空襲で卒業式が中断された高齢の女性が70年後の今春、孫娘と一緒に卒業証書を受け取る――。実話を元にした演劇「卒業」を、県立松戸高校演劇科の生徒が26日、松戸市民会館で披露する。戦後70年の今年、主催する市は世界平和都市宣言30周年を迎える。「いつまでも平和であってほしい」。演劇には、そんな生徒の願いが込められている。

 「卒業」は鹿児島県にある津曲学園鹿児島高校教諭の谷崎淳子さんの作品。戦後60年の2005年3月、同校の卒業式で、戦争で卒業証書を受け取れなかった人たちに実際に証書が授与された話がもとになっている。

 公演では、作品の舞台を松戸に設定。県立松戸高校3年の演劇部長と祖母・和子との心の触れ合いを中心に展開される。1945年の空襲で前身の松戸高等女学校の卒業式が中断され、和子は別の日の空襲で一緒にいた親友を失った。親友の母親に死亡の事実を忠実に伝えられず、長く後ろめたい気持ちを引きずってきた。70年後の今年3月、孫娘から卒業式への出席を誘われ、卒業証書を受け取るという内容だ。