ギリシャ:6.8兆円支援必要 財政再建、IMFが報告

毎日新聞 2015年07月03日 11時15分(最終更新 07月03日 13時10分)

欧州連合(EU)から示された財政再建案への賛否を問う国民投票が5日に行われるギリシャ。賛成派は2日、北部テッサロニキで集会を開き、「イエス」と訴えた=AP
欧州連合(EU)から示された財政再建案への賛否を問う国民投票が5日に行われるギリシャ。賛成派は2日、北部テッサロニキで集会を開き、「イエス」と訴えた=AP
反対派も同日、アテネ市内で「ノー」を呼びかけてデモ行進=AP
反対派も同日、アテネ市内で「ノー」を呼びかけてデモ行進=AP

 【ワシントン清水憲司】国際通貨基金(IMF)は2日、債務問題に揺れるギリシャの財政状況を分析した報告書を発表し、2018年末までの約3年間に、欧州連合(EU)などによる500億ユーロ(約6兆8000億円)超の財政支援が必要になるとの見通しを明らかにした。ギリシャ政府の経済改革の遅れを要因としており、債務問題の解決がより難しい状況になっていることを示した。

 報告書によると、チプラス政権となった今年1月以降、財政・経済改革の遅れで、長期的な経済成長率が年2%から1.5%に低下。その結果、財政再建が一段と遅れ、EUなど債権者側が借金返済の期間を大幅に延長したり、債務免除に応じたりするなどの包括的な支援見直しが必要になったと指摘している。

 ギリシャは、EUなど債権者側が要求する財政改革案で合意できず、6月末でEUによる金融支援が打ち切られ、IMFへの債務が延滞の状態になっている。報告書がまとめられたのは6月26日で、その後の銀行の閉鎖などでギリシャ経済は一段と悪化する可能性が高い。欧米メディアによると、IMFは必要な支援の規模がさらに100億ユーロ程度膨らむとみている。

 IMFの報告書は、ギリシャによるEUなどの改革案の受け入れを前提としており、ギリシャ政府は5日の国民投票で改革案受け入れの賛否を国民に問う予定だ。ドイツなどEU諸国にはギリシャに対する債務免除などへの反対意見が根強く、国民投票で改革案の受け入れ賛成が多数を占めたとしても、その後の支援を巡る協議は難航が予想される。

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