お読みください>>「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)<<

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブコメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブコメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきます。言うまでもないことですが、当方がブコメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)


2015年07月03日

「アメリカのネオナチ」の写真の出所を確認してみたら、「Googleの限界」が垣間見えた。

「Googleの限界」というのは、「データの量が十分にないと、おそろしいほど精度が低い」ということ。「だったらGoogleが使えるデータの量を増やせばいいじゃない」とアントワネットになったところで、元々ウェブサイトにアップされている情報の量が少ない場合はどうしようもない。

それに、「データの量」がある程度の確保される場合でも、昨今の「バイラルメディア」的なものの流行で爆発的に増えた、ほぼコピペ・パクリで量だけはやたらと作られる「○○したいあなたが知っておくべき○つのポイント」(日本語圏ではそういうのより「マル秘芸能ニュース」みたいなブログ記事や、「2ちゃんのまとめ」が多いかも)みたいな、中身が薄くて内容の正確性も疑わしいような記事ばかりでは、「精度」という点での問題は残る。

ずーっと前、Googleの画像検索が一般に利用可能になったときに、「ジェリー・アダムズの写真を探すと、マーガレット・サッチャーの写真が出てくる」という現象が発生してみながお茶をふいた。問題のページは、見出しなど大きく評価される場所にはアダムズの名前があったが、使われている写真はサッチャーで、「アダムズと敵対関係にあるサッチャー」とキャプションがついていた。当時のGoogleさんは、これを「アダムズに関連した写真」として収集した。そして人間が「アダムズ」と入力したときに「お求めの写真はこちらです」とばかりに表示していたが、そこで決定的なズレが生じていたわけだ。だが、アダムズくらいにデータがたっぷりある人物なら、そういう「不具合」は徐々に修正されていくことが期待できる。

問題は、世界のあらゆる事象について、そのような期待ができるわけではないということだ。先ほど書いたGoogle Photosのタグ付けの「バグ」も、たぶん黒人の顔写真のデータが(あのような失礼な判定をしないようにするためには)足りていないというのが問題だったのだろう。

というわけで、話は変わるが、先ほどこのような写真をRTした。



この写真の出所について調べてみたら、「データが少ない」ことに起因する「精度の低さ」という問題に遭遇したので、メモをしておくことにする。

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2015年07月02日

「人工無脳・アルゴリズムの限界」、「悪意のないミス」が極めて侮辱的であった場合の非当事者の反応について。技術と人間の社会について。

今もあんまり変わらないのかもしれないが、かつて、「オフィスのオートメ化」(「オートメ」=「オートメイション」)が喧伝されていたころに、「コンピューター・システムを導入すれば何でもやってくれるんだろ」ということで無理難題を押し付けられ、「できなくはないのですが、現状の技術ではそれを自動化することは途方もなく大変です」ということを納得させたくて、「コンピューター・システムの限界です」という表現を使うと、逆に相手を怒らせてしまうことがある、という話を、読んだか聞いたかしたことがある。「限界とは何だね、きみぃ! それを何とかするのが技術ではないのかね!」と言われてしまう、という話だ。

そういう「限界」は、確かに「今後の(長期的)課題として取り組むべきこと」ではあるかもしれないが、今この場でその「限界」を突破せよというのは、「屏風から虎を出してみせよ」と言うに等しい。

そしてその「限界」をずっと「今後の課題として取り組むべきこと」として放置するのではなく、「今ここでできる最大限の対処」をして少しずつではあっても着実に改善していくことが期待されるのが「技術」で、今回の下記の事態でGoogleは(Googleとしての限界の中で)それをしているのだと思う。

【アルゴリズムの限界】Googleフォトが「人間」を「ゴリラ」とタグ付けた件。
http://matome.naver.jp/odai/2143577241885275601


表題の件について、英語圏での報道だけでなく、「騒動」の発端からGoogle社の人の対応を中心に記録してある。

写真が「ゴリラ」とタグ付けされたとTwitterで怒りを込めて報告した人(NYCのソフトウエア開発者であることがプロフィール欄に記してあった)に対し、GoogleのChief Architect of Socialの方が迅速かつ的確に、まったく理性的に、相手に敬意を持ってTwitterで返事をし、ちゃんと人間と人間の関係らしいやり取りを行なっている光景に私は素直に感銘を受けたのだが、考えてみればそれは当たり前のことかもしれない。

一方で、「通りすがり」的な野次馬が、何と言うか……技術がこういうことをするときに「悪意」などないということは、ソフトウエア開発に携わっている人なら当然わかっているし、本人もそれは次のように明示している。しかしそれを読まずに「はいはい、また黒人が差別だ差別だと騒いでるんですね」的な反応をしてくる人などもいるわけだ。

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2015年06月30日

自民族中心主義とデマ(定義どおりの「デマ」)

私の定義する用語群には収まらない非西洋的な形態の偏見や自民族中心主義が存在した可能性もある。同じ血統を持つ人間だけが自らの文化を本当に理解し、評価できるという日本人の伝統的な信念が、日本生まれの朝鮮人に対する差別を生んだことはその例かもしれない*。別な例としては、植民地支配される前のルワンダやブルンディで、エスニック的に異なる牧養民〔原文ママ〕のツチ族が農耕民であるフツ族に対して封建的形態で覇権を握っていたことがあろう**。

――ジョージ・M・フレドリクソン『人種主義の歴史』李孝徳訳、みすず書房、2009年、pp. 10-11

※参考文献は下記の通り:
* Kosaku Yoshino, "The Discourse on Blood and Racial Identity in Comtemporary Japan," in The Construction of Racial Identity in China and Japan: Historical and Contemporary Perspectives, ed. Frank Dikotter (London: C. Hurst & Co. (Publishers) Ltd, 1997), pp. 199-211.
** Philip Mason, Patterns of Dominance (London: published for the Institute of Race Relations [by] Oxford University Press, 1970), pp. 13-20 を見よ.


