ギリシャが7月5日に国民投票を実施します。
この国民投票はトロイカ(欧州連合、欧州中央銀行、国際通貨基金)が示したギリシャ支援プログラムを延長するにあたっての条件を呑むか(YES)、それとも拒否するか(NO)に対する、シンプルな「YES」、「NO」投票です。
それではその条件ですが、政府歳出削減、増税、年金カットなどになります。その条件の文書は冗長で頭がこんがらがるような内容です。
さて、ここからは、これを読んでいる皆さんの頭がクラクラするような、矛盾と不条理に満ちた話になりますが、我慢して読んで下さい。
まず今回、国民投票に付されるトロイカの支援延長条件は、もう時間切れ失効しています。つまりギリシャの国民は賞味期間の切れたプロポーザルに対して票を投じようとしているのです。なぜならこのプロポーザルは6月30日が実質的な期限だったからです。
言い換えればトロイカは、今回、ギリシャに示した条件にギリシャ国民が「YES」と言った場合でも、技術的にはもう従う義務は無いのです。(急いで付け加えれば、もしYESの場合、トロイカは情状酌量し、ギリシャの民意を汲むための最大限の努力をすると思います)
さて、国民投票でYESが勝つか、NOが勝つかですが、事前のアンケートでは僅差でYESの方が多いと報じられています。でも僕の考えでは、かなりの大差でYESが勝つと思います。
そう考える理由は、もうひとつ別の設問で、「あなたはユーロ残留を望みますか?」という質問では7割がYESと回答しているからです。
ギリシャが銀行休業に追い込まれ、わずかに稼働している現金受け払い機(ATM)のキャッシュも、あと数日で払底するというところまで追い込まれている状態で、今、NOという票を投じることは、事実上、ユーロ離脱を意味することは、ギリシャ国民なら誰もが痛いほどわかっています。だから今回の投票の設問がどうであれ、これはユーロ残留に関する「踏み絵」に他ならないのです。そうであれば、大多数の市民がユーロ残留を望んでいるので、YESが勝つ確率の方が高いのです。
さて、「民意はYESだ!」ということが判明したら、どうなるか? ですが、この辺から話はホラーになります。
もしYESが勝った場合、ツィプラス内閣は総辞職します。なぜならツィプラス氏率いる急進左派連合(シリザ)は「ギリシャ支援プログラムの条件を、われわれに有利なものにする」という公約を背景に先の選挙に勝ったからです。
すると今回、YESが勝てばシリザは不信任を突き付けられたのと同然になるからです。
もしYESが勝てばトロイカは早急に支援に乗り出したいところです。またギリシャ国民も早く銀行が開く日を待ち望んでいます。しかし投票でYESを獲得した、新しい支援プログラムを、国として正式に受諾する、肝心の政府そのものが無くなってしまうわけです!
つまり支援プログラムの発動のためには、まずギリシャが新政権を打ち立てることが必要になるのです。これには時間がかかります。そんな悠長なことをしていたら7月20日に支払期限が来る、欧州中央銀行に対する35億ユーロ相当の支払いも、出来なくなってしまいます。
でもちょっと考えてください。欧州中央銀行は、自分が貸した金を、次にさらに自分が追い貸しする金で返済してもらうわけです。つまり喜劇の世界です。
なお、マスコミはデフォルトという言葉を軽々しく使うけれど、6月30日に期限が来てしまった国際通貨基金への支払いが行われなかったのは、デフォルトには該当しません。なぜならあれは1対1の融資で、貸し手当事者が「これはデフォルトではない」と宣言しているからです。
国際通貨基金は、もうかれこれひと月以上も前から、「もしギリシャが支払をしなかった場合も、それはデフォルトとは呼ばず、リスケジュール扱いになる」ということを記者団に対するウイークリー・ブリーフィングで口を酸っぱくして説明してきました。マスコミが、それを素直に記事にせず、デフォルトと勝手に書いているだけです。
繰り返し言うと、6月30日の期限が来てしまったのは、全くオッケーだし、次の7月20日の欧州中央銀行に対する支払いの件も、国民投票の結果がYESである限り、ノー・プロブレムだと思います。
さて、投票でNOが勝った場合についても書いておくと、シリザは自分の主張が国民からの支持で補強されるので、この民意を背景にトロイカに対して再交渉に臨むと思われます。ただトロイカは簡単に譲歩し、条件を緩めることには躊躇するでしょう。なぜなら国民投票の結果、トロイカが簡単に折れることがわかれば、スペインをはじめ他の国々でも、同様の国民投票を行うことが、交渉のレバレッジを獲得する早道だということをシグナルしてしまうからです。
なおギリシャの年金生活者は沢山年金を貰っているという誤った報道が一部にあるようですけど、平均すればひと月8万1千円程度です。
僕の基本シナリオは「ギリシャはユーロを離脱しないし、デフォルトも起こらない」です。その考えに変更はありません。
もし投票の結果がYESとなった場合、世界の株式市場はユーフォリアにつつまれるでしょう。そこは格好の売り場です。
