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 新たな安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会は1日、2度目となる参考人質疑を行った。集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ法案に懸念や評価が示されたほか、自民党の勉強会での「報道威圧」発言についても指摘が出た。

 ジャーナリストの鳥越俊太郎氏は、米国とイスラム過激派の対立に触れて「将来集団的自衛権を行使し、イスラム過激派が(日本を)敵だと思った時、日本が標的になる可能性がある」と指摘。「テロリストが最初に考えるのは新幹線だ」と述べ、米軍支援への懸念を示した。さらに自民党の若手議員による勉強会で報道機関を威圧する発言が出たことについて「『マスコミを懲らしめるために広告収入を減らせ』『不買運動を起こすために経団連に働きかけよ』と言ったのは、憲法21条の表現の自由に真っ向から反する。非常に危機感を覚える」と批判した。

 柳沢協二・元官房副長官補は、政府が中東・ホルムズ海峡での機雷除去や北朝鮮有事での米艦防護で集団的自衛権行使が必要と説明している点について「(日本から)遠い所の議論は存立危機(事態)との因果関係が薄まり、近い所の議論は個別的自衛権との切り分けが難しくなる。国民が納得する議論が必要だ」と疑問を示した。

 伊勢崎賢治・東京外国語大大学院教授は、国連平和維持活動(PKO)の現状について「住民保護が最重要任務で、停戦が破れ戦闘状態になっても(撤退せずに)武力行使をする」「自衛隊が応戦し、住民を誤射すれば外交問題に発展する」などと述べた。

 折木良一・元統合幕僚長は「法整備は、前もって活動範囲や権限を法制化する極めて意義のあるものだ」と法案の意義を強調。小川和久・静岡県立大特任教授も「日本的な議論を整理し、国の安全を確立しようとしている」と評価した。(石松恒)