4622075075人種主義の歴史
ジョージ・M・フレドリクソン 李孝徳
みすず書房 2009-12-19

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George M. Fredricksonによる原著は2002年にプリンストン大出版局から出ており、2003年にペーパーバック化されていて、現在は電子書籍でも読めるようだ(AmazonのKindle版あり)。Amazonのページでは「なか見検索」があり、上で引用した部分(「序文」の終盤より)は原文で読むことができる(ペーパーバック版のpp. 10-11)。

0691116520Racism: A Short History
George M. Fredrickson
Princeton Univ Pr 2003-07-02

by G-Tools


引用した部分の直後で著者フレドリクソンは「というわけで、人種主義というのは西洋固有の問題ではないのだが、この本では西洋の植民地主義系の人種主義だけに話を絞る」ということを宣言している。そうしてこの本で扱われるのは、「白人至上主義 white supremacy, white nationalism」と「反セム主義 antisemitism」である(後者は、1819年に生まれ1904年に没したヴィルヘルム・マールというドイツの著述家・思想家の造語であることが、同じ本のp. 78に書かれている)。

本書の結論は、ものすごくがっさりと言うと、それらの「人種主義」は20世紀で終わった(少なくとも、「21世紀には伸びしろはない」)というものだ。それが妥当なのかどうかは実際には疑問だし(#BlackLivesMatter)、それに「白人社会が築き上げ、内面化してきた人種主義」をもって「人種主義一般」とすること自体がracistな態度だと思うが、フレドリクソンは2008年に亡くなってしまっているので既に反論機会を持たない。

というわけで、2015年の今読むと、いろいろと疑問や違和感を覚えることもあるかもしれないが(実際、英語版のAmazonのレビューには批判的なものもある)、(少なくとも英語圏で語られている)「人種主義」についてのパースペクティヴを得るには必読と思う。例えば映画 "12 Years a Slave" で描かれた(「黒人」同士の人と人のつながり、ヒューマニティが不在になるほど激烈な)人種主義がどのようなものなのか、この本を読む前と後では見えるものが違ってくるのではないか、という本だ。

――以上、別件のために書きかけたブログ記事の一部を含めてある。

書きかけのものを完成させず、とりあえず本記事をアップしておくのは、次のようなものを見かけたからだ。フレドリクソンの扱っている「人種主義」とは文脈が異なるし、私が書こうとしていた別件とも別の話なのだが、たまたま見かけた「言葉で語られている《物語》」から、冒頭に引用した部分を思い出したのである。

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2015年06月26日

サンディ・ロウでボンファイアが早くも燃やされた件。

こないだ書いたこれの続報。

【北アイルランド】サンディ・ロウで準備中の巨大ボンファイアが早くも燃やされた。
http://matome.naver.jp/odai/2143523144188150901


Sandy Rowについてけっこうがっつり目に(かつ短く)解説書いたので、ボンファイアがどうだろうとロイヤリストの喧嘩がどうだろうと興味はない、という方も、ぜひご参照ください。

2002年ごろの北アイルランドのニュースが「ロイヤリストの内紛」で埋め尽くされていたのをちょっと思い出してたりもします。あの内紛のおかげで、UDAとUVFとUFFとLVFとRHCの区別がつくようになった(区別しなければならないものだということがよくわかった)んですけど。

【※この件、アップデートあり】
http://matome.naver.jp/odai/2143523144188150901?page=3 の後半に書いてあります。以後、この件のアップデートはNaverのページで行ないます。

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2015年06月25日

信仰者である加害者が、神(への帰依)を語り、加害について語る言葉を、ただ読む。

英語でTwitterを使っていると、実にいろいろなものが「実況」されてくる。最初は報道機関のフィードをチェックするために(RSSリーダー代わりとして)Twitterを使い始め、そのまま報道機関が「たかが140字」を活用しだすにつれてジャーナリストのアカウントを多くフォローしている私の場合、英語圏の報道機関が記事にするような「ネタ」が、現場から実況されてくること(あるいはそれら「実況」がRTされてくること)が多い。

「大ニュースのネタ」が発生現場から実況されてきていることもある。天候・気象、鉄道のトラブル、事故などはもちろん、「ニューヨークのタイムズスクエアでボムスケア発生なう」とか、「やけに物音がすごいと思ったら米軍が民家を急襲してて、その家がなんとオサマ・ビンラディンの家だった」とかだ。あと、自分で選択してガザ地区の住民やパレスチナの活動家のネットワークのアカウントをフォローしているので、「上空にF16が来てる」とか「ハンユニスで爆発」といったことが実況されてくるのもしょっちゅうだ。

そして、「世界を震撼させる」ような「テロ攻撃」の実況がTLに流れてくることもたびたびある。といってもそのような攻撃が行なわれる場所でTwitterが英語で活発に使われているかどうかという問題もあるし、私の観測範囲の問題もあるので、バランスが取れたものとは到底いえない(例えば、パキスタンでの武装勢力の攻撃は後追いになる)。そもそも、「世界を震撼させるようなテロ攻撃」は嵐やブリザードほどには頻繁ではない――イエメンでサウジアラビアが行なっているようなこと、シリアでアサド政権が行なっているようなこと、米国でのpolice brutalityの数多くの事例を「テロ攻撃」と呼ばない限りは。