この国民投票はトロイカ(欧州連合、欧州中央銀行、国際通貨基金)が示したギリシャ支援プログラムを延長するにあたっての条件を呑むか(YES)、それとも拒否するか(NO)に対する、シンプルな「YES」、「NO」投票です。
それではその条件ですが、政府歳出削減、増税、年金カットなどになります。その条件の文書は冗長で頭がこんがらがるような内容です。
さて、ここからは、これを読んでいる皆さんの頭がクラクラするような、矛盾と不条理に満ちた話になりますが、我慢して読んで下さい。
まず今回、国民投票に付されるトロイカの支援延長条件は、もう時間切れ失効しています。つまりギリシャの国民は賞味期間の切れたプロポーザルに対して票を投じようとしているのです。なぜならこのプロポーザルは6月30日が実質的な期限だったからです。
言い換えればトロイカは、今回、ギリシャに示した条件にギリシャ国民が「YES」と言った場合でも、技術的にはもう従う義務は無いのです。(急いで付け加えれば、もしYESの場合、トロイカは情状酌量し、ギリシャの民意を汲むための最大限の努力をすると思います)
さて、国民投票でYESが勝つか、NOが勝つかですが、事前のアンケートでは僅差でYESの方が多いと報じられています。でも僕の考えでは、かなりの大差でYESが勝つと思います。
そう考える理由は、もうひとつ別の設問で、「あなたはユーロ残留を望みますか?」という質問では7割がYESと回答しているからです。
ギリシャが銀行休業に追い込まれ、わずかに稼働している現金受け払い機(ATM)のキャッシュも、あと数日で払底するというところまで追い込まれている状態で、今、NOという票を投じることは、事実上、ユーロ離脱を意味することは、ギリシャ国民なら誰もが痛いほどわかっています。だから今回の投票の設問がどうであれ、これはユーロ残留に関する「踏み絵」に他ならないのです。そうであれば、大多数の市民がユーロ残留を望んでいるので、YESが勝つ確率の方が高いのです。
さて、「民意はYESだ!」ということが判明したら、どうなるか? ですが、この辺から話はホラーになります。
もしYESが勝った場合、ツィプラス内閣は総辞職します。なぜならツィプラス氏率いる急進左派連合(シリザ)は「ギリシャ支援プログラムの条件を、われわれに有利なものにする」という公約を背景に先の選挙に勝ったからです。
すると今回、YESが勝てばシリザは不信任を突き付けられたのと同然になるからです。
もしYESが勝てばトロイカは早急に支援に乗り出したいところです。またギリシャ国民も早く銀行が開く日を待ち望んでいます。しかし投票でYESを獲得した、新しい支援プログラムを、国として正式に受諾する、肝心の政府そのものが無くなってしまうわけです!
つまり支援プログラムの発動のためには、まずギリシャが新政権を打ち立てることが必要になるのです。これには時間がかかります。そんな悠長なことをしていたら7月20日に支払期限が来る、欧州中央銀行に対する35億ユーロ相当の支払いも、出来なくなってしまいます。
でもちょっと考えてください。欧州中央銀行は、自分が貸した金を、次にさらに自分が追い貸しする金で返済してもらうわけです。つまり喜劇の世界です。
なお、マスコミはデフォルトという言葉を軽々しく使うけれど、6月30日に期限が来てしまった国際通貨基金への支払いが行われなかったのは、デフォルトには該当しません。なぜならあれは1対1の融資で、貸し手当事者が「これはデフォルトではない」と宣言しているからです。
国際通貨基金は、もうかれこれひと月以上も前から、「もしギリシャが支払をしなかった場合も、それはデフォルトとは呼ばず、リスケジュール扱いになる」ということを記者団に対するウイークリー・ブリーフィングで口を酸っぱくして説明してきました。マスコミが、それを素直に記事にせず、デフォルトと勝手に書いているだけです。
繰り返し言うと、6月30日の期限が来てしまったのは、全くオッケーだし、次の7月20日の欧州中央銀行に対する支払いの件も、国民投票の結果がYESである限り、ノー・プロブレムだと思います。
さて、投票でNOが勝った場合についても書いておくと、シリザは自分の主張が国民からの支持で補強されるので、この民意を背景にトロイカに対して再交渉に臨むと思われます。ただトロイカは簡単に譲歩し、条件を緩めることには躊躇するでしょう。なぜなら国民投票の結果、トロイカが簡単に折れることがわかれば、スペインをはじめ他の国々でも、同様の国民投票を行うことが、交渉のレバレッジを獲得する早道だということをシグナルしてしまうからです。
なおギリシャの年金生活者は沢山年金を貰っているという誤った報道が一部にあるようですけど、平均すればひと月8万1千円程度です。
僕の基本シナリオは「ギリシャはユーロを離脱しないし、デフォルトも起こらない」です。その考えに変更はありません。
もし投票の結果がYESとなった場合、世界の株式市場はユーフォリアにつつまれるでしょう。そこは格好の売り場です。