石松恒
2015年7月3日13時08分
安倍晋三首相は3日、首相に近い自民党議員で作る勉強会「文化芸術懇話会」で報道機関を威圧する発言があった問題について、「大変遺憾で非常識な発言だ」としたうえで、「党本部で行われた勉強会だから最終的には私に責任がある」と述べて自らの責任を認めた。安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会で、民主党の枝野幸男幹事長の質問に答えた。
首相は、自民党議員が企業を通じて報道機関に圧力をかけるべきだという趣旨の発言をしたり、講師で作家の百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞社は絶対につぶさなあかん」と述べたりしたことについて、「報道、言論の自由を軽視するような発言だ。沖縄県民の思いに寄り添って負担軽減、沖縄振興に力を尽くしてきた我が党の努力を無にするかのごとき発言が行われた」との認識を示した。そのうえで、発言した国会議員らを処分した理由について「国民の信頼を大きく損ねる発言で看過できないと考え、谷垣(禎一)幹事長とも相談のうえ処分した」と述べた。
さらに首相は、百田氏の発言について「新聞が自由な言論を行うことを確保する国であるべきだ。安倍政権を厳しく非難している報道機関であろうと、その自由が侵されてはならない。そういう言論を守っていくことも我々の義務だ」とした。
首相は今回の問題について、先月26日の特別委では「会合で(議員が)どういう発言をしたか、私が示す立場にない」「私的な勉強会で自由闊達(かったつ)な議論がある。言論の自由は民主主義の根幹をなすものだ」と述べていた。
また首相は、この日の安保関連法案の質疑で、朝鮮半島有事で日本を守るために公海上で活動中の米艦に攻撃があったケースについて、「公海上にある米艦艇に対する武力攻撃が発生したと言って、それだけで我が国に対する武力攻撃の発生と認定できるわけではない。攻撃の着手と認定するのは難しい」と説明した。
その上で、「個別的自衛権の対応に限界があるので(武力行使の)新3要件を満たす場合は、武力行使して米国艦艇を守る必要がある」として、改めて集団的自衛権行使の必要性を訴えた。公明党の佐藤茂樹氏の質問に答えた。(石松恒)
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