というわけで、私は私の見ているTwitterの画面で、「恐怖 terror」が実況されるのを何度か見ている。中でも忘れがたいのが、2011年7月のノルウェーのオスロでのカーボム攻撃と、その直後に行なわれたウトヤ島での銃撃事件と、2013年4月の米ボストンでのボム攻撃と、数日後の銃撃戦だ。そしてそのどちらも、実行者が逮捕・起訴されているので、裁判の模様も、判決の言い渡しも含めて、可能な範囲で実況されてきていた。

ノルウェーの事件を行なったブレイヴィクは最終的にノルウェーで考えられる最高刑(禁錮21年)となった。判決を受ける日、法廷でこぶしをかかげていた。

そしてボストンの事件を行なったツァルナエフ弟(ジョハール・ツァルナエフ)は一審で死刑判決を下された。感情を示さず、ずっと下を向いている状態だったようだ。

そして死刑が正式に言い渡される日、impact statementを行なうために法廷に足を運んだ事件被害者(殺された人たちの遺族や、怪我をさせられた人々)を前に、ツァルナエフは謝罪の言葉を口にした。

「僕が奪った人命のことを、僕のせいでみなさんに引き起こされた苦しみのことを、僕は申し訳なく思います」
http://matome.naver.jp/odai/2143517183318734201


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2015年06月22日

日本語圏で追跡調査や訂正報道があったのかどうか知らないけど、「スノーデン文書をロシアと中国が解読」との先週の報道は限りなく疑わしい。

表題の件、全部ここに書いた↓↓↓

スパイ小説か!サンデー・タイムズの雑な独占報道によると露中がスノーデン文書を解読したらしい。だが……
http://matome.naver.jp/odai/2143426325651603601


6月14日付の英サンデー・タイムズが、「ロシアと中国がスノーデン文書を解読した(と、英国の首相官邸筋が述べた)」、「そのせいで英国の諜報機関が人員を引き上げざるを得なくなった(というわりに、なぜか外務省が出てこない状態)」という記事を出したのだが、何しろ「匿名の情報源」による「裏が取れない話」であるばかりか、記事自体が事実関係の間違いだらけで、エドワード・スノーデンの動きを正確に追うことすらできていない(当時、報道を見てた人なら誰でも指摘できるレベルの事実誤認が含まれている)状態。

で、サンデー・タイムズは日曜しか出ない新聞なので(タイムズとは編集部もウェブサイトも別)、1週間、追加の報道を待ってたけど、いくつかあった事実誤認のうち1件がひっそりと「訂正欄」に出たほかは、特にありませんでした、というお話。


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2015年06月20日

情報・データの「量」(Google, YouTube) と、プロの「目」(Storyful)……You Tube Newswireを歓迎する。

2014年11月、「シリアの勇敢な少年」というYouTubeにアップされた映像が、ソーシャル・ネットでかなり話題になっていた。「話題になっていた」と今書いているが、私自身はリアルタイムでその映像を見ることはなかった。「ソーシャル・ネットを何のために使っているって、シリア情勢を追うためだよ」と言っても、やや盛り感はあるが決して盛りすぎではなかった私が、である。

「よくできた映像」なので、もしもリアルタイムで(ソーシャル・ネットで「みんな」が口々に「これはすごい」、「感動した」、「これぞヒューマニティ」と絶賛しているときに)見ていたとしたら、私も乗せられていたかもしれない。

その映像が「偽物 fake」というか「作り物」だったことがBBCによって検証され、「作者」にインタビューしてまとめられた記事が出たときに、私は初めてこの「勇敢な少年」という映像のことを知った。

その一連の経緯を記録しておくために、Twitterをさかのぼって調べてみて、私が見ているタイミングでTLにこの映像が流れてこなかったのは、ただの偶然だったんだろうなと思った。私がフォローしているアカウントのいくつか(報道機関を含む)も流してたし、何より、シリアからの「映像レポート」のハブのようなところ(ウェブサイトとして存在しており、TwitterにもYouTubeにもアカウントを持っている)がプッシュしていたのだ。

しかしそれでも、私がフォローしている中では「釣られていない」アカウントが目立っている。BBCの「ソーシャル・ネット上の話題」専門のTrending(上述の調査記事を出したところ)はもちろん、「ソーシャル・ネットでのニュース」の可能性をずっと追求してきたアンディ・カーヴィン(元NPR, 現Reported.ly編集長)も、「ソーシャル・ネット上に流される情報」の真偽確認や検証を行なうプロ集団のStoryfulも。

……そういう流れがあってのこれです。時間かけて書きました。お読みください。

「ソーシャルメディアによる新しいニュース」のひとつの到達点、YTNewswireとStoryful
http://matome.naver.jp/odai/2143473987594182801


YouTube Newswireは、そのままでは「ニュース」にならない「一般市民、市民ジャーナリストによる記録」を精査し、「ニュース」になるものをピックアップして流してくれる(wireしてくれる)新規サービス、という認識でよいと思います。サービスの中身はStoryfulが担当するので(彼らについてもかなりちゃんと書いてあります)信頼性は高いです。

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2015年06月19日

そこでそのスペルミスは、ちょっとありえないのではないか。(「自作自演」疑惑?)

いちいち書くことではないのかもしれないが、「夏が来ましたねぇ」ということで。

北アイルランド、ベルファストの北東側、カリックファーガスに行く途中にグレンゴームリー (Glengormley) という街がある。行政区分としてはニュータウンアビーの一部だ。
https://en.wikipedia.org/wiki/Glengormley

北アイルランドの海岸側はだいたいざっくりと「プロテスタントが断然多い」のだが、調べてみるとここはそうでもない。"43.78% belong to or were brought up in the Catholic religion and 47.89% belong to or were brought up in a 'Protestant and Other Christian (including Christian related)'" だそうだ。総人口2500人ほどという小さな規模の街で、プロテスタントの側から「そのほかのキリスト教」(ものみの塔のような新興宗派や、キリスト教関連の新宗教も含む)を除外してもそう変わりはないだろうが、カトリックとプロテスタントの人口に占める割合はほぼ半々だ。

ただし、何かのイベントでもあれば、街の外からも人がやってくるので、この「半々」というバランスは崩れるだろう。そして北アイルランドでそういう「イベント」があるのが、そう、夏! ついに到来する夏の例のシーズン!




