朝日新聞を提訴した比嘉氏(EM推進団体掲載の連載記事より)
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朝日新聞の記事は、青森県版に掲載されたほか「効果疑問のEM菌 県内3町が奨励」として朝日新聞デジタルにも掲載されました。記事を執筆したのは、2010年にホメオパシー問題の報道にも精力的に取り組んだ長野剛記者。
今回、比嘉氏が提訴したのは、2012年7月3日と11日に掲載された2本の記事。7月3日の記事は、青森県内の学校で、EM菌を川の水質浄化に用いる環境教育が行われていおり、〈県は、効果を十分検証しないまま、学校に無償提供して利用を後押ししている〉(記事より)とする内容。11日の記事は、青森県内の町がリンゴ栽培などでのEM菌利用を推奨し、〈EM菌販売業者に4000万円で効果検証を委託し「有効」としたが、専門家は検証を「科学的に無効」と指摘する〉(同)とするものです。いずれの記事にも、〈開発者の比嘉照夫・琉球大名誉教授は、効果は「重力波と想定される波動による」と説明する〉(同)との一文がありました。
比嘉氏が「ブログの無断引用」と主張しているのはこの部分と思われます。記事が掲載された直後に、それを非難する記事を掲載したDND研究所のウェブサイトなどによると、引用元となったのは、2007年に比嘉氏が書いた、この文章のようです。
【新・夢に生きる 比嘉照夫 2007年10月01日】波動技術実践研究会発足記念フォーラム
昨年の12月、江本勝さんが設立した(株)IHMの20周年記念セミナーに船井幸雄さんと私がゲストスピーカーとして招待され、波動についていろいろとお話しする機会がありました。私はEMの本質的な効果は、関英男先生が確認した重力波と想定される縦波の波動によるものと考えています。
(略)
ここに登場する江本勝、船井幸雄、関英男各氏は全員が、と学会の『トンデモ本の世界』などトンデモ本シリーズでも取り上げられている面々です。
朝日新聞の記事が掲載された直後にEM研究機構が発表した声明文では、朝日新聞が上記の比嘉氏コメントを記事で引用したことについて、〈比嘉照夫教授のコメントがあるにもかかわらず、ご本人への取材は一切行われていないことがわかりました〉(声明文より)と主張。EM菌に批判的な識者のコメントを掲載したことを〈偏向した取材手法〉(同)と非難しています。
当事者に取材をするのが望ましいことは言うまでもありませんが、朝日新聞がそもそも比嘉氏のコメントを求めることすらしなかったのか、それともコメントを求めたのに比嘉氏が無視あるいは拒否したのか、EM菌推進団体側の主張や産経新聞の記事でも明確にはされていません。朝日新聞の記事は、ブログとは言え実際に比嘉氏が発言した主張を掲載したものであり、同時に、比嘉氏がさも取材に答えたかのように偽装する表記というわけでもありません。
逗子市では今年、海水浴場浄化でEM菌の効果を確認できなかったとして、10年間続けたEM菌事業から完全撤退した
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しかも朝日新聞が引用した比嘉氏の文章は、それ以降の部分で非科学的どころかオカルト世界にまで突入しています。
【新・夢に生きる 比嘉照夫 2007年10月01日】波動技術実践研究会発足記念フォーラム
これまで明らかとなっている波動は電磁波としてとらえられる横波であり、物質がエネルギー化し消失する一連の流れに沿ったものであり、エントロピーの法則に従うものです。重力波は、そのエネルギーの流れとはまったく逆の関係を維持する波動と言えるもので、汚染や低レベルのエネルギーを使えるレベルに集約し、そのエネルギーで物質化を促進する力があると言われています。私はこのような現象をシントロピーと称しています。
すなわち、シントロピーとは「蘇生の法則」とも言えるもので、これまでマジカルとかオカルトと言われる未知の分野を支配する法則に類似し、物質に対する反物質的な存在と言えます。したがって、一口に波動と言ってもその形態はまったく異なっており、常識的な波動の概念では説明が困難であり、理解することは不可能と言えます。波動による蘇生的な現象は従来の常識とは異なる別の波動の概念を考える必要があり、私は重力波の存在がその根底にあるものと考えています。
(略)
比嘉氏自身が「マジカルとかオカルトと言われる未知の分野を支配する法則に類似」すると言ってしまっています。
本紙・藤倉善郎総裁は、本紙の取材に対して、こう語ります。
「自分で非科学的な発言をしておいて、それを記事にされると訴える。報道の萎縮を狙った完全な報復的SLAPP(嫌がらせ訴訟)ではないか。本紙は、全社を挙げて朝日新聞社を支援していく」
藤倉総裁はさらに「EM菌は潰さないといけない。EM菌を懲らしめるには経団連に頼んで新聞各社に圧力をかけ提灯記事を掲載させないように……」などと口走り始めたため、同社の広報担当者によって拘束され連行されていきました。
◇参考記事
逗子市がEM菌事業を完全廃止=地元団体は独自に継続へ
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