2015-07-01

父が死んだ

長らく一人暮らしの父が死んだ。

アパートの隣人が、数日間顔を見せない父を不審に思い、

住み込み大家さんにドアを開けてもらったところ、

風呂場で倒れている父を見つけたそうだ。


連絡を受け急ぎかけつけたが、父は遺体保管場所にいた。

なんでも腹部に多数の切り傷があったため、検死を行うらしい。

確認のために写真を見せられたが、確かに腹部の切り傷があり

リストカットを繰り返した手首のように傷が盛り上がっていた。

まだあたらしい傷もあった。原因は思い当たらなかった。


検死は1週間もかかったが、わかったことといえば

死因は腹部の傷とは関係なく、心臓発作ということだった。

結局、おびただしい傷の原因はわからなかった。



そんな父の遺品整理を先週末にしていたところ、

机の引き出しに入っていたデジカメ生前の父が写っていた。



写真の父は軍服を着て腹にはサラシをまき正座をしていた。

そして短刀で腹を切っていた。

データ確認すると何枚も何枚も腹を切っている父が写っていた。

父は苦しそうな、それでいて悦んでいるような複雑な顔をしていた。

別の写真では若い女性も腹を切っていた。

わたしの父は切腹マニアだった。



遺品整理も終わり、大家さんにお礼を言いに管理室へ訪れた。

大家さんは父が介錯している女性だった。

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