というかここ、4月に鼓笛隊(バンド)のパレードが予定されたのがパレード委員会によって止められてて(そのときのシン・フェインの担当者、ケリーさんのコメント)、今回は「ミニ12th」と呼ばれるパレードをする側(つまりロイヤリスト)が「ばっちこい!」な体制だったと思われるのだが、ここで、BBC News NIなどがスルーして、Twitter上(やFBでもたぶん)のそちら界隈だけで出回っている「リパブリカンによる嫌がらせ」の写真がある。

これについて、本稿ではメモっておきたい。なぜなら……

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これは、「よくある銃乱射」ではないし、そのように扱ってはならない。(米チャールストン教会襲撃事件)

これ。

#CharlestonShooting: 黒人の教会での聖書勉強会が白人に銃撃され、9人が殺された。
http://matome.naver.jp/odai/2143462909409227501


私が見てた範囲で、記録しておきたいと思ったことは、全部ここに入っている。(銃を持った銃撃犯が逃走しているというのに、しばらく全米ネットでは取り上げていなかったようだ。いつぞやのどこぞの襲撃事件のように、「自称イスイス団かぶれ」だったら、誰も殺されてなくてもえらい勢いで取り上げるくせに。)

ちなみにこれは「ログ」であり(ある時点で、ハッシュタグのtop tweetsの検索結果として表示されていたもののほとんどを入れてある)、「まとめ」ではない。大量の一次資料を自分で読むということに興味もなければ、それについて価値も認めない人には向いていない(まあ、もうちょっと日本語添えるつもりだけれども)。

私の問題意識は、これが(米当局および大統領によって)「テロリズム」と扱われるかどうかという点にあった。その結論は、「明示的な言語としてはNo」だった(「テロリズム」として扱われていない)。

が、オバマ大統領の7分ほどのステートメントで、かなりの時間を使って、1963年9月15日のアラバマ州バーミングハムの教会に対する爆弾テロについて言及した(マーティン・ルーサー・キング牧師の言葉を引用していた)ことで、「バラク・オバマとしての個人的な見解」は示されていると私は感じた(リアルタイムで見ていた)。あんな苦悶の表情を浮かべて、言葉を搾り出すようにして、そして「Tワード」を使わないというのがいかにもバラク・オバマらしいとも思ったが。

今のワシントンは戦争を「戦争」と呼ばずに「軍事作戦」を行なうことに命を懸けてる状態なので(リビアでいったい、何をしようとしているんですかね。またcovert warを始めるつもりですか)、白人優越主義者がその思想どおりのことを実行するために、黒人たちの祈りの場に武装して入り、しばらくはその場の一員として静かにしていたあとでその目的を告げて、5度も装填しながら9人を射殺し、何があったかを語らせるために意図的に生存者を残した(以上、事件当時の報道のTwitter上での伝聞より)ということが行なわれたことを、ワシントンが「テロ」と呼ぶ可能性があるとは私も思っていなかったが、これが「テロ」であるということはTwitterで多くの人々が指摘している。それも上記の「まとめ(というかログ)」に入っている。




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2015年06月15日

「わたし」が書いていることばと、「わたし」自身の間を、ビッグ・ブラザーが無理やりつないで、見当違いの像を結んでみせる。

いまどき、インターネットを使っている人で、自分がいつ、どのくらいの時間をかけてどんなページを閲覧し、どんな言葉で検索し、どんな言葉を書き込んだかなどの「行動」が追跡されていることを知らない人はいないだろう。実際、かなり細かく(「この端末を使うユーザーは、『蒸し』と入力したら『蒸し暑い』と出したいのか、『蒸し器』と出したいのか、それとも『蒸しパン』か」といったことも含めて)追跡・蓄積されている。追跡されたくなければ、サービスを使わないようにしたり、「ずっとログインしっぱなし」ということがないように気をつけたり、オプトアウトの手続きを取ったり、追跡防止のアドオンをブラウザに入れたりしなければならない。

これがわかりやすいのが「ターゲティング広告」の表示だ。先日、頻繁にログインするあるサービスでログインした状態で、近所のスーパーの取扱商品について調べるためにそのスーパーの名前で検索し、サイトを閲覧したら、その後しばらく、そのスーパーの広告ばかりが表示されていた(そうなったときはこういうのを使ってTracking cookieを削除すればおさまる)。ログインしっぱなしのことが多い自分のブログに私は広告を貼っているのだが、ここにさっき検索したばかりの商品や店に関連する広告ばかりが表示されている場合は、たぶんオプトアウトができておらず、追跡されているということになる(大雑把に)。自分で納得していれば特に問題ではないのだが、そうでない場合はオプトアウトしておかないといけない。

tgt3.png


例えばYahoo! JapanのIDがTポイントとがっつり紐付けられているのだが、Tポイントのカードを使ってコンビニでビールとつまみを買い、DVDで映画をレンタルして、書店で本を買って、借りた映画を見ながら、Yahoo!に追跡されている状態でYahoo!のリアルタイム検索を使ったり、ネットでニュースを読んだり検索したりすると、「爆弾テロについての小説を映画化した作品を見ながら、ギネスを飲んで柿ピーをつまんでいるこの人物は、ダラスの爆弾&銃撃男について詳しく調べており、過去にはボストンの爆弾事件やブレイヴィクについても詳しく読んでいたし、こないだは圧力鍋を通販サイトで物色していたし、ウィキペディアで火薬について調べている」みたいなことが把握された挙句、「(『自分探し』的な意味ではない)本当のわたし」とはかけ離れた人物として誰かによって描き出されることにもなりうる。点と点は思いがけない形に結ばれうるし、「何でそれを見落とすか」のという点が見落とされるかもしれない。

