ギリシャ支援:EU側、国民投票終了まで交渉せず

毎日新聞 2015年07月02日 10時40分(最終更新 07月02日 10時51分)

 【ロンドン坂井隆之】欧州連合(EU)のユーロ圏財務相らは1日の電話協議で、ギリシャとの新たな金融支援交渉は、5日の国民投票が終わるまで行わないことを決めた。ギリシャのチプラス首相は新たな金融支援を要請したが、EUなどが提示した財政再建案については国民投票で反対票を投じるよう呼びかけたため、EU側が反発。協議は再び暗礁に乗り上げた。

 チプラス首相は6月30日、年金支給開始年齢引き上げの早期実施などEU側の財政再建案を大筋受け入れる新提案を示し、2年間で290億ユーロ(約3兆9400億円)の新たな金融支援を要請した。EUによる従来の支援は30日で失効している。

 一方、チプラス首相は1日の国民向けテレビ演説で、国民投票ではEUの財政再建案に反対票を投じるよう改めて訴え、EU側は首相の矛盾した行動に不信を募らせている。

 ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長(オランダ財務相)は声明で、チプラス首相の要請について「現時点で留意するにとどめる」と突き放し、「今後数日間、財務相レベルでも実務者レベルでも協議することは無い」と断言した。

 また、EUのトゥスク欧州理事会常任議長(大統領)は1日、ツイッターで「ギリシャを救いたいが、本人の意思に反して救うことはできない。国民投票の結果を待とう」と表明した。

 一方、ロイター通信によると、欧州中央銀行(ECB)は1日の理事会で、ギリシャの銀行の資金繰りを支える資金供給の額を現行水準のまま据え置いた。

 ギリシャの銀行は資金流出が続き、ギリシャ政府は6月29日から銀行を休業させて、預金引き出しを制限している。ECBはギリシャの銀行の資金繰りは当面維持するが、資金供給は増やさず、踏み込んだ支援は避けた。

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