国防科学研究所は戦車などの性能試験を行う機器を導入したが、これが不良品で最初から全く動かなかったにもかかわらず、同研究所はこの機器を使って実際に試験を行ったかのように装い、虚偽の合格判定を出していた事実が監査院による監査の結果、明らかになった。国防科学研究所は2012年から2年間、対戦車砲の性能試験に使用する自動操縦モジュールと、攻撃を受けた戦車内部の被害状況を計測する機器のいずれも部品の欠陥により最初から全く動かないことを知りながら、これを80億ウォン(約8億8000万円)を投じて購入したという。自動操縦モジュールは移動する標的を遠隔操作する際に使用するもので、また被害状況を計測する機器は攻撃を受けた戦車の状況を把握・測定し、撮影などを行うことができる機器だ。
これまで軍需産業における不正といえば、主に性能が低い兵器の性能試験報告書を捏造(ねつぞう)するパターンが多かった。例えば1兆ウォン(約1100億円)以上の予算を投入して導入が決まっていた海上作戦用ヘリは、他国の軍による訓練を見学するだけで、実際に試験を行ったかのように装い報告書を捏造していた。また最新鋭救助艦「統営」の音波探知機(ソナー)は漁船などで使用される2億ウォン(約2200万円)の古い型のものだったが、書類を偽造することで41億ウォン(約4億5000万円)の最新型ソナーであるかのように装った。ところが今回は兵器の性能を試験する機器そのものが最初から不良品だったのだ。測定用の機器が不良品であれば、それを使って性能試験を行っても最初から意味がなく、そのためその兵器が本当に使用に耐えるものなのか知る由もない。軍需産業における不正や汚職は一体どこまで根深いものなのか、今や想像もつかない。