実際には、この「圧力鍋爆弾を作りかねない人物」は、おいしい煮豆を作りたくて圧力鍋を買おうとしていただけで、同時に必要があって「ガンパウダー・プロット」について調べていたが、別のときには「レシピ本を買ってラブコメ映画を見ながら、ギネスを飲んでえんどうまめをつまんで、ネットではネコ写真をやたらと見て回り、過去には1日に何度も『実存主義者、アンリ(ただしねこ)』を再生していたことがあり、こないだは小鳥の図鑑を通販サイトでカートに入れていたし、ウィキペディアでネコジャラシについて調べている」かもしれないのに。

「圧力鍋と小鳥の図鑑」は関連しなくても、「圧力鍋とボストンの爆弾事件」は関連させずにいるほうが難しいのだ。「レシピ本と圧力鍋」のほうが関連性が高いのに、ある文脈においては「鍋と爆弾」のほうが目立つ。Big brother is watching you というのはこういうことになっている。うんざりするしげんなりする。

とはいえ、そういうものから完全に自由でいられるような環境ではもはやない。私もいくつかのサービスはログインしっぱなしだ。例えば、Twitterに書き込むたびにいちいちログインしていたのでは手間がかかってしょうがない。

だがちょっとさすがにTwitterのログインしっぱなしはどうなのかな……と思うことがあった。

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2015年06月14日

「洪水の中の動物たち」についてまで、ニセ写真が拡散されるのは、なぜなのだろう。

先日、日本語での呼称が「グルジア」から「ジョージア」に変更された、本来なら「サカルトヴェロ」と呼んでしかるべき国(以下「ジョージア」)の首都トビリシで、13日夜、ものすごい雨が降ってひどい洪水となった。11人も亡くなったそうだ。

14日の写真では水はかなり引いている様子だが、市の動物園と動物保護センター(シェルター)のほぼ全体が水にのまれ、ライオン、トラ、オオカミ、クマ、カバ、ワニ、アザラシなど多くの動物が動物園の区画の外に出て、市街地を自由に歩き回るという状態になっていた。朝になり、雨も上がったところで、鎮静剤を使った捕獲作戦や、どうしても暴れてしまうものは射殺する作戦が進められている。

これが「まるでジュマンジ」的にTwitterで話題になり、英語圏の外でのこういった「話題」にありがちなように、主に写真が回覧されている。(数少ない英語話者経由でやり取りされる文字情報もあるが。)

道路を泳ぐワニ!ジョージア(グルジア)の首都トビリシ、大洪水で動物園から猛獣が街に出て大変な状態に。
http://matome.naver.jp/odai/2143427784565834401


水が引いてきた大通りで、多くの車が行き交うなか、水の深いところがあって、ワニが水の中を泳いでいる。




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2015年06月11日

【まるでピラミッド】また今年もでかいです(例の夏祭りのボンファイア)

北アイルランドの毎年のあれ、ええ、7月12日の前夜祭、7月11日のあれ、あれが自然に生えてくるわけではないというのはわかってたんですが、これは(笑)




ここ、2007年はこんな感じだったということが検索してわかりました。2013年のも十分にでかいけど、今年はそんなもんじゃない。でも、2014年のと同じくらいかな(2014年はヘイトスピーチがひどかった……)。

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2015年06月10日

あの「紛争」は、誰が何のために、何をしていたのか。



つい先日(5月下旬)、BBCがPanoramaで北アイルランド紛争の闇の奥の奥に踏み込む報道をしたばかりだが、そのさらに奥というかピンポイントの1点を、BBC Northern IrelandのSpotlightという時事報道番組が扱った。担当のジャーナリストは2番組とも同じ、ダラー・マッキンタイア(「チェルシー・ヘッドハンターズ」への潜入取材などで知られるドナル・マッキンタイアと兄弟)である。

「ステーキナイフ Stakeknife」は、今から10年ほど前、北アイルランドのニュースを賑わせていた人名だ。正確に言えば「人名」ではなく、「コードネーム」。英当局がIRAに入れていたスパイのコードネームだ。IRAの中でも最も凶悪な「懲罰班」の仕切り人だった。つまり、IRAの中で「当局のスパイではないか」と疑われた人々の「面倒を見る」役目の人物で、そういう人物が「当局のスパイ」だったという、すさまじい話。

今回のSpotlightはその「ステーキナイフ」と、IRAに「処刑」されたある女性(3人の子供を1人で育てていたお母さん)についての調査報道で、これがもう、記事を読んだだけで、くらくらする。
http://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-33069102

本エントリ冒頭の画像は、その番組についてのやり取りだ(IRAの暴力に耐えてきて、今それを告発して、当人たちに完全に無視されているカーヒルさんにこれは酷、と思うのだけど)。

