECで有人潜水調査船「しんかい6500」運航チームに所属する天谷深雪はパイロットを夢見ていた。父も優秀なパイロット兼研究者だったが病死。深雪は幼少期に父から聞いた「深海の宇宙」の探索を目標にパイロット候補生として業務にいそしんでいた。チャンスをつかむが、初潜航直前、深海に取り残されたパイロットたちの恐怖が記録された映像を見つけてしまう。