ABCマート:労基法違反容疑で法人と店長ら書類送検
毎日新聞 2015年07月02日 20時40分(最終更新 07月03日 09時35分)
東京労働局は2日、靴販売大手「ABCマート」の東京都内の2店舗で従業員に違法な長時間労働をさせたとして、運営会社のエービーシー・マート(本社・東京都渋谷区、野口実社長)と、人事総務担当役員、店長2人の計3人を労働基準法違反容疑で書類送検した。
同社の長時間労働を巡って労働局は、2013年に本社に3回、11〜13年に16店舗に改善を指導したが、本社と14店舗は改善しておらず、悪質と判断した。送検容疑は、「Grand Stage池袋店」は残業に関して会社と労働組合、または従業員代表とが結ぶ協定書を労働基準監督署に出さず、昨年4月13日〜5月10日、従業員2人にそれぞれ97時間、112時間の残業をさせたとしている。また「原宿店」は、協定で定めた残業限度時間(月79時間)を超えて2人に98時間、109時間の残業をさせたとしている。
労基法は違法な長時間労働について6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金と定めている。
国は長時間労働がまん延し過労死の原因となっていることなどから対策を強化。今年4月1日に「過重労働撲滅特別対策班」(通称・かとく)を東京、大阪の労働局に設置した。長時間労働の立証を得意とする監督官13人を配置し、全国展開する企業を中心に指導、監督している。
エービーシー・マートは国内に807店舗、韓国、台湾、米国に計193店舗を展開。今年2月期の連結売上高は約2135億円で、従業員7566人(うちアルバイト4235人)。同社は野口社長名で「このような事態に至ったのは誠に遺憾であり、深くおわび申し上げる。東京労働局から指導を受け、労使協定を超える長時間残業を解消させ、万全の措置を講じている」とのコメントを出した。【東海林智】