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2015年06月07日

「ロヒンギャの苦難」でネット上に「ニセ写真」が出回っているとBBCが注意喚起している。

ビルマ/ミャンマーに暮らすが、政府からは「まともな人間」と見られていないしそのような扱いも受けていない「少数民族」がいる。「ロヒンギャ Rohingya」と呼ばれるその人々は、圧倒的多数が仏教徒であるビルマにおいてイスラム教を信仰しており、ビルマにおける「宗教に基づいた暴力 sectarian violence」にさらされてきた。押しかけデモばかりでなく放火など物理的な暴力が行使されており、数年前(ビルマで「民主化で一定の進展が見られた」あとのこと)、少なくとも私の見ている範囲ではかなり頻繁に「仏教徒によるロヒンギャに対する暴力」についての報道がみられた。大きく報道された最初期のもののひとつと思われるのが2012年7月のインディペンデント記事(ハンナ・ヒンドストロム記者)で、ここで指摘されている「問題点」は2015年6月の現在も「問題点」であり続けている。迫害を加えているのが、2007年に軍政に対して立ち上がり、世界を感動の渦に巻き込んだ仏教の僧侶たちであるということは「西洋」にはとりわけショッキングだったようだ。2012年11月にはBBCのファーガル・キーンが現地で迫害する側(仏教の僧侶)を取材している。ヒューマン・ライツ・ウォッチは2013年4月の報告書で「エスニック・クレンジング(民族浄化)」を指摘している。

2012年7月のインディペンデントの記事は次の一節で結ばれている。
The Rohingya have lived in Burma for centuries, but in 1982, the then military ruler Ne Win stripped them of their citizenship. Thousands fled to Bangladesh where they live in pitiful camps. Foreign media are still denied access to the conflict region, where a state of emergency was declared last month, and ten aid workers were arrested without explanation.


日本語のウィキペディアも経緯が把握しやすいよい記述だ。
ビルマ人の歴史学者によれば、アラカン王国を形成していた人々が代々継承してきた農地が、英領時代に植民地政策のひとつである「ザミーンダール(またはザミーンダーリー)制度」によって奪われ、チッタゴンからのベンガル系イスラーム教徒の労働移民にあてがわれたという。この頃より、「アラカン仏教徒」対「移民イスラーム教徒」という対立構造が、この国境地帯で熟成していったと説明している。

日本軍の進軍によって英領行政が破綻すると、失地回復したアラカン人はミャンマー軍に協力し、ロヒンギャの迫害と追放を開始した。1982年の市民権法でロヒンギャは正式に非国民であるとし、国籍が剥奪された。1988年、ロヒンギャがアウンサンスーチーらの民主化運動を支持したため、軍事政権はアラカン州(現ラカイン州)のマユ国境地帯に軍隊を派遣し、財産は差し押さえられ、インフラ建設の強制労働に従事させるなど、ロヒンギャに対して強烈な弾圧を行った。ネウィン政権下では「ナーガミン作戦」が決行され、約30万人のロヒンギャが難民としてバングラデシュ領に亡命したが、国際的な救援活動が届かず1万人ものロヒンギャが死亡したとされる。結果、1991年〜1992年と1996年〜1997年の二度、大規模な数のロヒンギャが再び国境を超えてバングラデシュへ流出して難民化したが、同国政府はこれを歓迎せず、UNHCRの仲介事業によってミャンマーに再帰還させられている。2015年現在、膨大なロヒンギャの国外流出と難民化は留まるところを知らない。


この人々について、はてなブックマーク経由で知った記事について、私はあまりにも呆れたので「ブコメの光景が悲惨すぎ」と書いたのだが、それは「グンマー」とかいう「ネタ」としてしか反応できないという例についての個人的な感想だ。シリアスになるべきときにシリアスにならないのは、それがシリアスになるべきときだということがわからないからかもしれない。

基本的にふざけているとしか思えない態度の人々だって、シリアスになるべきときにはシリアスになる。コメディランドの北アイルランドでだって、拷問や英治安機関のひどい行為についてはコメディの態度は取らない。が、「空気を読む」ことにかけては世界に誇れる(んでしょ?)日本で、これを「ネタ」扱いするのがデフォになっているということは、本当に、それが「シリアスな問題だ」ということが前提されていないのだろうと思ったのだ。

……ということだけならそれ以上は書かないのだが(ネットでこんなことを書いたって「上から目線」云々と攻撃されるだけで私には何の利益にもならないし)、ロヒンギャ迫害についてのネット上の情報に関して、ちょっと気になる記事がBBCに出ていたので、ブログを書いておく。

The fake pictures of the Rohingya crisis
http://www.bbc.com/news/blogs-trending-32979147


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2015年06月05日

北アイルランド紛争の《言葉》と《シンボル》と《意味》が満載されたさわやかなコメディ映画『ピース・ピープル (An Everlasting Piece)』

連休中にGoogle Playのキャンペーンで無料で1本見られるというので予約しておいた映画を、5月の月末になって、ようやく見ることができた(→Google Playのページ)。

既に書いた通り、「タダなら見てみてもいいかな」程度だったのだが、いい映画だった。むしろ、これまで見てなかったのが残念だ。タダなんてそんなすいません、また代金払って見ます、と思っている。DVDも中古ならある。

B0035QHWJIピースピープル [DVD]
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 2010-03-18

by G-Tools


本にせよ音楽にせよ映画にせよ、流通の際に「記録媒体」(結局「物流」が必要となる「モノ」)を伴わず「データ」だけで届けられるようになったら、「埋もれていた作品」や、「自分好みの、世間的には "マイナーな" 作品」が見たい人のところに届きやすくなるだろうと言われていたが、実際に自分でそれを体験できることは、私の場合はこれまであまりなかった。今回のこの映画を知ったのは、(友人・知人・よく読んでいる新聞やブログが言及していたからではなく)Google playというオンライン映像配信の場で「北アイルランド」を単に検索したことがきっかけだが、検索結果のヒット件数が多くなく、全部を検討する余裕があったからだ(そして、検索結果に出てきた映画はほとんど全部見たことがあった、ということも)。それでも、何より決め手になったのが「タダなら失敗してもいいかな」ということで、正直、紹介文などを見ても全然ピンと来ていなかった。

映画紹介文(見終わったあとも、この紹介文で、たとえ300円でもお金を出して見る気になっていたかどうかは疑問。実際にはこの映画は、この「!」の連続から想像されるような、「飛び跳ねて叫んで逃げ回ってのドタバタ」ではない):
北アイルランド。院内理容師のコルムとジョージは、退屈な毎日を送っていた。そんな時、カツラ販売人の男と出会い、手ほどきを受ける。二人は販売独占権の獲得を目指して"ピース・ピープル社"を設立。早速、自慢のカツラを引っさげて営業を開始する。しかし、世の中そんなに甘くない。行く先々でトラブル続き。ライバル会社は現れるし、警察やIRAの面々まで巻き込んで大騒動に!はたして彼らはカツラを売りさばいて一儲けできるのか!?


