[PR]

 1万円払って1万2千円分の買い物ができる。こうしたプレミアム(割増金)付き商品券が、今年度から各地で出回り始めた。国の交付金を使って自治体主導で発行される「官製商品券」。消費を刺激して地方の景気を上向かせる狙いで、市民の人気は高いが、効果は未知数だ。

 6月28日午前10時前。福岡市の繁華街、天神の地下街に約100人が行列をつくった。商店街が発売する「てんちかプレミアム商品券」を買いに来た人たちだ。

 千円券12枚セットの1冊の価格は1万円。2千円分得する計算だ。26~29日の4日間、1日2千冊を売る。12月25日まで商店街の大半の店で使える。

 購入できるのは1人5冊まで。福岡市博多区の会社員上村祐子さん(32)は3冊買った。「夏のセールも始まった。普段はなかなか手の届かないものを買おうと思って」。夫のネクタイや自分のシャツなど、仕事用の衣類に使おうと考えている。

 4月末には、北九州市の複合商業施設「サンリブシティ小倉」が商品券を売り出した。1冊1万円で割増率20%の冊子5500冊がすぐ売り切れた。担当者は「人気が高く、あと2回は売りたい」と語る。

 佐賀県が発行する商品券は割増率10%。飲食店や携帯ショップ、カラオケ店など県内約4200店や、タクシーでも使えるのがポイントだ。約28万冊が発売から3日でほぼ売り切れた。

 プレミアム付き商品券の割り増し分には、国が昨年度の補正予算に盛り込んだ「地域消費喚起・生活支援型」の新交付金が充てられている。発行は今年度からで、交付金を受け取った自治体は割増率や使える期間などを決め、小売店や商店街に発行を呼びかける。消費者が使った商品券の割り増し分は自治体が負担する――というのが基本的な仕組みだ。

 全国で発行される商品券の割り増し分の総額は、約1600億円と巨額。大型の複合商業施設やスーパーなどで発行されるケースも多い。夏のレジャーや中元商戦を前に、発行のピークを迎えている。

 九州・山口・沖縄の9県での発行額合計は、額面で約1300億円。このうち200億円強が割り増し分だ。額面の発行額が最も多いのは福岡県内の311億円で、鹿児島県内の170億円、長崎県内の153億円と続く。

 割増率は20%が多いが、佐賀県太良町や玄海町は30%で、北九州市などでは25%の所もある。佐賀県唐津市は市民向けが25%で、市民以外には割増率を上乗せする予定。市は「市外から買い物に来てもらう動機づけにしたい」と期待する。