IS:ハマスやイスラエル絶滅宣言 ネットに動画
毎日新聞 2015年07月01日 21時11分(最終更新 07月01日 23時20分)
【エルサレム大治朋子、カイロ秋山信一】過激派組織「イスラム国」(IS)は6月30日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスや、イスラエルを絶滅させると宣言する動画をインターネット上で公開した。ISは本拠地を置くシリアやイラクのほか、エジプトやリビアなど周辺国への攻撃方針を明らかにしているが、パレスチナやイスラエルに焦点を合わせた映像メッセージの公開は初めて。
動画のタイトルは「エルサレムの人々へ」。これによると、約17分間の映像はシリア北部の都市アレッポで撮影された。画面に登場したIS戦闘員は、ISを支持する武装勢力がガザで不当に逮捕・拘束されているとして、ハマスを批判。「我々はユダヤ人(イスラエル)とお前たち(ハマス)、(パレスチナ自治政府を主導する穏健派)ファタハを根絶する。いずれも不要な世俗派で、我々の潜行勢力に押しつぶされるだろう」と主張している。
IS本体がガザのIS支持勢力に言及したのは初めてで、ハマスに逮捕された関係者に対し「兄弟よ、忍耐だ、君たちが彼らを追い払う日は来る」などと共闘を呼びかけている。今後、双方が連携を強める可能性もある。
ガザでは今年1月ごろから、厳格なイスラム原理主義者「サラフィスト」系の武装勢力がIS支持を公然と表明。昨年夏のイスラエルとの戦闘でガザ市民ら2200人以上が死亡(イスラエル側は72人死亡)したにもかかわらず、イスラエルによるガザ封鎖が解かれていないなどと批判を強めている。
ガザではハマスの施設が爆破される事件なども相次ぎ、ハマスはIS支持勢力の一掃を図ろうとしている。しかし、同勢力は最近も独自にイスラエルへロケット弾を撃ち込むなどしている。動画はハマスだけでなく、イスラエルとの和平交渉を目指すファタハを含むパレスチナ指導部全体について、シャリア(イスラム法)を実践しない「世俗派」と断じ、攻撃対象としている。