以下、この魅力的な映画について、まともな解説のようなものが日本語で見つからないので、少し書いておきたい。これをインターネットに流すことで、また誰かが「検索して出会った」ということになればよいと思う。

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2015年06月02日

チャールズ・ケネディが死んでしまった。

英国のLiberal Democrats(自由民主党: LD)という政党が、その存在を多くの人に印象付けたのは、2003年イラク戦争直前の反戦運動の中でのことだった。労働党のトニー・ブレア政権が無理やりな理屈をつけてでも実行し、保守党が支持したあのとんでもない「戦争」に反対したのが(労働党・保守党内の「造反」議員などと)LDだった。Stop the War Coalitionの反戦集会で、LD党首のチャールズ・ケネディが行なったスピーチは、現在とは比べ物にならないくらい貧弱な、それでもその前の時代に比べたら革命的に進んでいたネット環境で、日本にも伝わってきた。Real Playerか何かで見たのだったか(まだYouTubeは存在していなかったし、デジカメも普及途上だったころのことだ)、「戦争」正当化陣営の、あれこれつつきまわしてこねくり回したような主張と異なり、明解な主張だった。

そのチャールズ・ケネディがあんなふうに「失墜」し、あんなふうに議席を失い、そしてこんなふうに世を去るとは。

【訃報】チャールズ・ケネディ元LibDems(英国の自由民主党)党首
http://matome.naver.jp/odai/2143323144225794901


俗な言い方をすれば「人間力が高い」人だったということが、非常に多くの口から語られている。しかし、こういうのを読みながらもなお、信じられずにいる。

それにしても、ジョン・プレスコットの発言、すごいね。解釈すれば「歴史の正しい側に立っていたのはケネディだった」=「当時の労働党は間違っていた」ということになる。

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2015年05月28日

旗々しい話。

「緑・白・オレンジ」のアイリッシュ・トリコロール(アイルランド共和国の国旗)と、「オレンジ・白・緑」のコートジヴォワールの国旗の混同の話題が出るにはまだ1ヵ月半ほどあったはずだが、アイルランド共和国での婚姻の平等(同性結婚)決定で、大西洋の向こうから、「旗の区別がつかない」系の話題が流れてきていた。

アメリカの反ゲイ集団、「ふははは、アイルランドの旗など逆さまにしてくれる!」…だがその旗は(^^;)
http://matome.naver.jp/odai/2143276257488960401


実際にはロビー・キーンの靴の縫い取りとか、守銭奴エア(aka ライアンエア)の機体に表示されている旗が「オレンジ・白・緑」になっている例もあるのだが、アメウヨというかアメウヨと呼ぶのもはばかられるあの「葬式押しかけ」の過激派集団が出てくると、さすがに、時空がゆがむような感覚がある。

にしても、J. K. ローリングさん、すばらしい対応ですね。スルーしちゃいけないものはスルーしない。Twitterは、著名人、特に女性の著名人がそういうことをやるのは簡単ではない(どんな奴にどんなふうに絡まれるかわかったものじゃない)という場になっているけれど、あのキップのよさには感心。
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誰も惜しんでいないが、トニー・ブレアが「カルテットの中東和平特使」を辞任する。

トニー・ブレアが「カルテットの中東和平特使」を辞任する。
http://matome.naver.jp/odai/2143274928986134101


この「まとめ」を作るときに、報道機関のツイートがことごとく顔写真をつけているので、自分の中で、この戦争犯罪人の顔写真の1日分どころか1か月分の許容量を超えてしまった感じがする。

ともあれ、ハアレツはほんとにブレアが大好きなんだなということはわかった。

BBCは「何もしなかったってみなさんおっしゃいますが、元々何かができるポストではなかったので」などとかばった上で、「ブレアのおかげで規制が撤廃され、西岸地区の観光業が賑わい、特使としての目標、パレスチナ経済の振興に貢献」などとヨイショしているが、brown-noserはFIFAのセップ・ブラッター周辺のを見せられてるだけでももうたくさんですよ。

トニー・ブレアの件で読む価値があるなと思った論説は、IBTのだ。

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北アイルランド自治議会が、機能不全を起こしている。「またか」と言うなかれ。今回は深刻だ。

人間が考えるたいがいのシステムは、いつかは古くなって、実用に耐えなくなるか、実態にそぐわなくなるのが当たり前かもしれない。何らかの問題を解消・解決するために、いろいろな要素がある中で何かを優先して考案されるシステムは、時代の流れ、状況・環境の変化、人々の考え方の変化によって、だんだん齟齬が生じてくるものだろう。

1998年のグッドフライデー合意 (GFA) でスタートした現在の北アイルランドの「自治」は、通常の「与党と野党」というシステムではなく、「パワー・シェアリング(権限の分担) power sharing」という形で機能するシステムだ。通常は議会で過半数を持った政党が組閣するが、北アイルランドでは獲得議席数に応じて閣僚ポストが各政党に割り当てられている。なので北アイルランドには「与党」もなければ「野党」もない。

しかしGFAでの自治議会は、2002年の「スパイ騒動」(その事実はなかったことがあとで確定されたが)でサスペンドされてしまった。さらに2003年の自治議会選挙でGFAに反対していたDUPが最大政党となった。どうすれば北アイルランド自治議会を機能させることができるかが模索され、交渉交渉また交渉の末、シン・フェインによる警察の支持という歴史的な転換点を経てDUPの支持を取り付けることで実現されたのが、2006年のセント・アンドルーズ合意に基づく現在の自治政府だ。これにより、ユニオニスト側のDUP、ナショナリスト側のシン・フェインをそれぞれ最大政党とし、両党から正副ファースト・ミニスターを出し、UUPとSDLPとアライアンスも閣僚を出すという形が実現された。この合意で、司法 (justice) の権限が英国の直轄統治から北アイルランドの自治に戻されることとなり(具体的に実現したのはさらにその数年後だったが)、ストーモントの自治議会は2007年5月8日に心あたたまるようなセレモニーで再起動された。現在の自治議会はそのときに再起動された自治議会である。
https://en.wikipedia.org/wiki/Northern_Ireland_Assembly#Current_assembly_and_suspensions

……というわけで、(DUPは全力で否定するが)元々は1998年のGFAで形になった自治議会のシステムが、そのときそのときに修正されつつ、何年もかけてまともに機能するようになって今日がある……というだけなら美しいのだが、これが機能しない。

システムの(今から見れば)原型といえるものが作られた1998年までの時点では、解決・解消されるべき問題は「宗派間対立」だった。というか、より正確には「50%以上の "プロテスタント" が、50%未満の "カトリック" を二級市民扱いしてきたことから、武力紛争になった」ということを踏まえ、(大まかに政治的に「ユニオニスト」と「ナショナリスト」に対応する)これら2つの宗派の一方だけに偏って有利な政治を行わないようにしなければならないということが、「ポスト紛争」のシステムの最優先事項だった。「クロス・コミュニティな/双方のコミュニティ間で隔たりなく cross-community」という形容詞が、とても重要なキーワードだった。

しかし、である。

With the first minister Peter Robinson in hospital recovering from a heart attack and unable to take part in the debate, his DUP attempted to introduce a bill that would have led to reforms of the benefits system locally and manage redundancies in the civil service.

But Sinn Féin and the SDLP exercised a veto known as the “petition of concern” where bills can be defeated if one side of the sectarian/political divide claims there is insufficient cross-community support for the law.

--- Northern Ireland power sharing in crisis as welfare bill fails
Tuesday 26 May 2015 22.54 BST
http://www.theguardian.com/politics/2015/may/26/northern-ireland-power-sharing-in-crisis-as-welfare-bill-fails


阻止された法案はウエストミンスターの緊縮財政方針にともなう福祉削減に関するもので、2014年12月のストーモント・ハウス合意(「エクストリーム交渉」の末、結ばれた合意)に含まれていたのだが、この3月、突然シン・フェインが支持を撤回した(「エクストリームUターン」)。既にEUの予算もとりつけていたメイズ/ロングケッシュ刑務所跡地再開発計画への支持を、DUPがいきなり撤回したことを思わせるようなUターンだった(あのころから、「ピース・プロセス」の行き詰まり感ははっきりとわかるほどになった)。

ここでシン・フェインとSDLP(ナショナリスト/カトリックの側)が、「福祉の削減」というクロス・コミュニティ云々(つまりセクタリアン・ディヴァイド……今はこの言葉はあまり使うべきではないのだが)の問題ではないものについて「一方の側での説明・議論・理解・支持が不十分な場合の拒否権」を使うのは、「法案成立を阻止するために、使えるものは何でも使っている」状態だろう。

しかし、これは本質的にとても危ういことだ。この法案は、「ナショナリスト/カトリックは承服できないが、ユニオニスト/プロテスタントは支持している」などというものではないからだ。

実際、ユニオニストの側からこんな声が上がっている。

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FIFAのお偉いさんがまとめてしょっ引かれた件

ニュースが多すぎて本当にわけがわからないのだが、少しずつ。

総会のため宿泊していたスイスの高級ホテルに明け方に当局が踏み込んで(米国からの依頼でスイス当局が動いた)、FIFAのお偉いさんがまとめてしょっ引かれ、米国に身柄送致される予定、という衝撃的なニュース。発生してしばらくはFIFAのスポークスマンも何が何だかわけがわからない状態だったようだが、数時間のうちに米司法当局が会見を行って、何が何なのかくらいはわかるようになった。

まさに映画のような、「前々から計画されていた急襲」+「電光石火」+「段取りのよい記者会見」で、これが「米軍特殊部隊の人質解放作戦」などではなく「平和的な身柄拘束」(現場にいたNYT記者の言葉)であることで、素直に「映画みたい」と言える気がする。しかもこれを可能にしたのは「司法取引でFBIが自陣に引き入れたFIFA役員が、キーホルダーに仕込んだ盗聴器でひそかに身内の会合を録音したこと」だったとか、これ、そのまま映画になるんではないか。製作はジョージ・クルーニー。主演はベン・アフレック。(<それ、違う映画)

米国での訴追は「CONCACAFでの不正を軸に調べてたらFIFAの不正もぞろぞろ出てきた」+「その不正行為の舞台が米国」ということのようだが、それとは別に、スイス当局が同時にFIFAそのものの不正(2018年と2022年のワールドカップ開催地選定をめぐり)を捜査しているとのことで、これはしばらくドラマが止まりませんよ。

とりあえず、何が何やらわけがわからなかった段階からの記録。

米FBIが、贈収賄容疑などでFIFA役員らを何人も逮捕。会長選挙まであと48時間というタイミングで
http://matome.naver.jp/odai/2143270611007230701


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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